「G.W.明けに、子どもが学校へ行きたくないというケースを何例も見てきました」そう話すのはスクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さん。新学期から毎日元気よく通ってたはずが、連休明けの朝にどんよりとした表情。ちょっと心配になりますよね。5月に増えるこの症状はどうして起こるのでしょうか、吉田さんに詳しくお聞きしました。
5月の「学校行きたくない」は、4月の頑張りの表れ!
「4月の新学期、子どもたちは新しい教室、新しい先生、新しい教科書、新しい時間割、そしてクラス替えなど新しいものに囲まれて過ごします。1年生は特に周りを観察しながら失敗しないように過ごします。2年生以降も大なり小なりの緊張感を持って過ごすのが4月です。頑張りが慣れる頃、GWがやってきますよね。そこで一旦肩の力を抜いてほっとすると、我慢していた疲れや本音が顔を覗かせるのです。それが5月に急増する『学校行きたくない』に繋がります」(吉田さん)
確かに大人にも5月病があるように、子どもも精神的に疲れを感じる時期かもしれません。
行きたくない理由別に、親の声がけをご紹介!
「まず行きたくないと言った場合は、最初は励ましながら行かせてみましょう。段々と学校生活のリズムを取り戻し、楽しい毎日に戻っていく子もいます。しかし、泣いて嫌がるようであれば1〜2日お休みして、嫌な理由を聞いてみてください。行きたくない理由が、
1:学校に嫌な理由がある場合
給食が嫌、隣の席の子が嫌など理由がはっきりしている場合は、まずは親子でそのことについてじっくり話します。先生の協力が得られそうなものは、相談をして対処をしてもらいましょう。また、日頃頑張っていることのハードルをちょっと下げるのも手です。本人の頑張りを褒めることで、モチベーションアップにも繋がります。
2:理由はないけど行きたくない
小学生の場合は、疲れが溜まっていると『学校へ行きたくない』と言ってみたりします。予定なしの休日を作り、ゆったり過ごすと回復できる子もいます。また『行事続きで疲れちゃったかな』など、行きたくない理由を親が特定してあげるのもいいと思います」(吉田さん)
注意! 親がとりがちな言動は逆効果!?
熱もない風邪症状もないとなると、行きたくないという理由だけで学校を休ませるのはいけないこと、と親は思ってしまいますよね。ましてや忙しい朝の時間に「学校に行きたくない」と言われると、「とりあえず今日は学校行って!」なんて送り出してしまったりも。そんな親がとりがちな言動は、子どもにどのような影響があるのか吉田さんにお聞きしました。
「親がとりがちな代表的な言動を2つご紹介します。
1:とにかく行かせる
休み癖や怠け癖を心配して〝学校は行くもの〟とし、とにかく行かせる。これは親の言うことを聞いている間は登校してくれますが、根本的な解決には至っていないため、いつかは行き詰まります。行きたくない理由がうまく話せなかったり、例え理由がなかったとしても、一方的に行くことを押し付けないほうが良いとされています。まずは、子どもの気持ちに寄り添ってみてください。
2:行けば何とかなると行かせる
やり方としては<1>と似ていますが、<1>は子どもが常に学校へ行きたくないと思っているのに対し、<2>は学校から帰ってくるとケロッとしているので、行けば何とかなると親が思っているパターン。これには朝起きるのが苦手な子、学校まで送って欲しい子、朝食欲がない子など、朝の時間に問題を抱えている可能性が。学校では楽しくしているからと無理強いを続けていると、親子で不信感が生まれたり、我慢や怒りが溜まり行かない気持ちが増幅する恐れも。早いうちに対処すれば、長期化せずに済むので丁寧に原因究明をしてみましょう」(吉田さん)
「学校に行きたくない」と言われると〝 「不登校になったらどうしよう」と親は不安な気持ちでいっぱいになります。しかし、親が過剰に反応すると、子どもの行きたくない気持ちに拍車がかかってしまうことも。ここは冷静になり、身体が疲れていれば休みたいよな、何か心に引っかかっているものがあるのかななど、一歩引いて見てみましょう。小学生のうちは子どもが心の内を親に話せること、親が一緒に解決してくれる経験が重要ポイントになるのではないでしょうか。
構成・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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