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LIFESTYLE 夫婦

2021.06.28

長年夫に従順だった妻が、犬の散歩がきっかけで不倫を始めた理由|『あなたはどう思いますか?』

 

『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、東京で働く女性の恋愛事情をレポート。甘い禁断の果実に潜むリスク…あなたはどう思いますか?

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夫の出世が遅く、管理職試験を辞退した恨みもあった

お話を伺ったのは…

菊田倭子さん(仮名・36歳)。東京都八王子市出身・中堅私立大学文学部卒業後、大手家電メーカーに勤務(年収500万円)。同じ会社に勤務する3歳年上の夫(年収1000万円)と結婚5年。江東区内の分譲マンションに住む。子どもは4歳男子。身長160cm、ぱっと見、セクシーな日本美人。

倭子さんは31歳のときに社内結婚をした。大手企業正社員同士のパワーカップルで、親や親戚たちは「一生、食いっぱぐれることがない」と大喜びしたという。

「安定はしているかもしれませんが、会社の中で飼われているって感じはあります。といっても私は企画ができる人間ではない。雑用の量は増えて余裕もありません。子供を産んだらなおさらですよ。去年、管理職試験の声がかかったのですが、出世が遅い夫が“それはやめてくれ”と待ったをかけてきたんです」

管理職試験に合格すれば、年収は200万円近く増える。倭子さんは出世欲がある。

「しかし、夫は“妻が俺より出世するのは嫌だ”と言ってきた。本当クズですよね。そのことと、家事と育児を私に丸投げし、ろくに生活費をよこさないことをずっと恨んでいたのですが、コロナで犬を飼って劇的に人生が変わりました」

家にいる時間が長くなり、2020年6月、憧れだった犬を飼うことにした。

「ペットショップではなく、保護犬団体からウチに迎えたのです。最初はガリガリに痩せていたのですが、日を追うごとに元気になっていった。最初は息子や夫もかわいがっていて、奪い合うように散歩をしていたのですが、1か月もしないうちに飽きて私が世話をすることに。犬がいると2時間くらい歩いても苦にならないし、すごく楽しい。それにかわいい。名前を呼ぶと一目散に走って来てくれるんです」

明け方の街で、50代の男性に声をかけられる

倭子さんが犬を散歩するようになったのは8月。気温が上がるので4時半に起きて散歩をしていた。

「同じルートを歩いていると、顔ぶれが似てくる。私は川沿いに歩くことが多いのですが、よく見る50代の男性に“おはようございます。ワンちゃんかわいいですね”と声をかけられたのです。その男性は、白髪頭を短髪にしていて、カッコいいなと思っていたんです。飼っているイタグレ(イタリアン・グレーハウンド)も優雅で高そう。それなのに、ウチの犬を褒めてくれるんです」

男性とはその後、立ち話期間が2か月ほど続いた。おススメのドッグフードや動物病院情報などを交換する。立ち話が30分以上になることも増え、犬同士も仲良くなる。

そのうちに、「ウチに来てお茶でも?」という話になった。男性は近くのマンションで一人暮らしをしているという。

「さすがに家はダメだろうと思って断りました。“それもそうですよね”と彼が笑い、その日は別れた。このときに、私は“夫からずっとないがしろにされていたんだ”と感じたんです」

なぜそう思うか。それは、彼が倭子さんの拒否を受け入れたからだ。

「結婚5年間、夫の要求に対して、私はすべて“はい”で答えていた。夫は私が何か拒否をすると、夫はあからさまに不機嫌になる。息子にまで当たることがあった。だからすべて肯定。管理職試験の見送りも、不本意な性交渉も、家事・育児の押し付けも、すべて“YES”だったんです」

その翌朝から男性は1週間ほど姿を見せなかった。倭子さんは心の底から落胆する。名前も知らず、連絡先も知らない。「自宅への誘いはお別れだったのかな」と悲しくなった。

「そしたら、8日目に会ったんですよ。私がすごく驚いたら、出張に行っていたって。留守中はペットシッターさんがワンコの面倒を見ていたそうです。その後、私から“家にお邪魔したい”と言いましたよ」

彼の家は川に向かって眺望が開けている80平米以上の物件で、別世界のようだったという。

「リビングからは公園の緑と川がバーンと目の前に広がっている。建材は白と木材と石しか使われていなくて、床がヘリンボーンなんですよ。高そうなソファと暖炉があるんです。無造作に生けられたカサブランカの生花が芳香を放っている。海外の雑誌に出てきそうなおしゃれ感でした」

私の話をきちんと聞いてくれる

その日は、コーヒーを飲みながら1時間程度で帰宅した。連絡先を交換し、彼は「倭子さんの話は独自の視点があり、おもしろいね」言った。

「この5年間、夫は私の話を聞かなかった。子どもの成長、仕事の話も完全に右から左。“ふーん”とか“はあ、そう”としか言わず、グチを言おうもんなら徹底的に私のダメ出しをした。大人の男とのコミュニケーションに飢えていたのかもしれない。彼はすごく話を聞くのがうまい。だって私に対して、“ごめん、聞き取れなかった。もう1回”などと聞き直すんですよ。それって話を聞いている証拠ですよね」

早朝家を出て、彼のマンションまで散歩をして、彼の部屋に行っておしゃべりをして帰る。その間、犬たちは彼の家のベランダのドッグランで遊んでいる。

「4回目のときに、私が座っているソファの隣に座って、肩に手を回してきた。私が体にもたれると、手に力が入って、グッと体を引き寄せてきてキス。長い時間、優しいキスをして“いい?”と聞いてから、胸に手を伸ばしてきて、そこから男女の関係に。彼は、見た目はお腹も出ていないし、筋肉質に見えるけれど、年齢相応にマフィントップ(下腹のたるみ)があって、そこもかわいいと思った」

暴力的な夫に比べて、彼は慣れていた。体が開いていくように感じたという。

「今までの人生で一番気持ちよかったかも。早朝の高級マンションで、ベランダで犬が遊んでいる間に、そういうことをする。お酒を飲まないのにするというのも新鮮だし、初めての不倫だし、最高です」

今も、週に1度くらい関係を持っているという。

「彼は社会的地位もあるので、外でデートはできない。でも、彼に愛されるようになってから私は穏やかになったし、怒らなくなった。夫婦関係も前よりはよくなったんです。夫に嫌なことをされている間も、彼を思えば乗り切れる」

倭子さんは、頭では彼との結婚はないと思っている。しかし、本能が彼との結婚を求めている。押しかけ女房になりそうにもなったというが、それをしたら別れられてしまうことも知っている。現状維持のための自制がいつまで持つか……それがこの危うい幸せの鍵を握っている。

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Writer&Editor

沢木 文

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。

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