ひと回り年上の夫は妻に対して優しく理解のある夫だったはずなのに…
悠里さんは30代前半のときに、ひと回り年上の夫と結婚。年下妻に対し、優しく理解のある夫は、悠里さんがやりたいことには何ひとつ反対もせず、欲しいものを買うことにも協力的だったと言います。
「何ひとつ不満のない結婚生活を送ってきました。あの事件が起こるまでは…の話ですけどね。結婚してから4年間、夫に対してイライラすることはあっても、喧嘩になるような出来事はひとつもなく『こんなに穏やかな生活を送れるなんて、私はなんて幸せなんだろう』って感謝していたんです。それなのに…」
「優しく理解がある夫」でいたのには理由があった
あるとき、悠里さんは開きっぱなしになっていた夫のパソコンをなにげなく見てしまったそう。するとそこには、見知らぬ女性との親密なLINEのやりとりが見つかりました。勘のいい悠里さんは、瞬時に「夫は浮気をしている」とわかったとのこと…。
「夫はテレワークの合間に、パソコンを開きっぱなしで席を外していたんですよ。見ようとして見たわけじゃなかったのですが、ちょうどLINE画面が出ていたので目に入ったって感じでした。そして、私は浮気容認派ではないので、その後すぐに夫を問い詰めたのですが、そこで衝撃的な話を聞くことになってしまったのです」
夫に対して「浮気をしているのではないか」と、冷静に話を切り出したという悠里さん。ところが夫からの返答は「している。でも君には関係ない」というものでした。その返答に激怒した悠里さんは、そのまま夫を問い詰める流れに…。
「そこで夫は私に対して『君には、どうしても興味が湧かない。だからこれまで4年間、好き勝手にさせてきたし、君も結婚生活には不満がないだろう? 僕は君が何をしていても気にならない。だから僕のことも、何をしていても気にしないでほしいし、放っておいてくれ』と言ってきたのです」
夫からはっきりと「興味がない」と言われたことに、悠里さんは大きなショックを受けたそう。悠里さんが信頼しきっていた“優しく理解がある夫”の姿は、単に妻への関心がないというだけで、“偽の姿”だったという残酷な現実をしばらく受け止められず苦しんだと話します。
夫婦関係は破綻。「仮面夫婦」か「離婚」かの二択に
その後、数ヶ月にわたって悠里さんは夫との関係に悩み続けるも、夫は浮気を“宣言”したことで、堂々と外泊をする機会も増えていったとのこと。
「そんな生活はメンタル的にも負担が大きく、夫に対し将来について話し合いを求めました。しかし夫の考えは変わらず、結局のところ“仮面夫婦”を続けるのか“離婚”を決断するのか…という二択しかないことがわかりました」
現在、夫が浮気をしていることを除いては、以前と同じ表面的には穏やかで何不自由ない生活が続いているという悠里さん。
「このまま私が夫の浮気を黙認すれば、経済的には恵まれた生活を続けることはできるけれど、私たち夫婦には子どももいないので、本当にこんな生活でいいのかということを常に自問自答しています。夫が今後、私に関心を持つ可能性も低いので、おそらく私に対して無関心な日々が続くだけなのでしょう。ただ、離婚して今より生活水準が下がることが怖いのも現実で、結論を出せずにいます。
そのうちに、霧が晴れるように答えが出る日が来るんですかね? 今の私は、どこまで行っても暗いトンネルの中を彷徨い続けるような気がしてしまって、どこに出口があるのか見えない状況です」
離婚は大きな決断だけに、答えを急ぐ必要がないのは間違いありません。しかし一方で、日々の“時間”も大切ですから、ズルズルと答えを先延ばしにすることそのものが大きなストレスになるのも否めません。アラフォー以降の結婚生活では特に、相手が変わる可能性は低く期待薄。自分の中でスッと答えが導き出せるタイミングを見逃さずに、後悔のない選択をしたいものです。
取材・文/並木まき