タイプの異なる2種類の歯ブラシと歯磨き粉で磨く
歯磨きをしていて、誰もがいちばん磨きづらさを感じるのは奥歯です。利き手側の歯の裏なども歯ブラシが届きにくく、古舘さんでも磨き残してしまうことがあるそうです。たとえば、プラークをチェックする“歯垢染色剤”を口にふくんでみたら、口の中のあちこちが色で染まるくらい歯垢がたまっているかもしれません。そんなときにおすすめなのが、“歯ブラシの二刀流”です。
「歯並びや歯の生え方は人それぞれ複雑なのに、1本の歯ブラシで完璧な歯磨きを目指そうとするから難しくなるのです。異なるタイプの歯ブラシ2本を使って、2回歯磨きすることで、磨き残しのない状態を目指してみましょう。
たとえば、まず一度に磨ける面積が広い“ヘッドが大きめサイズの歯ブラシ”を使って口の中全体をざっと磨いて汚れを落とします。次に、細かい部分や奥歯まで届きやすい“ヘッドが小さめサイズの歯ブラシ”を使って、細部の汚れを丁寧に取り除きます。歯ブラシを2本使って磨くことで自然とトータルの歯磨き時間が増えて、丁寧な歯磨きを実現することができるのです」
【古舘流・歯磨き二刀流のポイント】
●タイプの異なる2本の歯ブラシを選ぶ
・ヘッドの大きさ…1本目は毛が「4列」、2本目は「3列」など差をつけて
・ 毛の硬さ…1本目は「ふつう」、2本目は「やわらかめ」など差をつけて
・ヘッド(歯ブラシの頭部)の厚みも注意して選びましょう。一般的な厚みは3.9ミリですが、2.6ミリの薄いものもあります。
●口の中の状態に合わせて選ぶ
・歯ぐきを磨くと血が出る人→ 血が出る場所は、毛先のやわらかい歯ブラシを使って、歯と歯ぐきの間をやさしく丁寧に
・親知らずが半分だけ生えている人→ 届きにくいところは、ヘッドが小さい歯ブラシ(タフトブラシ等)を使って
・歯並びがジグザグになっている人→ 磨きにくい場所は、ヘッドが小さな歯ブラシで
・上の奥歯と頬の間が狭い(口の中が小さい)人→ ヘッドの薄い歯ブラシで
●歯ブラシの毛先の形
・山切りカットだと歯の面にフィットしない部分も出てくるため、毛先が平らな歯ブラシがおすすめ
●成分の異なる2種類の歯磨き粉を使ってみる
・1回目…むし歯を抑えるフッ化物配合の歯磨き粉で全体を磨く
・2回目…歯を強くする、フッ化物配合の歯磨き粉やCPP−ACP入りの歯磨き粉で磨いて、歯をコーティングする
●歯周病を防ぐには歯肉の溝にもブラシを当てる
・歯ブラシはペンを持つようにつまんで持ち、歯の表面に対しては直角、歯肉の溝に対しては45度の角度でブラシを当てて、小刻みに磨いていく
●歯ブラシ交換の目安は毛先
・目安は4〜8週間。毛先が開く前に交換を
「実は、電動ブラシのほうがプラークがよくとれるというデータはあるんです。ただし歯ブラシと同じようにちゃんと歯にブラシを当てないと汚れが取れませんし、また歯磨き粉の量が少なくなりやすく、使っているだけで“磨けた気になってしまいやすい”というデメリットがあります。私は、1回目の歯ブラシでフッ化物配合の歯磨き粉を使い、2回目で電動歯ブラシをつかうようにしています。
また、磨き残しがどこにできやすいのか、自分のくせを知ることも大切です。最初に“歯垢染色剤”で歯垢のたまっている箇所を確認してから、二刀流を始めるとより効果が上がるでしょう。一度、かかりつけの歯科医院でブラッシング指導を受けてみるのも効果的です」(古舘さん)
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取材・文/谷畑まゆみ
教えてくれたのは…
口腔外科医・歯科医師 古舘 健さん
歯科医師・博士(医学)・国立大学法人弘前大学医学部附属病院歯科口腔外科助教。全米トップのがんセンター、MDアンダーソンがんセンターに博士研究員として留学。がんゲノミクス解析に挑戦し、帰国後も兼任予定。北海道大学卒業後、青森労災病院、つがる総合病院などに勤務し、故郷青森の地で地域医療に従事する。口と体を健康に保つ方法を体系化し、発信している。
『万病・突然死を遠ざける近道「口がきれいだと、健康で長生きできる」』(古舘 健著 KADOKAWA刊 1200円+税)
▶︎https://www.kadokawa.co.jp/product/321803001676
フリーエディター・ライター・キャリアコンサルタント
谷畑まゆみ
働く女性のインタビュー企画がライフワーク。カウンセラーやキャリアコンサルタントとしての“聴く”スキルを活かして「YeLL」のクラウドサポーターとしても活動中。Domaniオンラインサロンでは、これまで「女の時間割」にからめた配信に4回登場。執筆協力した書籍、『わかる!伝える!視線の心理術』(造事務所編・メディアパル刊)が10月7日に発売されたばかり。マスク着用やオンラインでの画面越しという、新たな状況の中でのコミュニケーションにおける“人の気持ちを察するための手掛かりの不足によって生じる悩みや不安”の対処法について紹介している。