手下
「手下」は、「てした」または「てか」と読みます。映画や漫画の中では「〜の手下になる」というようによく使われるため、なじみがある人もいるでしょう。意味は以下の通りです。
ある人の支配下にある者。配下。部下。(<小学館デジタル大辞泉>より)
権力者や実力者などの下に仕えている人のことを「手下」といいます。「傀儡」は、自分自身になんの考えもなく従っているようなニュアンスがありますが、「手下」は支配者への尊敬や恐怖心、はたまたいずれ反旗を翻すためにあえて「手下」になっている可能性もあります。その点が「傀儡」との違いといえそうです。
《例文》
・親分はたくさんの手下を従えていた。
・今日からその集団の手下となった。
唯々諾諾
「唯々諾諾」の読み方は、「いいだくだく」です。「唯々諾々」「唯唯諾諾」と書くこともあります。意味を見ていきましょう。
少しも逆らわずに他人の言いなりになるさま。(<小学館デジタル大辞泉>より)
「唯々諾諾」は、他人の言いなりになるという意味です。たとえ、上司や上の立場の人から理不尽な命令をされたとしても、少しも反抗することなく従う様子を表します。
社会人になれば、自分の言いたいことをグッと堪えて、他人の意見に従うような場面もあるでしょう。これは、社会生活をスムーズに送る上で、ある意味必要なことであるともいえますね。
しかし「唯々諾諾」は、自分の意見があるけれどもあえて他人に従うのではなく、そもそも自分の主義主張がなく、盲目的に付き従うさまを表す言葉です。
《例文》
・彼女は唯々諾諾として命令に従っている。
・父の言うことに唯々諾諾として逆らわないのが母の性格だ。
対義語とは?
続いて「傀儡」の対義語を見ていきましょう。
不承不承
「不承不承」とは、「ふしょうぶしょう」と読みます。意味は以下の通りです。
気が進まないままにするさま。いやいや。しぶしぶ。(<小学館デジタル大辞泉>より)
操られて言いなりになるのではなく、気が進まない感情を抱えながら嫌々承諾する時に「不承不承」は使われます。何かをお願いされた時に、少し苦い顔をしながら受け入れるようなニュアンスです。結果としては、いわれた通りにするけれども、ささやかながら反抗の気持ちを表すところがポイントですね。
《例文》
・彼は不承不承に仕事を引き受けた。
・部下は不承不承な態度を示したが、最後まで業務を全うした。
進取果敢
「進取果敢」とは、「しんしゅかかん」と読みます。意味は、「自ら進んで物事に取り組み、決断力に優れていること」です。積極的に仕事や物事に取り組み、なおかつ決断力もある人は、「傀儡」とは程遠い性格といえます。頼り甲斐があり、リーダーシップがある人に対して使われることが多い言葉です。
《例文》
・彼の性格は一言でいえば、進取果敢。チームのなかでリーダーシップを発揮した。
・先輩の進取果敢な姿に憧れている。
是々非々
「是々非々」は、「ぜぜひひ」と読みます。意味は以下の通りです。
よいことはよい、悪いことは悪いと公平な立場で判断すること。(<小学館デジタル大辞泉>より)
自分で物事の善悪を判断することを「是々非々」といいます。権力者や黒幕に操られて自分の意志で判断することができない「傀儡」とは対照的ですね。日常会話の中では、「是々非々で臨む」「是々非々で対処する」というように表現します。
「道理にかなっていること」を指す「是」と、「道理に反すること」を指す「非」という正反対の意味を持つ言葉を組み合わせた四字熟語です。
《例文》
・彼女は是々非々の姿勢を貫いて、仲間から信頼された。
・今日の会議は、是々非々で議論をお願いします。
▼あわせて読みたい
英語表現とは?
「傀儡」を英語で表すと「papetto」です。「あやつり人形」や「指人形」という意味があります。このことから「傀儡」と同じような「人の手先」と表現することもできる言葉です。
最後に
「傀儡」の意味や使い方、類語などを解説してきました。 「傀儡」は、元々「あやつり人形」という意味であったものが、やがて人形のように意思を持たないものというニュアンスで使われるようになりました。誰かの言いなりになるのではなく、自分の主義主張を持って行動したいものです。
▼あわせて読みたい