子どもにいつも我慢を強いたいわけじゃないけど、必要なときもあるし、我慢できる子にもなって欲しい。かといって、我慢させすぎても子どものメンタルが心配。どこまで子どもに我慢をさせたほうがいいのか悩むことが多いと思います。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに、子どもの我慢をどう見極めたらよいのかお聞きしました。
親が思う以上に子どもは我慢している!?
「子どもは家から一歩外に出ると、我慢する機会は豊富にあります。とりわけ、学校生活は我慢の連続と言えるかもしれません。例えば、
●チャイムに合わせて行動しなきゃいけない
●自分の興味関心とマッチしない授業を勉強しなきゃいけない
●みんなに合わせて行動しなくてはならない
●休み時間に遊ぶ時も、自分の思うままにはならない
●給食だって時間内に食べなきゃいけない
など、集団生活の中で我慢はつきものです。ですから、無理に家庭で【我慢させる機会を持つ】【我慢力をつける練習をする】必要はありません」(吉田さん)
確かに学校生活だけでなく園生活でも集団でいる以上、すべて自分の思い通りにはならず、何かしらの我慢をしています。子どもが家でわがままを言ったり、過ぎたことをすると、親としては〝きちんとしつけをしなくては〟と厳しくなりがち。こんな場合はどうしたらいいのでしょうか。
させないほうが良い我慢とは?
「しつけは大切ですが、子どもの心はもっと大切ですよね。自分が厳しくなりすぎていないか、以下のことを振り返ってみてください。
●我慢ばかりの生活
塾や習い事で我慢過多になっていませんか? 先にも述べたように学校生活は我慢の連続です。そこへ塾や習い事で我慢が増えると、学校生活などで不適切に発散していることも少なくありません。
●つい『我慢しなさい』と言ってしまう
これは親が口癖になっている可能性があります。『我慢しなさい』と言った事柄を一度振り返ってみてください。本当に我慢が必要でしたか? なんでもかんでも我慢では子どもの心が健やかに成長せず、親子の信頼関係が悪化してしまう恐れも。
●いっぱい遊んだ後には我慢させなきゃと思う
例えば〝日曜日遊びすぎたから、いつも楽しみにしている夜のテレビはなし〟みたいなことをついしてしまいがちです。しかしこのやり方で我慢力がつくわけじゃありません。大人側の自己満足にならないように注意が必要です。
以上のことに配慮しつつ、子どもにさせる我慢をジャッジしてみてください」(吉田さん)
子どもは外で我慢をした分、家で甘えを見せてくるでしょう。そんなとき、親は子どもが忍耐強く頑張っている、我慢していることを認め、労う言葉をかけてあげられるといいですね。それが子どもにとって安心感や次への活力になってくれるはずです。
取材・文/福島孝代
イラスト/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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