何食べたい?と聞いても「なんでもいい」と言ってみたり、宿題や片付けなどやることは山ほどあるのに「何したらいい?」と聞いてくる子ども。そこに自分の意思はないの?無関心・無気力なのかしら?と心配に。特に小学校中学年以上になれば、ある程度のことは自分で選択・実行して欲しいと親は願ってしまうかも。自分の意思が感じられない子どもの心の内と対処法を、スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんにお話をうかがいました。
行動が自分で決められないパターン
「行動が自分で決められない=指示されないと行動できないという場合は、3つの理由が考えられます。
<1>次に何をすべきかわからない
大人からすると、毎日同じなんだからわかって当たり前と思うことがあります。例えば、【宿題のあとは明日の学校の準備】とか、【学校の宿題が終われば、次は塾の宿題】とか。しかし子どもにとっては、毎日のルーティンという認識は薄いようです。対処法としては、ホワイトボードなどにやることを順番に書いてあげるとひとりでできるように。
<2>自信がないから
普段から親が口出ししすぎて、自信がなくなり自分で考えることをあきらめてしまう、親に怒られないように言われた通りにしようとする子ども。『怒らないから自分でやりなさい』と言っても、子どもにはすでに親が怒ってるように感じられる場合もあります。自信を取り戻すためにもまずは、やるべきこと・毎日のルーティーンなど一緒に決め、親はしばらく黙って見守ってみてはいかがでしょうか。
<3>切り替えが苦手だから
次にやることはわかっているけど、気持ちを切り替えられなくてダラダラしてしまう子もいます。『宿題終わったんだね。じゃ10分休憩して〇〇しようか』などと声掛けして、切り替えのスイッチを入れてあげるとよいかもしれません」(吉田さん)
気持ちが自分で決められないパターン
「例えば食べたいものが決められない、どこに遊びに行きたいか決められないなど、自分の気持ちが自分で決められない子。これにはふたつの原因が考えられます。
<1>決めるのが苦手な子
自分で選ぶのが苦手という元々の性格もあります。これを無理強いしたり、『こんなことも決められないなんて』とダメ出ししてしまうと余計委縮してしまいますし、『自分は決めるのが苦手なんだ』と思い込んでしまうと、あとあと苦しくなってしまうこともあります。
この場合は、選択肢を狭めてあげたり、選択肢について説明することで、決断しやすくしてあげてはいかがでしょうか。大人のサポートから少しずつ選択する力を身につけていく子もいると思います。苦手なままの子もいると思いますが、『できない子』とダメ出しを続けていては自己肯定感を失ってしまうので、注意が必要です。親のサポートを得ることで『困ったら周りが助けてくれる』と、人を信じられる気持ちを育ててあげたいですね。
<2>迷いが生じてきている子
小さい頃は直感で選べていたのに…なぜ?という子は、成長と共に迷いが生じてきているのだと思います。みんなはどれを選ぶのかな?自分の考えだけでは気づけない良い点があるかな?など。これらは成長過程のひとつなので、そのうち優柔不断な態度が収まることも。親としては〝決めるのが苦手な子〟と同様、『ダメな子』と言わずにさりげなく手助けしてあげてください」(吉田さん)
子どもの決められない態度に、親としてはちょっとイライラしてしまったり、子どもに考えさせず親が先に答えを言ってしまったり…。自分で決断できるようなステップ(階段)を親が用意してあげることで、子どもは一歩ずつ自分の意思を踏み固められるようになるのかもしれませんね。
取材・文/福島孝代
イラスト/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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