取引先との交渉や会議では、必ずしも相手の意見に賛同できることばかりではありません。時には、会社の事情などを鑑みて、丁重に断る必要が出てくることもあるでしょう。しかし、そのような時に、どのような言葉を使って相手の申し出を断ったらいいか迷ったことはありませんか?
そんな時に押さえておきたいのが、丁寧かつ、こちらの拒否の意思をしっかりと伝えることができる「承服しかねます」というフレーズ。そこで本記事では、「承服」の意味やビジネスシーンでの使い方、言い換え表現などを解説します。
「承服」の意味は?
まずは、「承服」の意味を辞書で確認していきましょう。
[名](スル)《古くは「しょうぶく」「じょうふく」とも》相手の言うことを承知してそれに従うこと。「とても―しかねる条件」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「承服」は、「相手の意見や指示を納得して受け入れること」を意味します。漢字の「承」「服」を組み合わせた言葉で、読み方は「しょうふく」です。いずれも「受け入れる」ことを表す漢字なので、なんとなく意味を理解しやすいのではないでしょうか。
「承服」はかしこまった表現であるため、日常ではあまり使われません。ただし、ビジネス文書ではよく使われるため、意味や使い方を理解しておくことが大切です。
主にビジネスシーンの文語で使う
「承服」が登場するのは、主にビジネス上のやりとりをするタイミングです。ただし対面の会話ではなく、主にビジネス上の文書やメールの中で用いられることが多いでしょう。
対面の会話の中で「承服」のような意味を伝えるときは、「承知しました」や「かしこまりました」が適切です。場面に応じて使い分けるようにしましょう。
否定形で用いられることが多い
「承服」は、「承服しかねます」など、否定形で使われることが多い表現です。ビジネスシーンにおいては、相手が発した意見や指示、説明に納得できない場合もあるでしょう。そういった場面で「承服しかねる」を使うと、「納得できない」「断りたい」という気持ちを丁寧に伝えられます。
もちろん「承服」を肯定文として使う場合もありますが、否定文で使う場合に比べると、それほど多くないと言えるでしょう。
「承服」を使う2つの場面
「承服」を使う場面には、否定形と肯定形の2種類があります。前述の通り、「与えられた意見や提案について納得できない」と伝える際の否定文としてよく使われます。相手の申し出を断るときは、失礼な印象にならないように注意しなければいけません。
「承服」を適切に使うことで、断る旨を丁寧に伝えられるうえに、無礼な印象を与えずに済みます。また、数は少ないものの、「承服」を肯定の意味で用いることもあります。否定形と肯定形の使い方をそれぞれ理解しましょう。
否定的な場面で使う
そもそも「承服」は、「受け入れる」といった肯定の意味を表します。しかし、実際には否定を意味する表現を加え、「承服できない」のように否定形で用いることが多いです。否定形のバリエーションには、「承服しかねます」や「承服できません」などがあります。
否定形で使う場面とは、例えば「相手の意見や指示に従わない」といったケースです。このようなとき、「従えません」「断ります」といったストレートな言い方をすると、相手との関係が悪化しかねません。丁寧な印象を持つ「承服」に言い換えれば、遠回しに辞退や拒否の意思を伝えられます。
「承服しかねる」「承服できない」の例文
「認められない」「納得できない」「辞退したい」と伝える際には、「承服しかねる」が使えます。ただし、強い拒絶といったニュアンスがあるため、安易に多用しないように注意してくださいね。
「承服しかねる」の例文
・提示された内容は、承服しかねるものでした。
・一方的なキャンセルには、承服いたしかねます。
「承服しかねる」以外に、「承服できない」も否定文で使える表現です。「承服しかねる」のように、強い意思を持って「認められない」と伝えたい場合に使用するのが一般的です。
「承服できない」の例文
・この案は、承服できません。
・今回承服できないのは、〇〇だからです。