体にいい!が大前提。湯守がつくる野菜と発酵食品で、身も心も立て直す
養生館 はるのひかり
/2015年11月リニューアル
〝何もしない〟ご褒美を自分に体の内側から磨く養生宿

ロビーのある茅葺屋根の母屋は、100年以上前からこの場所に建つという。数寄屋づくりの茶室を使用。
団体客の受け入れも可能な昔ながらのスタイルの温泉旅館から、2泊以上の滞在を推奨する、療養や健康増進を目的とした逗留型の宿に生まれ変わったのは一昨年のこと。養生の時間は、訪れた瞬間からすでに始まっています。到着後に行われるのは、スタッフによる滞在方法のレクチャー。館内の説明にはじまり、門限は21時厳守、館内では騒がない、睡眠の質を高めるため22時以降は客室でも静かに過ごすなど。ストイックなその姿勢に、こちらも〝心して養生するぞ〞と覚悟が決まります。

左/源泉かけ流しの湯は、いつもよりよく眠れると評判の単純泉。
右/客室はモダンな和洋室のほか、ひとり客専用室も。宿泊料金は、休前日や繁忙期も値上げなしの一律。宿の良心が見て取れる。
そんな宿の精神がいちばん表れているのは「食」。近隣で採れる無農薬栽培のお米や野菜を中心に、朝食は370kcal以内、夕食は500kcal以内でメニューが構成されます。ユニークなのは、宿の湯守であり、大学で発酵学を学んだ農学士の米山雄二郎さんが自ら手がける自然食品をいただけること。
たとえば、畑で育てた露地栽培野菜。そして、藁に付着した天然の納豆菌を使った素朴な納豆、梅干し、酵素ドリンクなどの発酵食品、さらには一部の調理に使用する味噌や醬油まで手づくり!学術的な知識と技術に基づいてつくられた食材は、割烹出身の料理長によって滋味豊かに調理され、毎日の夕朝食に登場します。

朝は自家製の酵素ドリンクで、渇いた体に潤いを。小田原産の無農薬栽培の雑穀米や湯豆腐など、地元産の食材が並ぶ。
「自然の力を借りてつくる食事は、突き詰めると子供のころに食べた〝おばあちゃんの料理〞だと気づいたんです」と米山さんが語るように、なんてことのない煮物や野菜料理が、しみじみおいしい。宿の隠れたコンセプトが〝腸活〞であるように、水溶性・不溶性食物繊維たっぷりの露地野菜と酵素のパワーで、体の中からキレイに生まれ変われます。

湯守の米山さんが手づくりした金柑の果実酒。ほか、しそのシロップや朝食時に提供される酵素ドリンクなども季節ごとに登場。

果実酒や梅干しも自家製

ようじょうかん はるのひかり
神奈川県足柄下郡箱根町湯本554 TEL:0460・85・5641 チェックイン15:00 チェックアウト10:30
1泊2食付き¥12,800~ 客室14室
Domani12月号 別冊付録 今こそ行きたい!おいしい温泉宿&おこもりホテル18 より
撮影/江口登司郎 取材・文/森本恵子 構成/田中美保・酒井亜希子・佐々木 恵・平澤奈々恵・赤木さと子(スタッフ・オン)
※宿泊料金は、特別な表記のない場合、1室2名利用時の1名料金(消費税・入湯税・ サービス料別)です。料金は変動する場合があります。 ※料理の内容は季節によって 変わる場合があります。
※掲載したデータは2017年10月18日現在のものです。