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2024.03.18

「火中の栗を拾う」とは誰かのために危ない橋を渡ること!正しい意味や使い方を解説

フランスの詩人、ラ・フォンテーヌの作品から生まれた言葉といわれる「火中の栗を拾う」。本来は他人のために自らを犠牲する愚かな行為という意味ですが、日本では違ったニュアンスで使われます。「火中の栗を拾う」の意味や使い方、例文などを見ていきましょう。

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「火中の栗を拾う」の意味や由来

【火中の栗を拾う:かちゅうのくりをひろう】
《猿におだてられた猫が、いろりの中の栗を拾って大やけどをしたという、ラ‐フォンテーヌの寓話 (ぐうわ) から》自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すたとえ。

(引用すべて小学館『デジタル大辞泉』より)

「火中の栗を拾う」の読み方は「かちゅうのくりをひろう」で、意味は第三者の利益のために危険を顧みない行動をとることです。または、危険だとわかっていてチャレンジする際の決意表明のような意味ももちます。

元々はフランスの詩人ラ・フォンテーヌの作品に由来する言葉ですが、本来の意味と日本で広まっている使い方はニュアンスが異なります。正しい意味や元々の使い方との違いについて見ていきましょう。

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第三者の利益のためにリスクを冒すことを表す

火中の栗を拾う」には、リスクを冒して自分以外の人の利益を優先するという意味があります。火の中によく焼けた栗があり、栗を拾うために手を伸ばすシーンを想像してみましょう。このとき、手を伸ばした瞬間に栗がはじけて火傷を負う可能性はゼロではありません。

「火中の栗を拾う」は、このような火傷のリスクを冒して手に入れた栗を、自分ではなく他人が食べるような場面を指します。つまり、危険を伴うような行動の末に、自分以外の他人が得をするということです。または、やる前から危険だとわかっていることに挑戦する際に、決意を示すような言葉として使われることもあります。他人の利益に限らず、自分にとって利益がある場合も含むのが特徴です。

由来はフランスの詩人による寓話

「火中の栗を拾う」は、フランスの詩人ラ・フォンテーヌが『イソップ物語』から着想を得て生み出したとされる寓話に由来します。『猿と猫』と呼ばれるこの作品は、猿が猫に火の中の栗を拾うように促し猫が火傷を負って拾った栗を猿が横取りするというストーリーです。

この物語から、他人のためにリスクを冒して行動することを「火中の栗を拾う」と表すようになりました。ただし、「他人のため」には自己犠牲の精神は含まれておらず、「他者の利益のために利用されてはいけない」という戒めの意味が込められています。

『イソップ物語』が元になった言葉はほかにもある

『イソップ物語』から生まれた言葉は、火中の栗以外にもいくつかあります。例えば、負け惜しみを意味する「酸っぱい葡萄」は、『狐と葡萄』という物語に由来することわざです。『狐と葡萄』は、高所にある葡萄に手が届かなかった狐が、「あの葡萄は酸っぱくておいしくない」と負け惜しみを言って自分自身を正当化するというストーリー。

また「​​猫の首に鈴を付ける」は、どんなに素晴らしくても実現できなければ無意味であることを表します。いわば机上の空論という意味で、由来は『ネズミの相談』という物語です。『ネズミの相談』では、猫にやられっぱなしのネズミたちが、猫に対抗する策として猫の首に鈴を付けることを考えます。「鈴が鳴ることで猫が来たことがわかる」という名案ですが、肝心の猫に鈴を付ける係が決まりません。猫に鈴を付けるのは素晴らしい解決策ですが、危険を伴うため実現するのは難しいでしょう。このように、優れていても現実的には実行できないことを表す言葉として、猫の首に鈴をつけるということわざが使われるようになりました。

中国にも同じ意味のことわざがある

「火中の栗を拾う」はフランスで生まれた言葉ですが、中国にも同じ意味のことわざが存在します。中国では「火中取栗(かちゅうしゅりつ)」と表記されるほか、四字熟語の「火中之栗」として使われます。中国語の場合もフランス語と同じく、そそのかされて他人の利益のために危険な行動をするという意味です。なお、そのような行為は愚かなことだと戒める意味合いが強いです。

日本でのニュアンスはフランスや中国と異なる

「火中の栗を拾う」は、元々はフランスの言葉です。日本でも用いられることがありますが、日本で広まっている意味合いとフランスや中国に伝わるニュアンスには違いがあります。

「第三者のために自らのリスクを顧みない」点は共通しているものの、フランスや中国ではそのような行為を愚かな行いとみなしています。一方で、日本では行動を戒めるというよりも、誰かのために自らを犠牲にする素晴らしい行いという見方が強いです。このような違いが生まれるのは、フランスや中国では個人を尊重する考え方が基本であるのに対し、日本では「集団の中でどのように行動するか」が重視されることが理由でしょう。

「火中の栗を拾う」の使い方と例文

上述のとおり、日本語における「火中の栗を拾う」は自己犠牲を褒め称えるというニュアンスを含む用法で使われることが多いです。他人の利益を優先して危険な行動をとるような場面では、以下の例文を参考にするといいでしょう。

【例文】
・親しい間柄とはいえ、回収が見込めない会社に追加で融資をするのは火中の栗を拾うようなものです。
・今回の案件は、まさに火中の栗を拾うような様相です。
・誰かをそそのかして火中の栗を拾わせるようなやり方には反対です。

また「火中の栗を拾う」は、危険だとわかっていてチャレンジするような場面でも使われます。具体的な使い方を例文でご紹介します。

【例文】
・ハイリスクな案件ですが、得られる成果の大きさを考えると火中の栗を拾う価値はあるでしょう。
火中の栗を拾いたがるような彼女の性格は、ベンチャー企業で働くのにぴったりだと思う。

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「火中の栗を拾う」の類義語と対義語

「火中の栗を拾う」には、以下のような類義語があります。どちらもリスクを理解したうえで危険を冒すという意味をもつ言葉です。

・虎穴に入る(こけつにいる)
・危ない橋を渡る

また、「火中の栗を拾う」の反対の意味をもつ言葉には以下が挙げられます。

・触らぬ神に祟りなし
・危ないことは怪我のうち
・君子(くんし)危うきに近寄らず

ここでは、「火中の栗を拾う」の類義語と対義語について詳しく解説します。

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