フランス国内でも高いオーガニック畑比率
美しいロゼ色に輝くプロヴァンスワイン。そんなプロヴァンス地方は、じつはフランスのなかでもオーガニックワイン造りが盛んな地域でもあります。
プロヴァンスのぶどう畑のうち、オーガニックの認証を得ているのは19%。これはフランスの他のワイン産地と比べても、高い比率となっています。
▲ 春から初夏にはカスミソウやラベンダーなどの花々が咲き誇るプロヴァンス地方。
それに加えて、まだオーガニックの認証を得ていない畑も、高い環境価値を守るワイナリーにフランス農業省が与える、HVEという認証を持っていることも多いのです。ぶどう畑に下草を生やしたり、その周囲に木々を植えたりすることによって生物多様性を守ろうと心がける、殺菌剤や殺虫剤の使用回数を少なくする、醸造の際の水の利用を減らすといった、さまざまな取り組みをしています。
プロヴァンスワイン委員会は、このHEV認証のぶどう畑を2030年には100%にまで広げたいとの目標を掲げています。
▲ ぶどう畑の横にはオリーブの木々などもあり、南仏らしい風情。
乾燥した地中海性気候が美味しいロゼを育む
プロヴァンスでオーガニックが盛んな理由のひとつは、その気候にあります。南に紺碧の地中海を望むプロヴァンス地方は、典型的な地中海性気候。
夏は乾燥して暑く、ミストラルと呼ばれる強風が吹き抜けるので、ぶどうがカビ病をはじめすとる病気にかかりづらく、オーガニック栽培をするのに適しているのです。
▲ ぶどう畑からは、遥か紺碧の地中海を臨むことができる。
ワインとは、その地方の気候や風土を映したもの。美味しいロゼを飲むときは、プロヴァンスの眩い陽光や乾いた風、生産者たちの努力に想いを馳せると、きっとより味わい深いものになるでしょう。
協力/プロヴァンスワイン委員会 (CIVP)、テイスト・フランス・マガジン
画像クレジット/Francois Millo、Fondacci
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ライター
鳥海 美奈子
共著にガン終末期の夫婦の形を描いた『去り逝くひとへの最期の手紙』(集英社)。2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在、ワイン記事を執筆。著書にフランス料理とワインのマリアージュを題材にした『フランス郷土料理の発想と組み立て』(誠文堂新光社)がある。雑誌『サライ』(小学館)のWEBで「日本ワイン生産者の肖像」連載中。ワインホームパーティも大好き。