「傀儡」の意味や読み方とは?
皆さんは「傀儡」という文字をどう読みますか? 今回は「傀儡」の意味や由来、類語・対義語などをまとめて紹介します。
意味や読み方
「傀儡」は、「かいらい」と読みます。意味は以下の通りです。
1 あやつり人形。くぐつ。でく。2 自分の意志や主義を表さず、他人の言いなりに動いて利用されている者。でくの坊。(<小学館デジタル大辞泉>より)
「傀儡」は、元々あやつり人形のことを指す言葉です。人間が後ろから操作するパペットやマリオネット、日本では文楽の人形などが当てはまるでしょう。これらの人形を操る人のことを「傀儡師(かいらいし・くぐつし)」と呼びます。
あやつり人形は、自分で動くことができず、人間の力によって自由自在に動き、命が吹き込まれます。このような姿から、2つ目の意味である「自分の意志がなく、他人の言いなりになっている人」を指すようにもなりました。無力で、他人にとって都合のいい存在というようなニュアンスがあるので、あまり良い意味では使われません。
ちなみに「傀」という文字には「大きい、もののけ」という意味、「儡」には「ぼろぼろになる。疲れたさま」という意味があります。
由来
「傀儡」の由来ははっきりしていません。語源は中国や朝鮮にあるようですが、古代中国でも「傀儡」は「あやつり人形」のことを指していたと考えられています。一方日本では、平安時代以降、木で作った人形を操る芸人が存在していました。
人形を操ることを生業とし、日本中を旅しながら歩いたといわれています。日本では「くぐつ」と呼ばれていたその人形に、やがて中国から入ってきた「傀儡」という漢字を当てはめたそう。そこから「傀儡」には、「かいらい」と「くぐつ」の読み方ができたといわれています。
使い方を例文でチェック!
「傀儡」は、「あやつり人形」「傀儡国家」「傀儡政権」という大きく分けて3種類の使い方があります。例文をチェックしていきましょう。
彼は社長の言いなりでまるで傀儡のようだ
「傀儡」は元々は「あやつり人形」や「人形を操る職人」のことを指す言葉です。しかし、現在会話の中で使われる場合は、2つ目の意味である「他人の手先となって利用される人」という意味で用いることが多いでしょう。自分の意志がなく、ただ相手に従う人のことを「まるで人形のようだ」と揶揄している響きがあります。
終戦後、この国は他国から利用される傀儡国家となった
「傀儡」は、国家や政権など政治的な場面でも使われる言葉です。特に戦後は、負けた国は国としての形は留めていても、政治的な決定権は勝利した他国が保有するというケースもありました。そのようなことから、他国に都合よく利用されてしまう国家を「傀儡国家」と呼ぶようになったのかもしれません。
実際には何の権限も持たないなんて傀儡政権もいいとこだ
「傀儡政権」とは、他国の意のままに操られている政権のことです。表向きは独立した政権であっても、実際には他国に権力を握られているような状態のことをいいます。
類語や言い換え表現とは?
「傀儡」には、馴染みのある言葉から、現代ではあまり使われない表現まで、様々な類語があります。さっそく見ていきましょう。
木偶の坊
「木偶の坊」は、「でくのぼう」と読みます。現代ではあまり使うことのない表現かもしれません。正しい意味を辞書で調べてみると、以下の通りです。
1 人形。あやつり人形。でく。2 役に立たない人。気のきかない人。人のいいなりになっている人。また、そのような人をののしっていう語。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「傀儡」のように「あやつり人形」という意味と、「人の言いなりになっている人」という意味があります。「傀儡」は、支配者や権力者のしもべとなっているような人のことを指しますが、「木偶の坊」は単に、気の利かない人のことを表すことも。「木偶」とは元々「木彫りの人形」のことで、古代中国では副葬品として作られていた歴史があります。
《例文》
・親方は何でも失敗する弟子の姿を見て、この木偶の坊めとののしった。
・父親は長男がまるで気の利かない木偶の坊であることを嘆いていた。