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2020.12.27

「ママアスリートが胸を張ってがんばれる世の中になればいいなと思っています」|アスリート寺田明日香さんインタビュー

 

陸上女子100mハードル日本記録保持者・寺田明日香さんが、夫、娘とともに登場!家族との休日の過ごし方や、〝ママアスリート〟の活躍に思うことなどを語ってくださいました。

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家族という守るべきもの、帰る場所ができたことで、気持ちに余裕ができました

寺田明日香(陸上女子100mハードル日本記録保持者)
佐藤峻一(「スポーツスナックス」代表取締役社長)
果緒ちゃん(6歳)

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「10代・20代のころは、早くから注目されていたこともあったせいか、自分がどう見られているのか、他人の目ばかりを気にしがちでした。負けたレースの映像を見ることもなく、勝った選手におめでとうと言うわけでもなく、どこか斜に構えている部分もあって…。勝つのがあたりまえと思われるなか、負けても謎のプライドが邪魔をして素直になれず、劣等感だけがふくらむばかり。

でも、母となった今、ずっと自分だけに向いていたベクトルが、自分以外に向くようになりました。自分のため、記録のために生きてきた人生でしたが、家族という守るべきもの、帰る場所ができたことで、自分の中に余裕ができたというか。だれかのために、という意識が芽生えたんです。それは、家族だけでなく、今、五輪に向けて協力してくれている〝チーム明日香〟にも言えることです。

たとえ試合で負けても、悔しさも含めて、その瞬間の感情に流されることなく、次への解決策をみいだせるようになりました。負けたレースの映像を見返して、何がいけなかったのかチームで分析、話し合うなんて、かつての自分では考えられません(笑)。

さて、私の〝かぞくのじかん〟ですが、練習のない休日は、あえて目覚ましをかけず、みんなでちょっと寝坊します。朝ごはんは気が向いたら食べる、というくらいにゆるく。遅めの朝ごはん(兼昼ごはん)を食べたら、家族で食材の買い出しに。どうしても疲れがとれないときは、夫にお願いして娘と公園に行ってもらうこともあります。せっかくの休日、家事や料理に追われてのんびりできないくらいならと、夕ごはんはファミレスか、お気に入りのインド料理店でカレーをテイクアウトしたり。意外にもそのほうが、夫も娘もうれしいらしい…。また、保育園や習いごとの送迎もすべて夫がこなしています。これは〝母親がすべてやらなくちゃいけない〟と息巻いていたころの私には、考えられないことです。

6歳になる娘は、『走るママ、かっこいい!お腹も割れていて(腹筋のこと)かっこいい!』と言ってくれます。

スタートラインについた瞬間は、何も聞こえないし、たったひとり、走ることだけに集中していますが、ゴールした瞬間、娘の応援する声だけが響いてくるから不思議です。

夫は、再び五輪を目ざす私を全面的にサポートしてくれるとともに、『ひとりの人間として尊敬する。世界に挑戦する姿は、家族だけでなく、同じママたちにも勇気を与えていると思う。何より、記録を伸ばし、進化する姿を間近で見られることが本当にうれしい』と言ってくれ、日々の励みになっています。

もし東京五輪が開催されるなら、絶対、ファイナリスト(決勝進出者)になりたい。今はそう、心から思います。

ただ、この夢は自分ひとりの力ではかないません。家族や周囲のサポートがないと無理です。母としても妻としても競技者(仕事人)としても完璧を目ざす、という意識は捨てて、協力してもらえる環境をつくることが大切です。

日本では、海外に比べてママアスリートの活躍が少ないんです。

〝結婚したから、出産したから五輪をあきらめる、反対に五輪に行きたいから結婚をあきらめる〟というような風潮がまだまだ根強いのかな…。

女性としての幸せも、選手としての活躍も、両方追い続けたっていい。ママアスリートが胸を張ってがんばれる世の中になればいいなと思っています」

▲7人制ラグビーに転向したころ。俊足のスプリンターとして活躍。

▲2019年世界陸上の様子。オレンジ色のユニフォームが寺田さん。

▲結婚写真は果緒ちゃんと一緒に。アスリート時とは全然違う表情の寺田さん、美しい♡

陸上女子100mハードル日本記録保持者

寺田明日香

てらだ・あすか(30歳)/1990年生まれ、北海道出身。高校1年から本格的にハードルを始め、インターハイで100mハードル3連覇。社会人1年目には日本陸上競技選手権で優勝、以降3連覇。2009年世界陸上ベルリン大会に出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。2010年アジア大会で5位入賞。2013年に現役を引退、結婚・大学進学・出産を経て2016年夏に7人制ラグビーに競技転向。2018年にラグビー選手を引退し、再び陸上競技の世界へ。2019年日本選手権では女子100mハードルで3位。同年8月には19年ぶりに日本記録と並ぶ13秒00をマーク、9月には12秒97の日本新記録を樹立。来年の東京オリンピックで日本女子短距離種目ではママアスリートとして初の決勝進出を目ざす。

Domani12/1月号「2020年→2021年〝じぶんのじかん〟、〝かぞくのじかん〟。」より
撮影/三浦憲治 ヘア&メーク/RYO(ROI) 協力/プロップス ナウ、EASE 撮影協力/ニシ・スポーツ 構成/田中美保、上阪泰幸(本誌) 再構成/WebDomani編集部

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