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2021.11.15

元タカラジェンヌ 瀬戸かずやさんインタビューvol.2|男役を卒業した今、ひとりの〝瀬戸かずや〟を作り上げる道へ

花組男役として18年のタカラジェンヌ生活をまっとうした瀬戸かずやさん。瀬戸さんの退団公演期間はコロナの影響が大きかった頃。宝塚大劇場千秋楽の無観客配信を経て、退団後の初舞台となる『Greatest Moment』のお話をうかがいます。

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コロナ禍の経験は大きいものとしてこの先の自分を支えてくれると思う

「この先、タカラヅカの生徒が二度とこのような景色を見ることのない世界になるよう、強く願っております」。

2021年5月10日の宝塚大劇場での花組千秋楽公演。いつもなら客席いっぱいに観客がいて、その2550人に見守られながら退団するはずだった瀬戸かずやさん。

新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期に重なり、一部公演中止、千秋楽は無観客ライブ配信というかつてない公演形態になりました。東京公演は一部イレギュラーであったものの無事大千秋楽まで駆け抜けられ、ファンもホッとしたことを覚えています(とはいえ、出演者を減らすためにAとBのチーム分けがありました)。退団されてからの初作品が、花組100周年アニバーサリーの『Greatest Moment』。花組ひと筋18年の瀬戸さんらしい演目です。

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――花組さんはコロナの影響を大きく受けたように思います。本来ならば2020年3月に宝塚大劇場公演で幕が開くはずだった『はいからさんが通る』は、まさに直撃でしたよね。

瀬戸かずやさん(以下敬称略):びっくりでした。お稽古をしている段階ではまだマスクもせず、海の向こうの遠い地域で大変なことが起こっているね、程度の意識だったんです。けれどだんだんニュースが大きくなり、世の中もどんどん変わっていき…あの頃は今まで想像したことのない日々でこの先の状況もまったくわからなかった。私たちエンターテイメントに関わる者だけでなくみなさんも同じ状況で本当に不安な毎日だったと思うのですが、舞台人として初日の幕が上がらなかったことはとても大きなショックでしたね。いつか幕が開く日のためにモチベーションを保ち続けることも、本当に難しかったです。

――『はいからさんが通る』の時は、ほぼ4か月止まって再開しました。

瀬戸:そうですね。(2020年)7月17日に初日を迎えて。

――いつ初日の幕が開くかわからない中、強く気持ちを持つのは大変ではなかったですか?

瀬戸:いやー…(しばらく考え)、自分で「どうにか頑張ろう!」と初めの頃は思っていたのですが、ひとりで時間を過ごしているとどうしても悪いことを考えてしまい、どんどん不安な方へ引きずられてしまうんですよね。「こんなことを考えてばかりいてはダメだ」とわかっていてもどうにもならない。この先も見えない。こんな思いをしているのは自分だけじゃないと理解しながらも、でも誰かと会って話したり励ましあったりすることもできない。すごくしんどかったです、あの時期は。でも、再開に向けていろいろな方が少しずつ動いてくださってお稽古場を解放してくださり、みんなが体を動かせるようにその場所の時間割を作ってくださって。システムが整い、限られた時間の中でみんなとも少しずつ会えるようになって気持ちも落ち着きました。

――ひとりでいると気持ちの切り替えがなかなかできないですもんね。

瀬戸:そうですね。時間ができたので自分自身を見つめ直し、「この先どうしていきたいんだろう」「なにができるんだろう」と山ほど考えました。タカラヅカの映像を観たり、全然関係のないドラマを観たりもしましたね。そうやって過ごしながらも心の中はモヤモヤしているんですけど、いちばんシンプルな「私はやっぱりタカラヅカが好きなんだな」という思いが強まりました。初心に戻る気持ちで、ぶれてはいけない軸の部分を思い起こして強化できたかな。「なにがあっても頑張らなきゃ、耐えなければ」と強く思いました。いざ公演再開が決まり全員そろってのお稽古となった時は今までとはまったく違うスタイルでの進行になったので動揺はしましたが、みんなそれぞれいろいろな思いを抱えながらも集まってともに時間を過ごすことの感動がありましたね。目には見えないけれどお互いに気持ちが感じられて。

それでやっと『はいからさんが通る』の初日の幕が開いて。最初は千鳥配席(左右前後ひとつ空けの席)で、今まで見たことのない客席でした。けれど、観客のみなさんが「待ってました」といわんばかりの大きな拍手を送ってくださって…あぁ、泣きそう…。あの時のことを思うと、普通に公演できることは当たり前なことではないんだなと思います。実は10年前の東日本大震災の時は当時花組トップスターだった真飛 聖(まとぶ・せい)さん退団公演『愛のプレリュード/Le Paradis!!』の時期で、震災の日は真飛さんのディナーショーに出ていたんです。そのあとすぐ東京公演が待っていたのですが、その時も停電などいろいろなことがありました。花組って試練が与えられているのかな…?(笑)

舞台が通常どおり進むことは当たり前じゃないし、客席で観てくださる人がいて始めて舞台は完成するんだと痛感しました。以前のように1か月正常に公演をやり切ることがどれだけ難しいことか。花組はコロナ禍になってから2作の宝塚大劇場公演が止まってしまっているので、なんともいえない気持ちになりますね。

――次の『元禄バロックロック/The Fascination!』が久しぶりのフル出演者公演になりますね。

瀬戸:そうなんです。私の退団公演もAグループとBグループに分かれて公演したので、全員で舞台に立っていない。そういう意味でも次の公演は何事もなく完走してほしいし、そうなったらたぶん私は泣くと思います。出ていないけど(笑)。そのくらい舞台のことを思ってしまうのはきっとコロナ禍を過ごした経験があってのことで、その経験は今後も大きなものになると思っています。

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