「ママ、◯◯くんにいじめられた〜」と我が子が訴えてきたら、ドキッとしますよね。さてその訴えは果たして本当に〝いじめ〟なのかただの〝けんか〟なのか、皆さんはどう見極めますか? スクールカウンセラーとしても活躍している、臨床心理士・吉田美智子さんに〝いじめ〟と〝けんか〟についてお話を聞きしました。
いじめられたと感じた人がいたら〝いじめ〟!?
「先に結果から話してしまうと、今の時代〝いじめられたと感じた人がいたらいじめ〟となります。アラサー・アラフォー世代の親御さんはちょっと疑問に感じますよね。昔は『いじめは、いじめられる側にも問題がある』とされました。この責任転嫁するような考え方がNGだったのです。なので、今の判断基準は子どもを守るために大切な考え方なのです。いじめられたと感じた子=被害者、いじめた子=加害者とし、加害者は反省を促され、いじめ再発防止に効果的です。が、これでは〝いじめ〟ということに焦点が向いてしまい、私は大切な〝子どもの心〟 には焦点が当たらないと思っています」(吉田さん)
確かに、いじめが早期発見され再発防止に有効的かもしれませんが、いじめられた側も、いじめた側もなんだかスッキリした気持ちにはならなそうです。
子どもの訴えに親はどうするのが正解?
「子どもたちは人間関係を学んでいる途中です。お友達とぶつかって、嫌な思いをしたり仲直りをしながら成長します。意地悪をされることで、相手が嫌がることはしないと学ぶのです。けんかレベルの争いは、子どもにとって人間関係を学ぶ貴重な時間なので親はむやみに割り込まないようにしましょう。けんかといじめの判断が難しいかもしれませんが、以下の場合は親の介入が必要かもしれません。
1:力関係が一方的
2:『やめて』を伝えても相手がやめないとき
3:ひとりvs集団
4:トラブルの相手がいつも一緒
今までの経験上、この4つはいじめにつながる手前か、すでにいじめに発展していることが多いように感じます。子どもが訴えてきたら、まずは『話してくれてありがとう』と、勇気を出して言ってきたことを労ってください。どんなことがあったのか、ゆっくり話を聞いてあげ、本人が話してスッキリしたならばしばらくはそのまま。話した後もブルーな表情や気持ちを引きずるようであれば、リフレッシュ・リラックスできるよう対策を考えましょう。その訴えが上記の4つに当てはまったり、行き過ぎでは?と感じるようであれば、迷わず先生に相談を」(吉田さん)
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万が一、加害者になってしまった場合には…
「まずは叱らず、本人の話を聞きましょう。その上で以下の判断をしてみてください。
1:特定の相手に対してイライラすると言う
2:相手は誰でもよくただの弱い者いじめ
<1>の場合、本当は伝えたいことがあるのに上手に言語化することができず、相手にぶつかっているのかもしれません。話を聞いて、素直な気持ちを引き出したら、あとは子ども同士に任せても良いのではないでしょうか。<2>の場合は、子どもがストレスをためている場合が多いです。これは大人が解決しなければなりません。下に兄弟が生まれた、仕事が忙しく一緒にいる時間が短い、受験勉強や成績不振がプレッシャーになっているなど、ストレスの原因はありませんか? 子どもがいじめで表現している本当の気持ちを探ってください。
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どちらの場合も、親なら叱ると思います。しかし、しつこく叱らないでください。本人が悪いことをしたと感じていればOK! 叱りすぎるとそれがまたストレスとなり、さらなるいじめを呼んでしまうことも 」(吉田さん)
〝 けんか〟 と〝いじめ〟の判断はなかなか難しいですが、どんなときも「親は一番の味方」だと子どもに思ってもらえるよう親として最善を尽くしたいですね。
構成・文/ 福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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