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LIFESTYLE インタビュー

2020.12.16

元星組トップスター紅ゆずるさんのパワーの源は?

 

宝塚歌劇団に在籍していた時から、紅ゆずるさんといえば「個性的で面白い」方として、ひと味違う魅力を発揮されてきました。その、紅さんにしかない魅力を生かしつつ、来年はさまざまな舞台で新たな姿を見せてくれます。新型コロナの流行で中止になってしまったあの演目も、新たに上演される予定とか…? 女優としての活躍が楽しみな、今後の抱負をうかがいました。

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「私、天才だな!」と、口角が上がっているような人生を送りたい

タカラヅカ・スカイ・ステージの番組内で“紅5”というユニット結成したり、“紅子”というキャラクターを作り上げたり。他の人がやらないようなことを編み出し、舞台以外の活動でもファンを楽しませてくれた紅さん。男役としてカッコいい姿で魅了しながらも、“紅ゆずるらしさ”というエッセンスを聞かせたステージに心を掴まれた人も多かったと思います。退団後に決まっていた舞台が新型コロナの流行で中止になるなど思わぬ残念な事態もありましたが、来年は舞台で活躍される姿が立て続けに見られるはず!これからの展望や、女優という仕事についてのあれこれをうかがいました。

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宝塚歌劇を始め、いろいろな公演やエンターテイメントが徐々に動き出している感じがします。紅さんも来年4月には『アンタッチャブル・ビューティー』、8月には『エニシング・ゴーズ』への出演も決定されていますが、今のお気持ちを聞かせてください。

紅さん(以下敬称略):楽しみです!退団して1年経ちますけど、舞台はコンサートしかやっていなくて。あの時はわりとタカラヅカ色が強くて、「これから女優・紅 ゆずるを頑張ります」というプレ女優活動みたいな感じでした。

『アンタッチャブル・ビューティー』は女優としての初舞台。しかも大阪松竹座という、地元の大阪での公演なので楽しみでしかない!たぶん、大阪弁でコメディな内容なんじゃないかな。…ってこんなこと言っていて全然違ってたらどうしよ(笑)。いや、たぶんそうだと思います。私のよさってコメディで発揮されるものだと思っているので、この公演が、今後女優としてどうやっていくかという道標になるんじゃないかな。先日開催したトークショーのビデオメッセージで松本幸四郎さんがおっしゃっていましたが、大阪松竹座は客席と舞台がとても近いからきっとお客さまに助けていただけるんじゃないかと。私がタカラヅカ時代から大切にしてきたことが、ファンの方との距離が離れすぎないこと。タカラジェンヌって雲の上の存在で、そんな人が舞台で歌って踊っているというイメージですが、そうじゃなくてファンの方のいちばん近くでありたかった。だから“紅子”というキャラクターも演じたし、「あの人面白いね」と言われる存在になりたいと思ってやってきたんです。自分の生まれた土地で女優として新たなものを開拓するというのが、物語の真に迫るというか、嘘がない感じで、心から待ち遠しく思っています。

『エニシング・ゴーズ』はブロードウェイミュージカルで、過去には大地真央さんや瀬奈じゅんさんという大先輩が演じられた超大作。それを任せていただけるのはありがたいし、なんとしてもモノにしたいと今から意欲満々です。タカラヅカ時代は、“男役・紅 ゆずる”としての表現でしたが、今度は芸名の自分と本名の自分を共にフル活用していいんだなという感じ。とある人に「天真爛漫なところがいいんじゃない」と言っていただけたことがあり、その性格をフル活用しながら自分と向き合って新たな自分発見ができたらいいですね。

春に準備を進められてきた『熱海五郎一座』の公演もまた新たに決まったそうですね。

紅:『熱海五郎一座』は退団して初めての舞台だったので公演中止が決定した時は残念だったのですが、いろんなことを経てまた公演ができることになり、自分がどういう気持ちで(衣装の)軍服を着るのかなと楽しみなんです。中止が決まる前に軍服を着た時は、「男性っぽくならないように」と意識していたのに、どっからどう見ても男性なんですよ。たぶん退団後にあまり時間が経っていなかったから。今はかなり自分が女性っぽくなってきているから、軍服姿も全然違う見え方になるかも。お楽しみはあとにとっておくじゃないけど、『熱海五郎一座』に出演できるという喜びがずっと続いていてうれしいなと思っています。

立て続けの3本ですが、それぞれまったく違う雰囲気の舞台になりそうですね。忙しくも充実した2021年!

紅:そうそう、3本とも共通しているのはきっと面白い舞台だということ。悲劇ではないですね。面白さの中にもそれぞれ違う味を出せたらと思っています。来年は舞台だけでもかなり多忙になりそう。公演中に次の舞台のお稽古をしたり…、かなりハードな気がします。

舞台で爆発する紅さんの個性。その源はなんですか?

紅:タカラヅカの男役時代は、真矢ミキさんの存在が大きかったです。真矢さんて、めちゃくちゃカッコいいんですけど、そのカッコのつけ方がガリガリと爪痕を残していくんですよ。なぜ銀橋を渡るだけでこんなに濃いのか、ダンスを踊るだけで存在感がすごいのか。例えばですが、ダンスは振り付けどおりに素直に踊ることはもちろんいいことですが、それだけが正しいわけじゃない。それより、何を伝えたいのかということが明確で、それにこだわって表現した方が人の心に残ると思っています。宝塚歌劇の魅力として、スマートで洗練されたカッコよさがあるのはもちろんなんですけど、「そんなことしていいの!?」と思われることもありなんじゃないかなと。場面として成立していて、スパイスを効かせながらも王道にちゃんと戻ってくる。まさに真矢さんはそんなことを実現されているスターさんで、それがとっても素敵でした。でもそれは誰にでもできることじゃなくて真矢さんだからできることで、私も真矢さんのような唯一無二を目指そうと思ったんです。真矢さんは“アキラ”っていう別キャラクターを持っていらしたので、私も“紅子”を生み出して。出てきただけで「キターーーーー!」って思っていただけるようなキャラ。サヨナラショーで“紅子”を出したかったんですよね。あと、『ANOTHER WORLD』の最後の「チーン」という鈴の音。公演している時から「これ絶対サヨナラショーで使おう」と思ってました(笑)。

真矢さんは、(タカラヅカの)いろんな先生が「真矢さんはこんなスターだった」とおっしゃっているのをよく聞きます。「こんな人だった」と言ってもらえることが素晴らしくないですか? なので私も「紅ゆずるという人はこんなだった」と言っていただけるような逸話を残したいなと思っています。いい意味で面白がられるようなね。それで「あの人の舞台が観たい」とか「あの人が出てきたらどうなっちゃうかな?」と思われるように。私は(演出家の)小池修一郎先生に「あなたは普通じゃないんだ」とずっと言われ続けていまして。巨匠・小池修一郎先生からお墨付きをいただいているので(笑)、飛び抜けて違うことをやるという勇気を持って進んでいきたいですね。コメディで笑わせるというのではなく、「そんな役の解釈もあるのね」と面白がっていただきつつ、それでも女優として成立するような表現をしていきたいです。

お仕事に対するモットーやこだわりはありますか?

紅:やると決めたからにはやる。最初に「できるかな、どうかな」と悩んでも、一度決めたからには最後まで貫く。

タカラヅカの時は仕事のことしか考えていなかったんですよ。男役は特別な生き物で、女性でも男性でもない。だからオフでも男役。でも今はオフありきの仕事だなと思っています。女優だから、普段からスカートをはいて女性らしさを気にした方がいい。うん、現役時代とは仕事に対する考え方は変わりましたね。

今はとてもナチュラルな雰囲気になられて、男役だった現役時代とはまた違う魅力です。男役時代はどうスイッチを入れていたのですか?

紅:私はね、男役でしかなかったんですよ。もちろん女性で、心が男性になることはないんですけど。男役スイッチが入る時は、家から劇団に向かう時。オフももちろん男役、服装も気持ちも。オフはないようなものでしたが、本名の自分に戻れるような場所は作っていました。完全に芸名だとわけがわからなくなっちゃうから。関西出身ということは大きかったと思います。私がタカラヅカを目指した時代を知っている人、本名の私を知ってくれている人の存在が近くにあるのはとても心強かった。だからこそ頑張れたと思います。

10年後の自分はどうありたいと思っていますか?

紅:「超楽しいな♪ 私の人生、充実しちゃってんじゃないの!?」みたいな10年がいいな。ポジショニングというより、自分自身がすっごく楽しいなと思える状況でいたいです。環境に恵まれ、人にも恵まれ、自分の考え方ややることにも納得できて。きっといろんなことがあるでしょうけれど、そんなこと全部をひっくるめて、とにかく自分の口角が上がっているような人生を送っているでしょう。「私、天才だな」と言える人生。
あのね、真剣に言っているぶんにはいいんですけど、先日ファンの方が近くにいらっしゃって、「本当に天才ですね」とまじまじと言われてちょっと恥ずかしかったんですよね(笑)。でもとにかく、“エンジョイ=天才”だから。楽しいと思えることが天才なんです。

「天才」と聞くと紅さんを思い浮かべます。

紅:これ以上の言葉は「神」しかないです。でも神じゃないんです。天が与えた才、「天才」。


ずーっと聞いていられるほど、次々と展開される紅さんのお話は楽しい! 人生はいろんなことがあって、今はコロナ禍で世界中が大変であっても、きっと紅さんは発想を転換させて心を心地よい方向に導いていかれる術を持っている方(だと勝手に感じました)。あと、「天才」をポップに、でもちゃんと意味を持たせて使っている最上級の人は紅さんだと思います。コメディの似合う、「天才」紅さんが出演される舞台が3本もある2021年。いろんな紅さんを見比べたいです!

 

 

撮影/岡本 俊(まきうらオフィス) ヘア&メーク/黒田啓蔵(Iris) 文/淡路裕子

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女優

紅 ゆずる

くれないゆずる/8月17日生まれ、大阪府出身。2002年に88期生として宝塚歌劇団に入団。星組大劇場公演『プラハの春/LUCKY STAR!』で初舞台を踏み、星組に配属。2008年星組大劇場公演『THE SCARLET PIMPERNEL』で新人公演最終学年で初主演。2011年星組『メイちゃんの執事』でバウホール公演と東上公演初主演。2016年に星組トップスターに就任。翌年、自身の新人公演主演の再演となる星組『THE SCARLET PIMPERNEL』で大劇場でのお披露目公演を果たす。2018年8月 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』を台湾にて公演。2019年星組大劇場公演『GOD OF STARS-食聖-/Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』にて宝塚歌劇団を退団。退団後はコンサートやテレビドラマへ出演。2021年は4月に『アンタッチャブル・ビューティー〜浪花探偵狂騒曲〜』、6月に『熱海五郎一座 Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー〜日米爆笑保障条約〜』、8月に『エニシング・ゴーズ』と立て続けに舞台出演が決まっている。
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