体調が悪いという義母のもとへ行くと、こき使われ…
美咲さん(仮名・40歳女性)は、結婚2年目当時、近居の義母からイヤミを言われる日々に疲れ果てていたものの「長男の嫁になったのだから、義母と良好な関係を築かないと」と自分を納得させ、義母に必要以上に気を使って接してきていたそうです。
「それまでは日常的にイヤミは言われていましたが、それ以上の嫌がらせはなかったので、なんとか耐えていました。だけどある日、体調を崩したという義母から連絡があり『家の手伝いに来て』と言われたので行ってみると、そこから地獄が始まりました」
持病がある義母は、持病の悪化とともに体調が悪化。美咲さんが看病に行くと、家事から買い物までを言いつけられ、最初は義母の言う通りに動いていたそうですが…。
「私が『NO』と言わないのをいいことに、義母からの要求がエスカレート。看病に通い始めた2日目には、例えば『イチゴが食べたい』と言う義母にイチゴを買って訪れると『やっぱりイチゴじゃなくてミカンが食べたかった』などと平然と言い放ち、イチゴを私の目の前で捨てて、ミカンを買ってくるように要求するなんてこともありましたね」
ベッドで休んでいる義母に代わって、風呂掃除や床拭きなども担った美咲さん。しかし、義母は感謝をするどころか「やり方が雑」「まだ汚れが落ちていない」などと文句ばかり言い、美咲さんを露骨にこき使ってきたのだとか…。
夫のマザコンまで判明! 居場所をなくした妻は苦悩を抱え…
「さすがの私も『この人、ひょっとして性悪なのでは…』と思いましたね。義母がなぜ私に厳しい態度をとるのか理由は今でもわかりませんが、とにかく嫌われているということだけは確信しました」
その後、義母の体調は回復したものの、その出来事をきっかけに義母から美咲さんへの嫌がらせは常態化。それまでの「イヤミを言うだけ」だった状態から、あからさまに嫌がらせをするのが普通になってしまったのだとか…。
「そして最悪なことに、夫がマザコンだったことも判明しました。義母からの嫌がらせに耐えられなくなった私が夫に相談をしたら、『母さんは悪い人じゃないから、そんなことをされるなら君に原因があるんだろう』と…。まさかそんなことを言われると思ってもみなかったので、我が耳を疑いましたね」
夫がマザコンだったこともあり、夫は義母との間を取り持ってくれるどころか、義母と夫が結託し、美咲さんが孤立する流れにまで発展。いよいよ自分の居場所がないと感じた美咲さんは、そのまま結婚生活を続けていいものか、深く悩んだそうです。
「1年以上もの期間、悩み続けた末の私の結論は“離婚”でした。夫との間に子どもがいなかったので、離婚を決意できたと思っています。もし子どもがいたら、今でも夫とは結婚生活を続けていたと思いますし、ひょっとしたら義母もそこまで私に意地悪をしなかったかもしれないけれど、それはわかりません。
離婚を選ぶかは、本当に悩みました。答えが出るまでの1年と少しの間は体調もすぐれなかったし、なんとかなるんじゃないかとも思いましたが、結局は相手が変わってくれない限りは、自分ではどうしようもないんだな…って、最終的には私が諦めた形です。
結婚は夫婦だけの話では済まないことがある、と聞いたことがありますが、こういうことだったんだなぁと痛感。自分の努力ではどうにもならないこともあるのだと、身をもって経験しました」
現在は、シングル生活を謳歌していると言う美咲さん。義母とは「同居」ではないので、なんとかなるだろうと甘い気持ちで近居を承諾した自分も甘かったと語っていました。今回のような事例では、夫がマザコンではなければ改善が見込めた可能性もありますが、夫が全面的に義母の味方をし妻が孤立する形になると、やはり妻ひとりの努力では関係の改善に限界があっても無理はありません。夫や義母とは、もとは「赤の他人」であるだけに、非常に悩ましい事例と言えるのではないでしょうか。
取材・文/並木まき