口呼吸、食いしばりを防止するのは舌の位置
テレワーク中は人としゃべる機会が少なく、出勤してもオフィスではマスク着用なので会話も控えめ。気のゆるみからマスクの中でつい口が半開きになって、舌の位置も正しくない位置に落ちてしまっているかもしれません。
「舌は本来、前歯の裏側のちょっと盛り上がっているところに貼り付いているのがあるべき姿なのです。舌が正しいポジションにあることで、自然に鼻呼吸をすることができます。しかし、口を動かす時間が減って口まわりの筋肉が衰えてしまうと、舌を正しい位置に保つことができずに、口の中でだらんと下がってしまったり、口が半開きになってしまうことで口呼吸になったりします。
また、ストレスから気づかぬうちに上下の歯と歯で、食いしばりをしているかもしれません。そうなると、口や顔の周りに痛みなどのさまざまな症状が出ることがあります。舌が正しい位置にあることで、食いしばりを減らすことができます。
そこで日常的に行ってほしいのが、舌が口の中で正しい位置にあるかどうかのセルフチェックです」
● 舌の位置のセルフチェック
・ ふだんからPCなどに「舌の位置に注意」とふせんに書いて貼っておく
・ デスクワーク中など気づいたときに、舌が正しい位置にあるかどうかを確認する
・正しい舌の位置は、口を閉じたときに舌全体が上あごに沿ってくっついている状態
・舌が落ちている場合は、正しい位置に舌を置く
舌専用の歯ブラシやガーゼを使ったケアでやさしくお手入れ
「もうひとつ行ってほしいのは、舌のお手入れです。舌を出したときにキレイなピンク色をしている人は、特にケアの必要はありません。もし、白いコケのようなものがたまっていたら、それは舌苔(ぜったい)かもしれません。舌苔とは、舌の粘膜がはがれたりこびりついたものに、ばい菌や食べかすなどの汚れが固まってできたものです。細菌やカビ(カンジダ)が増殖し、口臭の原因の一つになります。またカンジダや舌苔からは、アセトアルデヒドが発生します。アセトアルデヒドは、口の中のがんの原因になるとも言われています。そんなときはぜひ、定期的に舌のお手入れを行ってみてください。」
●正しい舌のお手入れのポイント
・舌の手入れは1日1回
・向きは奥から手前に向けて、回数は2、3回
・1か月くらいかけて落とすつもりで、やさしく丁寧に
・強くこすってしまうと舌苔のもとになるので要注意
・舌専用の歯ブラシが苦手な人はガーゼを使って
・人指し指にガーゼを巻きつけ、やさしくぬぐうように
「舌をお手入れするときには、できるだけソフトに行ってみてください。後ろから汚れをかき出すように、舌の表側を奥から手前へ、2、3回やさしくなでましょう。硬い歯ブラシなどでがりがりこすってしまうと、傷ついて舌苔がつきやすくなったり、細菌感染のもとになってしまうので注意してください」(古舘さん)
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取材・文/谷畑まゆみ
教えてくれたのは…
口腔外科医・歯科医師 古舘 健さん
歯科医師・博士(医学)・国立大学法人弘前大学医学部附属病院歯科口腔外科助教。全米トップのがんセンター、MDアンダーソンがんセンターに博士研究員として留学。がんゲノミクス解析に挑戦し、帰国後も兼任予定。北海道大学卒業後、青森労災病院、つがる総合病院などに勤務し、故郷青森の地で地域医療に従事する。口と体を健康に保つ方法を体系化し、発信している。
『万病・突然死を遠ざける近道「口がきれいだと、健康で長生きできる」』(古舘 健著 KADOKAWA刊 1200円+税)
▶︎https://www.kadokawa.co.jp/product/321803001676
フリーエディター・ライター・キャリアコンサルタント
谷畑まゆみ
働く女性のインタビュー企画がライフワーク。カウンセラーやキャリアコンサルタントとしての“聴く”スキルを活かして「YeLL」のクラウドサポーターとしても活動中。Domaniオンラインサロンでは、これまで「女の時間割」にからめた配信に4回登場。執筆協力した書籍、『わかる!伝える!視線の心理術』(造事務所編・メディアパル刊)が10月7日に発売されたばかり。マスク着用やオンラインでの画面越しという、新たな状況の中でのコミュニケーションにおける“人の気持ちを察するための手掛かりの不足によって生じる悩みや不安”の対処法について紹介している。