夫の「包容力のある姿」は幻想だった…
結婚2年目の晴香さん(仮名・41歳女性)は、6歳年上のバツイチ男性と、いわゆる“晩婚”でゴールイン。これまでもお付き合いをする男性はいたものの「結婚」となると決め手に欠ける人ばかりで、気づけば40歳目前までを独身で過ごしてきました。
「私自身、自分の気の強さを自覚しているので、結婚するなら包容力のある男性じゃないと、って思ってきました。夫は、交際中にはこれまでに付き合った彼氏たちよりも包容力があるように思えたのが、結婚を決めた最大の理由だったんですが…。実際に夫婦として暮らしてみて、それは幻想だったと思い知らされているところです」
なんでも妻の自由にさせるのは「自分軸がなくブレブレだから」
晴香さんの夫は、どんなことに対しても「いいよ〜」「任せるよ〜」と妻の自由にさせたがるほか、妻がイライラしていて文句や愚痴を言うと「うんうん。わかるよ」「つらいね」などと積極的に共感を示してくれる性格とのこと。一見すると、妻思いの優しい夫に思えますが、晴香さんはそんな夫の「自分軸のなさ」にウンザリしているそうです。
「私の機嫌次第で、言うことがコロコロ変わるし、何かを相談しても解決策を出してくれたことがありません。共感してくれるのはありがたいけれど、私の意見に対して“同じ価値観を有している人が同意してくれている”っていうのではなく、ただその場の雰囲気に合わせてYESを繰り返しているだけなんですよ。
話を聞いてもらいたいだけならそれでよくても、結婚生活では大きなことから小さなことまで、いろんなことを決断しなくちゃいけないじゃないですか? それなのに、夫に軸がなくてブレブレなものだから、私がひとりで決めかねることも何も決断できない。さらには、自分の意見すら言えない。私の意見や考えが以前と変われば、そこに対しても無条件にYESと同調してくるわけです」
友人たちに相談すると「頑固な旦那さんよりマシよ」と慰められるそうですが、当人である晴香さんにとっては深刻な問題になっています。晴香さんが、もっとも夫のそんな性格に対して嫌悪感を抱いたのが、“子作りの話”で、結婚当初は「年齢も年齢だし、子どもはいらない」と考えていた晴香さんに同調していた夫が、最近になって「やっぱり子どもをつくればよかったかも」と言葉にした晴香さんに、これまた無条件に同調してきたことだったそうです。
「子作りという、夫婦にとって大事な問題に対しても、このスタンスなのかと思ったら情けなくなりましたよ。結婚を決めた理由である“包容力の有無”が根底から覆されたようなものなので、正直なところ結婚生活には不満しかありません。
ここまでブレブレ男だと分かっていたら、おそらく結婚はしていませんね。まぁ、見抜けなかった自分がいけないし、今となっては遅いんですけど、結婚前に同棲をして、もうちょっと夫の本性をじっくり見る期間をつくればよかったなぁ…と悔やんでいます」
結婚を焦っていたわけではなくとも、恋人時代にパートナーの性格を見誤る話は決して少なくありません。恋人同士でいることと夫婦になることは、似ているようでまったく異なります。夫の本性を知ったときに、どこまで許容できるのかが問われるのも現実と言えるでしょう。
取材・文/並木まき