ワーキングマザーだったお母さんがかわいすぎる!
――ちなみにお母さんは、外で働かれていたんですか?
亜生:働いてました。ずっと共働きで。
昴生:だからおばあちゃんに育ててもらってましたね。
亜生:この間な、定年になって。
昴生:同じところで40年くらい働いてたんです。なかなかよう働いてくれましたね。ほんま感謝。
亜生:幼稚園が終わったら、おばあちゃん家に預けられてたんです。
昴生:だから、おばあちゃんの影響もあると思います。
――あ、それで優しい性格になったかもしれませんね。
亜生:そうですね、おばあちゃん友達たちともしゃべるしっていう。
――(笑)。
亜生:幼稚園が終わったら、ほんまに遊ぶ人がいないから、おばあちゃんの友達の家に行ってとか。
昴生:その地域では、アイドルみたいだったんで。だからそういう年長の人らから、いろいろ教えてもらってるなんかが、あるんかもしれませんね。ちっちゃいころ、友達と遊んだ記憶がないですもん。ずーっと周りに大人がいて、しかも女の人ばっかり。
お父さんは船舶の仕事をしていたので、あまり家にいなかったし、お母さんとかおばあちゃんとかだけじゃなくて、おばあちゃんの妹とかお母さんのお姉ちゃんもおったし、さらにその従姉妹とか、全員女性だったんですよ。だからたぶん、弟叩いたとかしたら、めっちゃキツく怒られたんやろうと思うんですよ。亜生に手を上げたのってほとんど記憶ないですもん。
亜生:高校のとき、頭とか踏まれてましたけどね。
昴生:1回だけね(笑)。
亜生:ガンガン踏まれてました。
昴生:それはケンカしてね。でもあれくらいやもんな、ほんまに。やっぱりそこがいちばんキツく言われてたからなんでしょうね。「優しくしなさい」というのは言われていた気がしますね。
▲「似てない兄弟」と言われているものの、目尻の下がり方、口の開き方……同じではないですか! インタビューの録音も、ときにどちらが話してるかわからないくらい、声もそっくりなんです。
――ちなみに、本の中に出てきますけれど、お母さんのことを“みっちゃん”って呼ばれてるんですか?
亜生:そうなんですよ。うちのオカンが変で。
昴生:僕が中学生のときに、家が通学路のど真ん中にあったんですよ。だから友達がめっちゃ来てたんです。平気で家の中に上がり込んできたりして。で、友達は「おばちゃん、おばちゃん」って言うじゃないですか、オカンのことを。そしたらオカンが「おばちゃんじゃない、○○○さん(注:お母さんの本名)って言いなさい」って。で、僕の周りはみんなそう呼んでて。親戚もみんなオカンのことを“みっちゃん”って呼んでたし、僕らも自然と高校生くらいのときから“みっちゃん”に。
――お父さんのことは、どう呼ばれてるんですか?
亜生:オトン。
昴生:オトンは、まだちょっと、ちっちゃいときの怖さが残ってるんですよね。近ごろはさすがに、ですが。
亜生:でも、ときどき僕といるときだけ、お兄ちゃんはオカンのことを”おばはん”って言ってはるんですけど、あのときちょっとクッってなります。「そんな言い方やめてあげてや」って。「あのおばはんが……」とか言うから。
昴生:おばはんなんですよ、ほんまに。
亜生:(笑)。マジでおばはんなんですけど、でもみっちゃんかお母さんって、呼んであげーや。
昴生:小憎たらしいときがあるんですよ。
――(笑)。本の対談を読んでも、にぎやかなご家庭そうなのがわかります。
亜生:オカンはずっとしゃべってますよ。この間もちょっと帰ったら、汗かいてしゃべってましたもん。
――(笑笑)。
亜生:そんな汗かいてしゃべらんでも。今まで会えへんかったぶん、ここで出すんだ、くらいしゃべるんで。
――久しぶりに息子さんが帰ってこられて、うれしいんですよ、きっと。
昴生:わかるんですよ。こんなに伝わるかってくらい、伝わるんですよ。それは気持ち痛いくらい伝わるんですけど。
亜生:でも「うれしない」って言うんですよ、絶対。「部屋狭なる」って言うんですけど(笑)。
――わー、お母さん、かわいい! 自慢の息子さんじゃないですか、お友達とか、ご近所とかに。
昴生:今はね、そう思ってくれてるでしょうね。
亜生:この前な、サイン会かってくらいサイン色紙書いたな。「これ誰に渡すの?」って聞いたんですけど「もう書いてもらっといたほうがいいから」って。
昴生:うれしいですけどね。本来はめっちゃ漫才師になることを反対していたのに、今は実家に帰ったら何百枚もサインを……っていうのは。
亜生:初めての単独ライブのポスターも、まだ飾ってくれていたりするし。
――それは素敵ですね。
昴生:感慨深いものがありますね。
聞けば聞くほど愛にあふれたエピソードでした。こうなってくると、お母様にも興味津々。いつかDomaniで「みっちゃんインタビュー」も実現するのでしょうか(笑)。さて次回は、「私服がおしゃれ!」と定評のある、おふたりのファッションのこだわりについて、語っていただきます!
撮影/高木亜麗 取材・文/湯口かおり
『MIKI OFFICIAL BOOK ミキ、兄弟、東京』
ミキ/著(発行:ヨシモトブックス/発売:ワニブックス/¥2,420)
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お笑い芸人
ミキ
京都府出身の兄弟漫才コンビ。兄の昴生(こうせい)と弟の亜生(あせい)で2012年にコンビ結成。2016年「第46回NHK上方漫才コンテスト」優勝、2017年「M-1グランプリ2017」3位、2019年「第54回上方漫才大賞」新人賞受賞。2019年4月以降は、東京に拠点を置きながら、全国で漫才を披露している。7月からは単独ライブ「ミキ漫2021 全国ツアー」がスタート予定。公式HP