「餅は餅屋」とは専門家に任せるほうがよいという意味
「餅は餅屋」とは、餅は餅屋のものが一番美味しい、つまり、どんなことであれ専門家に任せるほうがよいという意味の言葉です。実際に餅を買うときに「餅は餅屋だから」と餅屋に行くこともありますが、時計を買いに時計屋に行く、着物を買いに着物屋に行くのように、餅以外のものを買うときでも使います。「餅屋は餅屋」も同じ意味の言葉です。
例えば以下のように使うことができるでしょう。
・今日の装いは特に素敵ですね!やはりスタイリストだけあって餅は餅屋ですね。
・このバゲットは本当に美味しい。スーパーで買うのとは違って、塩と小麦粉だけのシンプルな味わいだ。餅は餅屋とはよく言ったものだ。
【餅は餅屋】もちはもちや
餅は餅屋のついたものがいちばんうまい。その道のことはやはり専門家が一番であるというたとえ。餅屋は餅屋。
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
「専門家にはかなわない」の意味でも使う
「餅は餅屋」という言葉は、「専門家にはかなわない」という意味でも使用することがあります。例えば以下のようなシーンです。
・朝から頑張ってお弁当を作ったが、仕出し屋が作ったお弁当にはかなわなかった。やはり餅は餅屋だ。
・私も少しはプログラミングのことは分かっているつもりだった。しかし餅は餅屋だ。プログラミングを大学院で専攻していた彼女の知識にはかなわない。
上方のいろはかるたに由来する
「餅は餅屋」は、江戸時代のいろはかるたの「も」に選ばれた言葉です。読み札には「もちはもちや」と記載され、取り札には「餅は餅屋」を示すイラストが書かれていたのでしょう。
なお、いろはかるたにはいくつか種類があり、「も」に餅は餅屋と記載されていたのは上方(京都)のかるたとされています。その他の地域では「桃栗三年柿八年」や「門前の小僧習わぬ経を読む」が選ばれていることもあります。
「餅は餅屋」の類義語と反対語
「餅は餅屋」と似たような意味の言葉は多数あります。例えば、次の言葉は、餅は餅屋とよく似た意味で使われることがある言葉です。
・蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)
・芸は道によって賢し(げいはみちによってかしこし)
・海のことは漁師に問え(うみのことはりょうしにとえ)
また、餅は餅屋とは反対の意味を示す言葉もあります。よく使われる言葉としては次の2つを挙げられるでしょう。
・猿も木から落ちる(さるもきからおちる)
・左官の垣根(さかんのかきね)
それぞれどのように使うことができるのか、例文を挙げて解説します。
【類義語1】蛇の道は蛇
「蛇の道は蛇」とは専門家はその道をよくわかっているものだという意味です。
・どうやったらあの鉄壁の防犯対策をしている邸宅に盗みに入れるのか想像もつかない。蛇の道は蛇というから、刑事は元泥棒の彼に「どこから賊が侵入したと思うか」と尋ねてみた。
また、「蛇の道は蛇」という言葉は「同類の人は何をするのか推測できる」という意味でも用います。例えば次のように使えるでしょう。
・蛇の道は蛇というから、彼と同じように育ってきた彼女に彼の心理状態を解説してもらった。生まれも育ちもまったく違う私には想像もできない。
なお、蛇(じゃ)とは大きなへびのこと、蛇(へび)は小さなへびのことです。つまり、大きな蛇が通った道は小さな蛇でもすぐに分かることから、似たような人や専門家がその境遇を理解できるという意味に使われています。