受け身は、生まれつきの性質ではない
まずお伝えしたいのは「受け身」というのが、「引っ込み思案」や「大人しい」といった性格とは違うものだということです。「受け身」は、自分の意思を持っているのに、うまくそれを出せない、指示をされないと行動できない状態のことだと捉えています。
実はこれ、後天的についてしまうものなんです。赤ちゃんがお腹が空いたら泣くように、人は必ず意思を持って生まれてきます。しかし、それを表現した際に、周りの大人が嫌な顔をしたり、酷く叱ってしまうと、表現することをやめてしまう。特に子どもは親が大好きなので、親が嫌がる顔は見たくないと考えるのです。
子どもが自立的に育つ、関わり方3ポイント
1:「教えないと…」を手放して一緒に学ぶ!
まず初めに、子どもに何かを教えるという考え方をやめてみてください。教えないといけないと思うと、子どもに対しても自分に対しても、理想を押し付けてしまいます。そして、それが叶わないと、イライラして態度に出てしまう。
子育てを、教える機会としてではなくて、一緒に学ぶ機会と捉えてみましょう。親にとっても自分磨きの機会ですから、思いどおりにならないことがあるのも当然。辛いことや悲しいことがあったら、素直に子どもに話してみるといいですよ。大人の失敗する姿や、それをどう対処しているのかを見て、子どもは学んでいるものです。
私も娘がいるのですが。2歳の頃、彼女がいうことを聞いてくれなくてワンワン泣いたことがあります。すると、隣で彼女も一緒に泣いてくれて、そのうちに、お互いスッキリして気持ちがおさまりました。愛情や、お互いへの理解が深まった時間だと感じました。完璧な親であることよりも、子どもの横に立って、そのような体験を一緒に学んでいける関わり方ができるといいですね。
2:比較したり、敏感すぎるのはNG!
親が少し鈍感になってあげることも大切です。周りの子は、もう、うんちができるのに自分の子どもはできないとか。いつまでも断乳できていないとか。そういう場面に出会うと、子どもの発育が遅いんじゃないかと不安になってしまいますよね。
でも、これは心配しすぎかもしれません。ママから離れたくない、巣立ちたくないという気持ちが表れているだけで、おそらく子どもは、どのタイミングでどう自立したらいいかを知っています。
私の娘も、1歳で体重が7キロしかなくて、周りよりもずっと小さく、いつまでも抱っこちゃん状態が続いてました。不安になったこともありましたが、「心ゆくまでそうしてたら良いわ」と思って接するようになるとすごく楽になって。気づいたら、その時期は抜けていました。
「この時期には、このくらいできているものだ」「ここまで育っているものだ」と、あまり主観的になりすぎると、子どもの変化を見逃してしまいかねないです。
3:答えを焦らない。待ってあげるのも大切!
子どもの考えや気持ちを「教えて」と聞いてください。その時に本当に興味をもって聞けたら、子どもはたのしそうに話そうとしてくれるものです。
ただ、中には言葉がうまく思い浮かばない子もいるので、焦らないこと。子どもは、自分の中で整理できるまで、言葉を熟成させます。まだ整理できていない事について、何度も聞かれたり、『こんな気持ちなのね』と一方的に決めつけられたりすると、『お母さんは知りたいと思っていない』と感じてしまいます。
そんな時は、空気を変えてあげること。すると、少し時間がたった後でポロっと話してくれたりします。気楽に待ってあげることも大切なんです。
「対話」と「アイディア」を積み重ねよう
親だからこうしなきゃならないという考えは捨てていいと思います。常識は置いておいて、子育てで困ったときや、失敗したなと思った時は、子どもと対話しながら解決していきましょう。
対等に相談すると、「じゃあ、お片付けは僕がやろう」とか「パパに頼ってみよう」とか、子どもの考え方を聞く機会にもなります。対話をしていると気持ちも落ち着いて、困りごとを解決するアイディアが浮かんできたりもする。子どもと一緒に、楽しく過ごすためのアイディアをたくさん話せるといいですね。そういう時間の積み重ねで、子どもは自立的に育っていくのです。
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教えてもらったのは
下向 峰子さん
株式会社日本コスモトピア 代表取締役社長
高校の音楽教師を目指し、大阪教育大学大学院 教育学研究科 音楽教育学課程 声楽専攻修了。音楽教室を経営し、2~50歳までの生徒にピアノ、声楽、音楽理論等を教える。
1986年、株式会社日本コスモトピア取締役に就任。その後、「自立学習」をテーマに学習塾に向けた教科教材の企画・制作に携わる。制作チームを統括し、次々と新しいアイディアを駆使した教材を生み出してきた。この制作チームでは、能力のある母親たちの短時間労働を受け入れ、意欲と能力のある女性が活躍できる職場づくりに尽力し、母性を土台とした子どもたちの一人ひとりのつまずきを解決する教材制作を展開してきた。学習塾用教材「Selfee Win」「わくわく文庫」、学校用教材「みんなの学習クラブ」、生涯学習用教材/プラットフォーム「カルチャーレストラン」等を次々と企画・開発。
2011年代表取締役となり社長に就任、現在に至る。