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LIFESTYLE 夫婦

2021.03.03

「自分の感情を出せない結婚生活は地獄でした」〜多恵さんの場合Vol.1

 

「バツイチ」という離婚経験者たちは、ある意味、喪失を乗り越えてなお強く生きるサバイバー。アラフォーで結婚し、出産後に夫と合わないことに気づいた、多恵さんの物語、第一回。

(取材データ)多恵さん(仮名)、42歳。小学1年生の娘を育てるシングルマザー。アラフォーで知り合って結婚した元夫とは、お互いに感情を出さず穏やかな交際ののちに結婚したため、その後も自分らしさが出せずに、いつしか仮面夫婦に。

出産してみるまでわからなかったこととは

結婚するなら素の自分が出せて、楽な相手がいちばん。そういう意見をよく聞きますし、バツイチの私自身、そう感じています。結婚生活とは日々の暮らしであり、ほっとできるのが一番ですもの。

今回取材した多恵さんは、元夫との婚姻期間中、自分の感情を出すことを制限されて、とても苦しんだと言います。なぜそんなことになってしまったのか。第一回では、その辺りを伺っていきたいと思います。

現在42歳の多恵さんが、Aさんと知り合ったのは36歳のときに参加した合コン。7歳年上のTV局員だったAさんは、結婚相手に申し分ない相手に思えました。お互い、年齢的にも結婚を視野にして交際スタートし、1年半後には結婚。

多恵さん:もし私の離婚に反省点があるとしたら、結婚相手に安定を求めたという打算があったところでしょうか。

フリーランスのエディターである多恵さんは、大手マスコミ勤務というAさんの経済的安定に魅力を感じたのです。もちろん、ほかにも惹かれるところはあったけれど、あとは「嫌なところがない」というのも大きな決め手になりました。

婚活している女性なら、・経済的に安定している大手企業勤務で、・嫌なところがない。これって最高の結婚相手だと思いますよね? ところが、そんな世間的な表面上の条件だけでは上手くいかないのが夫婦。トラップは、思わぬところにあったのです。

結婚してすぐに多恵さん夫婦は子供に恵まれ、長女が誕生。「こんなはずじゃなかった」とお互いが思い始めたのは、その頃から。

実は元々感情的で喜怒哀楽が激しいタイプの多恵さん。お互いアラフォーのカップルの穏やかな交際の間は特に問題もなかったので、その特性が発揮される場面がなかったのです。しかし、出産してからは別。育児で精神的にも負担がかかり、いっぱいいっぱいになった彼女が時折耐えられずに感情を爆発させると、夫は露骨に拒絶反応を示しました。

多恵さん:夫は感情を口にしない人で、「ありがとう」も言ってくれない。こっちは赤ちゃんのお世話で眠れないのに向こうはのうのうと寝ているし、不満が溜まっていく一方で。本当に小さなことの積み重ねなんですけど、そういう不満を伝えたときにも、彼はまるで、そんなことで怒る私のほうが悪いと思わせるような言動を取るんです。

アラフォーでの高齢出産で体力的にもキツい中、「辛い」と弱音を吐けば、唐突に「ブッダの教え」を引用して正論で言い返して共感してくれない。

感情的になりやすい女性によくあることですが、そうやって相手に理論的に返されると、感情を露わにするこちらのほうがおかしいのかと感じて、だんだん自分の感じたことを伝えることを我慢するようになってしまいますよね。しかも、多恵さんの場合は出産直後で、ホルモンバランスの関係で女性が最も情緒不安定になりやすい時期なのに…。そんな風に本音が言えない生活は、「自分がなくなっていく感じで苦しかった」と多恵さんは語ります。

高齢出産だったこともあり、産後はうつ気味になって、娘がおっぱいをちゃんと飲んでくれるかどうかでも不安になってしまう多恵さん。それなのに、全く寄り添おうとはしない夫。

多恵さん:気づいたときには夫のことが大嫌いになっていました。

こうやって、出産後に思いやりのない夫に愛想を尽かす妻の話、本当によく聞きます。最大の味方になってくれるはずの相手が、一番大変なときに味方になってくれないというのは、それだけで「裏切られた」という気持ちにさせられるものですよね。

けれどそうなっても、現状を維持するために、何とか気持ちを騙し騙し続けていくのが世の中の大抵の夫婦だったりもする。多恵さんの場合も、「すぐに離婚」とはならなかったのです。

その後の結婚生活のお話は、次回に続きます。

インタビュー・文

さかい もゆる

出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。

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