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日常会話におけるニッチを解説
ニッチとは、一般的に「隙間」という意味です。しかし、日常・ビジネス・建築・生物学などさまざまな分野で用いられており、その意味はそれぞれの分野で異なります。
はじめに、日常会話におけるニッチの意味や使い方、語源と類語・対義語をご紹介します。
■日常会話におけるニッチの意味や使い方
日常会話におけるニッチとは、「個性的な、マニアックな」などの〝一般的ではない〟という意味で用いられます。人や物の特徴を表す用語として使用され、「ニッチな人」「ニッチな趣味」などと表現されます。
ネガティブな言葉に聞こえることもあるかもしれませんが、よい意味で用いられることも多いです。「ニッチな趣味だね」と言われた際には、着眼点や知識の深さに感心し評価しているとも考えられます。
■日常会話におけるニッチの語源
ニッチは英語の「niche」からきている言葉です。そもそも英語の「niche」は、ラテン語の「nidus」が、後にフランス語に転じ「niche」となったものが語源です。
ラテン語では「巣」などの意味を持っており、フランス語になると西洋建築の壁面のくぼみである「壁がん」などの意味がプラスされました。また、英語の「niche」になるとラテン語とフランス語の意味に加え、くぼみのイメージから「隙間」の意味も加わったとされます。
さらには、壁のくぼみにオブジャを飾るイメージから「適所、得意分野」の意味も加わり、英語の「niche」は多様な意味を持ったようです。
■日常会話におけるニッチの類語・対義語
日常生活におけるニッチの類語や対義語として次のような言葉があげられます。
【類語】
「個性的」
ほかの人とは異なる特性・性格・性質を持っている人や物
「マニアック」
ある事柄に極端に熱中しているさま
「風変わり」
状態・様子・性質などがほかとは違っているさま
【対義語】
「スタンダード」
標準、基準、標準的なさまであること
「一般的」
すべてには当てはまらないが、広く認められ全体に通じる状態であるさま
「メジャー」
規模が大きいことや主要な位置を占めていること
ビジネス用語におけるニッチやニッチビジネスを解説
経済やビジネスシーンにおいてビジネス用語として用いられるニッチの意味や使い方と、ニッチビジネスのメリット・デメリットや成功事例をご紹介します。
ニッチという言葉を一般的に最もよく耳にするのは、このビジネス用語としてではないでしょうか。特に、中小企業にとってはマーケティングや事業戦略において欠かせないもののため、正しく意味を理解しましょう。
■ビジネス用語におけるニッチの意味
ビジネス用語におけるニッチは、「大手企業が狙わないような、規模が小さく見逃しやすい事業領域」を指します。また、まだ誰も手をつけていない分野や、万人受けではないが一部に需要がある商品など、現存する分野や市場では補えない「隙間」のことも指しています。
ビジネス用語におけるニッチは、経済学者のフィリップ・コトラーが唱えた「競争地位戦略」が元となっており、コトラーは比較的小規模な市場でも、特殊なニーズに対応したサービス提供によって専門化が可能であると提唱したのです。
■ビジネス用語におけるニッチの使い方
ビジネス用語におけるニッチには次のような使い方があります。
「ニッチビジネス」
市場の大部分を占める顧客ニーズに対してではなく、一部の特定した顧客やニーズに対して商品・サービスを提供するビジネス。
「ニッチ戦略」
大企業や既存企業でシェアを占めている市場での競争を避けて、まだ誰も手をつけていない市場や小規模な市場で自分たちが主導権をとることを目指す戦略。
「ニッチ商品」
特定の顧客、特定の時期だけに利用する商品を指す。たとえば、ウエディング、赤ちゃん、スポーツ用品など。
■ニッチビジネスのメリット・デメリット
ニッチビジネスには次のようなメリット・デメリットが考えられます。
【メリット】
・大企業にも負けない強みが手に入る
大企業が囲い込めなかった顧客のニーズを満足させられるようなサービスを提供すれば、規模は小さくとも大企業にも勝る強みが手に入るメリットがあります。
・参入が容易
顧客が限定されることからサービスの開発や提供などのコストが比較的少なく済み、参入が容易です。
デメリット
・収益維持が難しい
ニッチビジネスは事業規模が小さいことや限られた範囲であるため、収益維持が難しいこともあります。
・マーケットの動向を常に観察しなければならない
ニッチビジネスは規模が小さいことから、時代の移り変わりによってニーズそのものが消滅するリスクも。そのため、マーケットの動向を常に観察する必要があります。
■ニッチビジネスの成功事例
ニッチビジネスの成功事例として、「セイコーマート」をご紹介します。成功例として多く取り上げられるコンビニエンスストアです。セイコーマートは北海道に特化しており、道内で高いシェア率を誇っています。
店内で調理したお弁当やスナック類を提供し、直営店を多く持つことで迅速な新商品提供の体制を維持し、北海道というエリアに特化して営業したことで成功を収めたのです。
建築用語におけるニッチを活用方法と併せて解説
建築用語におけるニッチの意味や、住宅にニッチを取り入れるメリット・デメリットとニッチを上手に使うコツを併せてご紹介します。
住宅にニッチを設置している、またはこれから設置予定だという人はぜひニッチの活用方法を知っておしゃれな空間を演出してみてはいかがでしょうか。また、設置を悩んでいる方はメリットやデメリットも考えなからニッチの設置を検討してみてください。
■建築用語におけるニッチの意味
建築用語におけるニッチは「くぼみ」のことを意味します。具体的には、住宅の壁面の一部に凹みをつくり飾り棚や収納としてのスペースを設けることを指します。
ニッチの設置場所としては、キッチン・トイレ・リビング・玄関などさまざまな場所が考えられ、そのサイズは大小さまざま。アートや小物を置いたり、間接照明を設置したりと場所を取らずに多様な楽しみ方ができます。
■住宅にニッチを取り入れるメリット・デメリット
ニッチを取れ入れるメリット・デメリットとして次の点が考えられます。
メリット
・室内を広く使える
最大のメリットは、壁を凹ませて空間を作ることから収納棚を設置する必要がないため、出っ張りや圧迫感が少なく室内を広く使えることです。
・おしゃれ感がアップする
室内のおしゃれ感がアップすることもメリット。インテリアを飾ったり、アクセントをつけるために背景の壁紙をかえたり、自由にオリジナル感を演出できます。
デメリット
・ニッチをつくれる壁面は限られる
断熱材が入っている外壁面に接している壁や、構造上家を支えている耐力壁にはニッチはつくれず、すべての壁面に設置できるわけではない点に注意しましょう。
・地震対策が必要な場合もある
飾るものによっては、地震対策が必要なこともあるでしょう。花瓶・陶器など転倒したり割れたりしたら危険性のあるものは、滑り止めシートを貼るなどの対策が必要です。
■住宅のニッチを上手に使うコツ
ニッチを上手に使うコツとして、以下のようなポイントが挙げられます。住宅にニッチを設ける際には、ひとつの参考にしてみてください。
・色を統一する
収納ケースなどを設置する場合、色を統一することですっきりとした見た目で活用できます。
・飾るものの置き方を工夫する
飾るものの置き方を工夫することでよりおしゃれ感をアップ。縦に空間が並ぶニッチの場合は、物を置かない空間を左右に順番につくることでバランスよい見た目になります。
・テーマを考える
飾るもののテーマを考えることもポイントです。季節感、色やテイストなどでテーマを決め飾るものを厳選すると、よりおしゃれに活用できます。
生物学用語におけるニッチ
生物学用語におけるニッチとは「生態的地位」を意味します。生態的地位とは、生物が属する生物群集や、生態系の中で占める地位のことです。同じエリアで多数の生物がいる場合、生存競争を勝ち抜くか、昼と夜、もしくは生息場所などで棲み分けをおこない種を存続させます。
たとえば、ナマケモノやコアラなどが生息する樹上も、ひとつのニッチです。
ニッチの意味を理解し場面ごとに使い分けよう
一般的にニッチは「隙間」という意味で用いられます。しかし、日常会話においては「個性的な」、建築用語においては「くぼみ」など分野ごとにそれぞれ異なる意味や使い方を持っています。
各分野において、ニッチという言葉が出てきたときに間違ったり慌てたりしないためにも、それぞれの意味を理解しておいてはいかがでしょうか。
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