水回りを分けた同居生活で快適なはずが…
夫婦の生活に過干渉をしてくる義母がいると、本来はうまくいく結婚生活が壊されることも。さらには、離婚話にまで義母が過剰に干渉してくると、なかなか話がまとまらずドロ沼の道に…。
ミルさん(仮名・39歳)は、ひと回り年上の夫と結婚生活わずか2年で離婚を選択。その理由は、同居する義母の過干渉でした。
「キッチン、お風呂場と水回りだけを分けた家で、義母と同居生活を送りました。義父はすでに他界していたので、義母と夫と3人で暮らしていました。けれど、実際に暮らし始めてみたら、義母は私たち夫婦の生活ゾーンに入り浸りなだけでなく、私の一挙手一投足に口出し。こちらの水回りも勝手にいじって文句を言うし、義母は私のやることがいちいち気に入らないって態度なんです。そのうちに、義母の言動もエスカレート。1年もしないうちに、はっきりとした嫌がらせをするようになりました」
そもそも、義母との同居でミルさんの結婚生活がスタートした理由は、義母が高齢だったから。夫が義母をひとりで置いておけないと言い出し、婚約して半年後、結婚式の3か月ほど前に同居を提案してきたのだそう。
「本当は新婚当初の1年くらいは、夫婦だけで暮らしたかったのですが、義母の年齢を考えて了承したんです。それに、同居前は義母も猫をかぶっていて『こんなお荷物な私の面倒をみてくれるなんて、ありがとうね』なんて言っていたし。だから、実際に住んだら、あそこまでひどい義母だとは想像もしていませんでした」
「早く離婚しろ」と罵る上に夫に嘘をついていた義母…
「同居して1年ほど経つと、義母の態度は本当にひどいものに。夫がいないところでは『あんたは邪魔』『私は息子とふたりでくらしたいんだから、お前は早く離婚しろ』などと面と向かって言ってくるようになりました。夫に相談するも、マザコン気質な性格のせいか『好きに言わせておけば?』とまともに取り合ってくれず。そのうちに、義母からのイジメはどんどんひどくなり、私にと作ってくれた食事に私が食物アレルギーの食材を内緒で使ったり、私の私物を勝手に捨てたりと、とんでもない行動が増えたんです」
このままでは、平穏な結婚生活なんてとても望めないと思っていた矢先、夫からいきなり離婚を突きつけられたというミルさん。夫の言い分は『君が、母さんをいじめているのが耐えられない』でした。
「まさか義母が裏でそんな嘘までついているとは思わなかったので、深く傷つきました。でも、夫に話をしても、すでに義母の話を信じ込んでしまっている夫には届かず。結局、そのまま離婚の話し合いへと進みました」
しかし、離婚の話し合いは難航。その理由は、夫婦の話し合いなのになぜか義母が毎回口を挟み、夫に有利な離婚条件に合意するよう、すごんできたからです。
「最初のうちは、自分を守るために戦おう!と思っていたのですが…。義母があまりにも意地悪すぎて、だんだんと疲れてしまい、最終的には『この人たちと離れられるなら、もうなんでもいい』という心境にさせられました。なので、離婚条件は夫と義母の希望通り。私はあれだけ嫌な思いをし、我慢の連続だったけれど、何ひとつ残りませんでした」
協議離婚ではなく、調停や裁判まで進めれば結果は違ったかもしれないけれど、その当時のミルさんはメンタルはボロボロ、とにかく一日も早く平穏な日々を取り戻したいという心境だったそう。
「今思えば、あの結婚は関わるべきじゃない人たちと、間違って関わってしまったって気がしています。でも、夫もそうだけど義母の本性なんて、結婚前に見抜くのはまず無理。もはや、運が悪かったと諦めるしかないって自分を納得させなければ、あの過去を乗り越えることはできなかったです。マザコン気質な夫は、人生の大事な局面でも、信じられないくらいに母親を優先します。それも、筋金入りのマザコン男と結婚したからこそ、身をもって痛感しました…」
今では、穏やかな生活を取り戻したミルさん。しかし「もう結婚はこりごり」で男性不信にも陥り、今はシングルで静かに暮らせていることに、とにかく幸せを感じていると口にしたのが印象的でした。
取材・文/並木まき
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