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LIFESTYLE インタビュー

2021.05.09

猫とは自分の心の一部を預けられる存在。猫を愛する3人が語る【私たちの猫飼いあるある】

 

生と食を猫でつなげたエッセイ『ねこしき』を書いた猫沢エミさんに、インスタフォロワー28万人を誇るインフルにゃんサーのぐっぴー(の飼い主のさいきとも)がインタビューした第3弾。猫への愛についてうかがいます。

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人間と猫という違いはあれど、お互いに心の機微に寄り添うことができる

猫は私たちに癒しをくれるのはもちろんだけど、もっと大きな心の交流をもたらしてくれる存在。猫は気分屋とかマイペースといわれますが、とっても表情豊かで、こちらが注いだ愛情をちゃんと受け止めて応えてくれる動物(猫に限らずだと思いますが)。自宅で猫2匹を飼っている猫沢エミさんと、『Web Domani』にもたびたび登場する世界的にゃんスタグラマーのぐっぴーの飼い主であるさきともが「猫への愛あるある」ネタを披露します。

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絶え間なく深い猫たちへの愛情。その根底にあるのは「猫たちの幸せを最優先すること」

さきとも:猫沢さんといろいろな「猫飼いあるある」についてお話してきましたが、最終回では猫愛についてうかがいたいと思います。

【猫飼いの愛情あるある 1】
一度猫を飼うとずっと猫を飼い続ける


さきとも:
猫沢さんの猫飼い遍歴を教えてください。

猫沢さん(以下敬称略):26歳のとき、マンションのゴミ捨て場に捨てられていた生ゴミの袋から救い出して飼い始めたのが最初です。ハチワレの生後3週間の小さな女の子で、「ピキ」と名付けました。日本でしばらく暮らしたあとふたりでフランスに渡り、パリで4年を過ごして帰国。2010年に13歳11か月で亡くなりました。最初に飼った子でしたし、パリまで一緒に行ってくれて孤独な時期を支えてくれた同志みたいな存在で、亡くなったときはその前後の記憶がないくらいショックだったんですね。

その後、猫がいない時期が1年半ほど続くのですが、2011年に東日本大震災があり自分ももうちょっと変わらなければいけないなと思って、猫をまた飼いたいなと考えるようになったんです。そこでTwitterの里親募集で出会ったのがピガです。うちに来た頃はすっごく暴れん坊だったのですがしばらくするとなんだか落ち着いてしまって、もしかしたら兄弟がいると楽しいかなと思い2012年に受け入れたのがユピ。その後、2019年の夏に餓死寸前のイオちゃんを新宿の路上で保護しました。

▲猫沢家の3兄妹。左から、イオちゃん(2021.3.12逝去)、ピガくん、ユピくん。(写真:鈴木陽介 「ねこしき」より)

とも:私は生まれたときから猫がいました。田舎だったこともあり外飼いだったんです。「ミミちゃん」というやんちゃな三毛猫の女の子で、すごく健康で病気ひとつせず、私が大学生のときに24歳でソファで眠るように亡くなりました。家族が動物好きだったのでそのあとに犬を2匹飼い、そして女の子のアビシニアンを飼いましたが7歳のときに悪性リンパ腫になって息を引き取りました。その5年後くらいに出会ったのがぐっぴーです。

さき:小6の時に母が友人から譲り受けてきたのが茶白トラの「茶っピー」というオス猫。親が仕事で家にいることが少なくて寂しかったですが、弟と茶っピーにはとても助けてもらいましたね。12歳のときに悪性リンパ腫になり、手術をしたのですが助からず亡くなりました。その半年後くらいに、当時の彼の家の駐車場でうずくまっていたのが生後1か月のぐっぴーだったんです。もしかしたら茶っピーが引き合わせてくれたのかもしれません。

猫沢:ぐっぴーはなんだか区役所とかにいそうですよね。アームカバーとかしてすごく優しくアドバイスしてくれそう(笑)。

▲お役所の窓口にいそうなぐっぴー。「悩み、聞くよ?」

猫沢:猫を飼うことは、その子たちに自分の心の一部を預けることなんだと思っていて。一緒に暮らしているときはいいんですけど、亡くなったときにそれを返してもらえないというか、猫たちが持ったまま逝ってしまうため、ぽっかりと穴が開くような喪失感がすごいんですよね。

さきとも:穴が大きいですよね、持っていかれる感じ。

猫沢:1匹1匹思い入れも違うし、自分の心情も違うので比較にはならないのですが…、餓死寸前で保護して、二人三脚で糖尿病を寛解し、扁平上皮ガンに侵されて1年半しか一緒にいられなかったイオちゃんに対しては「そこまでドラマチックでなくてもいいんじゃないの」という思いがあります。猫の悪性リンパ腫も多いですよね。

さき:腎臓系の次がガンみたいですね。茶っピーの病気がわかったとき、「手術をせず新しい苦痛を与えずに看取るという選択肢もありますよ」と先生に言われたのに、もしかしたら治るかもしれないのに何もしないということが当時若かった私には考えらえなかったんですね。手術で首の筋肉と神経を取り、結局ツラい最期にしてしまった。猫沢さんのインスタを読んで改めて当時のことを考えましたが…、どんな選択をしたらいいのか今もわかりません。難しいですよね。

猫沢:本当ですね。目標はイオちゃんを今以上に苦しませないことでした。保護してから1年半、病院ばかり行っていたんですよ。扁平上皮ガンはとても進行が速いのですが、もうこれ以上頑張らせる選択肢はないなと。いろいろな先生の話を聞けば聞くほど見込みがないんだということがわかり、だったら苦しみが始まる前に最速で緩和ケアに入ろうと。私の心も体も消耗しきっていたのですが、イオちゃんはずっと幸せそうだったんですよね。それを私は最期まで守りたいと思っていました。先生に「間もなくかもしれません」と言われて覚悟が決まって…見送ることができました。

▲思慮深くいい女だったイオちゃん。猫沢さんのインスタの「#イオの扁平上皮ガン日記」で、病気と闘いながらも幸せな日々を送っていたイオちゃんの姿が見てとれる。そして、猫沢さんのイオちゃんへの愛情が胸に迫る。(写真:鈴木陽介 「ねこしき」より)

【猫飼いの愛情あるある 2】
猫が吐きそうになると手で受け止める態勢を作る

猫沢:そもそもゲボ(吐瀉物)が汚いという認識がゼロですね。食べているものが野生動物とかならちょっと…と思いますが、草とカリカリだから全然ですよね。

さきとも:これはとっても共感できます。「あれ、落とし物?」程度。

猫沢:見慣れていない人だと「吐いてるよ、病気なの?」とびっくりされることもありますが、こっちは手で受け止めてさらにギョッとされたりとか。手の上のゲボはそのままキッチンに運んで処理。床とか濡れてもいい所なら「思い切りどうぞ」って感じなんですけど、書きかけの楽譜の上やパソコンのキーボードの上はダメ。そんなときに手を出します。

さきとも:自分が寝ていても、吐きそうな声がするとすぐにわかりますよね。

猫沢:わかる。私も、「ケホッ」とえづく声に敏感になって、すっごく深く眠っていてもパッと目が覚めます。

【猫飼いの愛情あるある 3】
排泄姿に喜びを感じる

さきとも:変態的な意味ではなく、「今日もちゃんと出てよかったな」って安心するんです。

猫沢:健康のバロメーターですよね。私も「贈り物」って呼んでいます。トイレを掃除するときに「今日もツヤがいいねぇ」とか「ちょうどいい硬さだね」とか(笑)。飼い猫を病気で見送った経験があると、ちゃんと食べて出すことがどれだけありがたいことかと。

さきとも:最近になってよりそう感じます。シニア(8歳)になったので。

猫沢:年齢的に、ピガがお兄さんで、ユピとぐっぴーが同い年かな。ともさんが飼っていたミミちゃんみたいに、24歳くらいまで長生きするといいですよね。

さきとも:本当に。病気を避けることはできないですが、気づくことはできるので。

【猫飼いの愛情あるある 4】
言葉以外の言語で猫と通じ合うことができる

さきとも:これが猫力(ねこりょく)ってやつですね。

猫沢:そう、「おいでおいで」みたいな。気持ちを込めたジェスチャーみたいな(笑)。家の猫とは目があった瞬間にお互いにちょっとわかる、みたいなところはありますよね。イオちゃんが亡くなってしんどかった頃、ピガはマイペースで空気を読まないのでこっちが落ち込んでいてもあまり影響がないんですけど、ユピはとても敏感でくっついて様子をみてくれていたりして。それがまたいじらしくてまた泣く…みたいな。一緒に暮らして愛情があれば、言葉じゃない感覚を共有しているなと感じることが多いですね。

▲日常に猫がいるって、このうえなく豊かで素敵なこと。(写真:鈴木陽介 「ねこしき」より)

みなさんなりの『ねこしき』が展開されていることがうれしい

さきとも:『ねこしき』は何度も読ませていただいて、グッとくる言葉とか作ってみたい料理とか…そばに置いておきたい1冊になりました。最後に制作秘話を教えてください。

▲心に響く箇所や作りたい料理がたくさんで、付箋だらけ!

猫沢:ちょっと悲しい話になりますが…。撮影して原稿を書き、脱稿して校正して本ができるんですけど、ちょうど脱稿して1週間後くらいにイオちゃんの病気がわかりました。こんなことになるなんて思っていなくて、この本ができる頃にはイオちゃんはいないんだというのがなんともやり切れなかったですね。最終校了の翌々日に亡くなったので、もしかしたら制作の最後の作業までを見届けてくれたのかも。

編集の田辺さんが「超特急になるけど、2ページ空けられるからイオちゃんの追悼記を書く?」と言ってくれたのですが、彼女の死を悲しい感情のまま書くのは中途半端な感じがして、この悲しみがきちんと昇華できてから形にしたいなと改めることにしました。『ねこしき』が好評なのも、インスタに書いていたイオちゃんの闘病記に生死観を含めていたので、読んでくれる人がそれなりの態勢を整えてくださったことが大きいです。石田ゆり子さんに帯を書いていただいたことも力になりましたし、この本に関わってくれた方に感謝ですね。イオちゃんのことがあり、私にとって思い出深い1冊になりました。さきともさんのように、買ってすぐに読んでくださったり料理を作ってくださったり、それはもう私の手を離れているんですよね。みなさんの人生の中にそれぞれの『ねこしき』が新しい物語として展開されている気がしていて、すごくありがたいですね。

「今日はどんな感じかな」とアプリを開くたびに気になっていたイオちゃん。イオちゃんの闘病の日々を綴った猫沢さんのインスタは、涙なしでは読めませんでした。『ねこしき』はイオちゃんの置き土産的側面もある本。おいしそうな料理の数々にも目を奪われます。ぜひ手に取って、猫沢さん的運命を感じてみてください。

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取材/さきとも 構成/斉藤裕子

5/9(日)19:30~
丸善・ジュンク堂書店にて、オンラインイベント開催

書籍刊行を記念して、オンラインイベントを実施いたします。掲載レシピの中から「ねこしきベシャメルソース」作成を実演しつつ、保護猫イオちゃんとの出会いやその愛、自分の人生の輝かせ方などを語ります。

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『ねこしき 哀しくてもおなかは空くし、明日はちゃんとやってくる』
猫沢エミ/著 (TAC出版/¥1,650)

SNSでフォロワー急増人気沸騰中、業界にもファンが多い猫沢エミによる「#猫沢飯」が一冊の本になりました。同居する3猫との出会いや彼らとの暮らし、立て続けに看取った両親や家族との関係、仕事のこと恋愛のこと…etc. ドラマチックな人生の節目も平凡な日常も、どんな時だってお腹は減るし私たちは食事をする。最低どん底に凹んだときに食べたいもの、何を食べて立ち上がるのか、そして自分で自分を幸せにするためにはどうすればいいのか。ちょうど半世紀を生きて人生の後半を迎えた女性が、健やかに軽やかにより良く生きていくためにこしらえる、「生活料理人」な著者による普段の食のレシピをお伝えします。
食べることは命をいただくこと、生きること。同時に食べ物は「消えもの」、そして私たち人間だって「消えもの」。

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ミュージシャン/文筆家/映画解説者/生活料理人

猫沢エミ

1970年生まれ。2002年に渡仏。2007年より10年間、フランス文化に特化したフリーペーパー《Bonzour Japon》の編集長を務める。超実践型フランス語講座《にゃんフラ》主宰。著書に『猫と生きる。』(辰巳出版)、『東京下町時間』『フランスの更紗手帖』(ともにパイインターナショナル)など多数。
Instagram:@necozawaemi

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Domani専属モデル/インフルにゃんサー

ぐっぴー

Instagramフォロワー28.3万人を誇るインスタ猫界のスーパースター。誕生日:2012年11月2日(推定) 年齢:8歳 性別:たぶん男子(去勢済) 出身:東京都足立区 特技:人の話を聞くこと 苦手なもの:掃除機 好きなタイプ:貝殻ビキニの武田久美子 
Instagram:@gupitaro
Twitter:@Gupitaro1102
Ameba公式トップブロガー:「ぐぴログ」

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