「藤袴」とはキク科の多年草
「藤袴」とは、キク科ヒヨドリバナ属の多年草植物です。読み方は「ふじばかま」です。原産地は中国で、薬草として伝わってきました。
日本でも「藤袴」は育つため、かつては野生化しているものもありました。辞書では以下のように、解説されています。
【藤袴】
キク科の多年草。川岸などに生え、高さ約1メートル。茎は直立し、葉は三つに裂けていて、対生する。8、9月ごろ、淡紅紫色の頭状花を密につける。秋の七草の一。蘭草。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「藤袴」の別名は、蘭草(らんそう)・香草(こうそう)です。邪気を払うとされている香りからその名前が付きました。「藤袴」は、絶滅危惧種に指定されています。野山で見られたのは昔の話で、今では見ることはめったにありません。
現在「藤袴」として流通されているものもありますが、それは似た品種のものなので間違えないように注意しましょう。
「藤袴」の名前は伝統が元になっている
「藤袴」の名前の由来は、日本に古くから伝わっている伝統が元になっています。秋の野に薄紫色の袴を着た一人の少女が立っており、翌日そこを見ると薄紫色の花が咲いていたとのことです。以降その花は、少女の袴の色から「藤袴」と呼ばれるようになりました。
他にも由来とされているものあり、袴の帯の色と「藤袴」の色が似ているという説、または「藤袴」の弁の形が筒状で、袴の形に似ていることからこの名前が付いたとされる説もあります。由来は定かではなく複数ある花です。
「藤袴」の花言葉
「藤袴」の代表的な花言葉は、以下の3つです。
・あの日を思い出す
・ためらい
・遅れ
「藤袴」の「ためらい」「遅れ」の花言葉は、小さい花がゆっくり少しずつ咲いていく様子を表現したものです。「あの日を思い出す」は、花ではなく葉の香りが由来になってできた花言葉です。葉を乾燥させると、桜餅のような甘い香りを放ちます。
その特徴的な香りから、趣のある花言葉を付けられたとされています。久しぶりに会う旧友などに花と一緒にプレゼントするのもおすすめです。
「藤袴」は秋の七草の1つ
「藤袴」は、秋の七草に入っている植物でもあります。そもそも秋の七草とは、万葉集で山上憶良が呼んだ歌が元で、指定された七草を鑑賞して楽しむものです。春の七草のように食べるわけではないため、注意しましょう。
秋の七草は、「藤袴」以外に以下の6つの植物を指します。
・萩(はぎ):おはぎの由来になった植物。秋の代表格
・尾花(おばな):すすきの別名。お月見の飾りに使われる
・葛(くず):葛切りや葛餅で使われている植物
・撫子(なでしこ):大和撫子の由来になった花。鮮やかな淡紅色が特徴
・女郎花(おみなえし):優雅で美しい花として親しまれてきた花
・桔梗(ききょう):武将の家紋に使われている花。絶滅危惧種に指定されている
この中でも特に「藤袴」は、香りが良い植物とされています。
「藤袴」の仲間
「藤袴」の仲間で似た花をつける植物は、以下の5つです。それぞれ見ていきましょう。
・ヒヨドリバナ
・サワヒヨドリ
・サワフジバカマ
・ハマサワヒヨドリ
・ユーパトリウム(セイヨウフジバカマ)
「ヒヨドリバナ」は、「藤袴」を少し小ぶりにしたような花です。ヒヨドリが鳴く頃に花が咲くことからそのように呼ばれています。「サワヒヨドリ」は、日当たりの良い湿った場所に自生し、「ヒヨドリバナ」より小さい花を咲かす特徴があります。
「サワフジバカマ」は、「藤袴」と「サワヒヨドリ」の雑種です。絶滅危惧種とされている「藤袴」の代用品として流通しています。「ハマサワヒヨドリ」は、「サワヒヨドリ」の変種で関東南部や伊豆諸島に分布しています。
「ユーパトリウム」は、北アメリカ原産の多年草で、「藤袴」のような薄紫の花を咲かせるものもあります。
「藤袴」の育て方
ここからは、「藤袴」の育て方について解説します。
・日当たりのいい場所で育てる
・水やりの頻度
・使う土と肥料を与えるタイミング
上記3つのポイントを押さえて育ててみましょう。それぞれどんなことに注意すればいいのかを解説します。「藤袴」を育てるときは、以下の内容を覚えておきましょう。