せっかくの10連休だったけど、出張になるのは理解しています
「出張に行くと、気持ちも離れちゃうのかな」。夫に対してそう感じたのは、昨年のゴールデンウイークのことでした。
音楽関係の仕事をしているのでもともと出張が多い夫。プロモーション期間やライブ期間は、全国各地でイベントが行われるため、毎週末不在になることも普通です。海外アーティストを担当するようになってからは、まとまった期間海外に滞在することもあります。
だから、10連休だった昨年のゴールデンウイークのうち7日間が出張だと言われても、特に驚きもせず、「そうなんだ」という感じ。「久しぶりにゆっくり実家に帰るから、気にしなくて大丈夫だよ」と伝えました。
「亭主元気で留守がいい」とはいうけれど
ただ! 出張の間の連絡は、子どもたちが夫と話したくてfacetimeをしただけで、それ以外、夫からの連絡はなし…。「気にしなくてもいいよ」とは言ったものの、さすがにこれは気にしなさすぎ!
仕事柄時間も読めないだろうし、色んな事情は察します。でも「おはよう。みんな元気?」とか「お互い頑張ろう」とか、たったひとことでいい。離れているからこそ気遣いメールで頑張ろうと思えたり、声を聞いたり顔を見られたら、うれしいのになと。
そう、思い返せばこのときまで、出張中に夫から連絡があったことはほとんどなかったんです。
夫が不在ということは、普段の家事に加えて、いつも夫が担当している朝ごはんの準備と朝の送りもすべて私がやることになり、それこそ大仕事。
昨年のゴールデンウイークはいくら帰省していたとはいえ、私ひとりで3人の子どもの世話を引き受けている気苦労はあります。 そこに配慮が欲しかった。
離れているからこそ思いやりの言葉が欲しい
夫の仕事をできる限りサポートしたい。その気持ちは本当です。そして、出張から帰ってきた夫から「5月5日は結婚記念日で10周年のお祝いだから、妻の元に帰らせてくださいってお願いしたんだよ」と聞かされれば、改めて仕事先で配慮してくれたり、仕事を代わってくれたりした方に、感謝の気持ちが湧きました。
▲昨年の一家集合写真。5月5日は私たち夫婦と私の両親の結婚記念日であり、父(中央)の誕生日。夫(向かっていちばん左)はこの日の前日、出張から帰ってきてくれました。後列中央が母と、その隣が姉(右)と私(左)。
その一方で、離れているときに家族への配慮をうっかりすると、そこから温度差が生まれることを知りました。だから、ゴールデンウイークの後、その気持ちを伝え、夫の出張中に私がいかに大変だったかを説明したんです。
そしたら、次の出張で送られてきたのは新幹線から撮った富士山の写真。そこには、「富士山が綺麗だよ」の一文が。まさかこれだけ?
「俺まで、紗弥と同じように大変だ大変だって、ワーっとなったらよくないでしょ。俺の送った富士山の写真をみんなで見ることで、楽しい会話が始まればいいなと思ったんだよ」と夫。
そうなればよかったのでしょうが、リアルなところ、そんな余裕はゼロ…。眠くてぐずる次男に、いつも以上に忙しない食卓。手伝ってくれる夫のいないうちの中は洗濯物やおもちゃでぐちゃぐちゃ。夫にしてみれば、自分がいない時間に家族がどう過ごしているかを想像するのは、難しいことだったのでしょう。
私からもわかってもらう努力を怠ってはいけない。この気づきも、この数ヶ月後に私が夫に全ての家事、育児を2週間任せることになった理由のひとつなのでした。
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。