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2018.06.07

「いい物を作れる。でも売れない。」はなんの不思議もない現実【原田曜平の「後輩世代のトリセツ」】

博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー・マーケティングアナリストの原田曜平さんが、若者のインサイトを発掘する必要性について語ります。

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大ヒット商品を生みたいなら「そう、それ!」の共感を探し出す

広告業界ではスタンダードな「インサイト」という言葉。私も、そして多くの広告代理店の人間も、インサイトを考えるためにさまざまな調査をしており、これがつかめると仕事がグッといい方向に動き出していくという経験をしています。今回は、商品の売れ行きや職場マネジメントを左右する、このインサイトを取り上げてみたいと思います。 インサイトの訳として、よくあるのが「未充足の潜在ニーズ」。まだ満たされていない、顕在化していないニーズです。

たとえるならば、お笑い芸人の柳原可奈子さんや横澤夏子さんが巷によくいる女子のマネをしたネタに、「そうそう! そういう人いるよね〜!」と共感するイメージ。 もうひとつ例を出すと、ある男性に好きなタイプを聞いて「髪が長めで思いやりのある女性」と答えたとします。でもよくよく話を聞いてみたら「実はあなたってこういう人が好きだよね」とわかることがある。本人も「そう、それ!」と気づく。このなんとなくボヤッとした、内在している感覚を掘り起こして見せる…という役割が、マーケティングです。

1. 国内でも海外でも、若者の実態調査では家庭訪問が鉄則! リアルな生活を見させてもらって、じっくりインタビューします。2. プロジェクトミーティング。終了後の懇親会では若者の本音が聞けることも。若者の気持ちやアイデアを取り入れたいという企業からの相談も後を絶ちません。 

まだ世間が気づいていないニーズを見つけて差し出せば飛びついてくれる

昨今はマーケティング自体がブームで、あちこちの企業で消費者アンケートが行われています。ただ、答えた瞬間は〝現在〞ですが、その後気持ちが変わったり飽きているかもしれない。開発をする段階になってそのまま商品にしても、もはや〝過去〞のニーズである可能性があります。 また、ある本がベストセラーになると、出版社は似たような本を出すことがありますよね。2匹目、3匹目のドジョウを狙う、それはまさに顕在ニーズの追求です。

ある程度のヒットは見込めるけれど、最初の1冊より売れることはまずない。ひとつめの大きなヒットを生むには、やはりインサイトの発掘が必要です。まだ世間が気づいていないニーズを見つけて差し出せば飛びついてくれる。〝未来から今に〞持ってくることができるんです。 それには経験も想像力も大事。しかし当然、未来のことなので検証ができない。ハズレてしまうこともあります。でも、芯をとらえた調査を重ねるとその確率は上げられます。

私自身が調査で大事にしているのは、人に直接会って話を聞くこと。先日のLAでの若者調査では、家庭訪問までできたのは7人です。「たった7人でLAを語るなよ!」と言われてしまうかもしれませんが、もし「トランプ政権になって何が変わった?」と大規模な定量調査をしても「人種問題に関心が上がった人が多い」という結果しかわからなければ、意味がない。理由や背景を知りたければ、7人も話を聞けば出てきます。一般的に、ほとんどの調査は上司を納得させるためのもの。人と話していれば出てくることをお金と時間をかけて調べ、何も面白い発見が出ないことは多々ありますよね。インサイトは量的に証明できるものではなく、足を運んで生の声を聞いて初めて見えてきます。

若者のインサイトを意識的に考える訓練をすることが、ビジネスやマネジメントに欠かせない

インサイトを活かせる領域は幅広く、さまざまな業界に必要な考え方。日本の老舗や大手メーカーさんとお話しすると、「ウチはいい物を作れるんです。でも売れないんです」と本当によく言われます。物を作った後に、これターゲット誰だっけ? と、欲しい人を探すんですね。技術発想が強い国だからこそ、消費者発想する機会が少なくなる。それでもいい物が作れてしまうことは素晴らしいのですが、逆の発想で作れたら売り手も買い手もお互いに幸せ。

また、日本は移民が少なく、そこまで気持ちを考えなくても多くの人が共感してくれると思いがちです。私はその意識を打ち破りたいと常々思っています。 なぜなら、15年近く若者と仕事をしてきて、若者にいちばん接して苦しんでいる自負はあるけれど、毎日のように会っていても気づけないことがあるんです。

ここ数年は「あんなにやる気出してたのに、突然来なくなっちゃった」という学生が増えています。彼らはみなさんの想像以上に移り気ですし、私たちアラフォー世代とは違います。日ごろ接する機会の少ない方ならなおさら理解しづらいでしょう。自分の10代、20代を重ね、つい知っている気になってしまうのは危険。若者のインサイトを意識的に考える訓練をすることが、ビジネスにもマネジメントにも欠かせなくなるはずです。

『それ、なんで流行ってるの? 隠れたニーズを見つけるインサイト思考』/¥1,000 ディスカヴァー・トゥエンティワン「カープ女子」「双子コーデ」『君の名は。』『うんこ漢字ドリル』「ハンドスピナー」など、昨今のヒット商品や流行事象を題材に、ヒットの方程式と消費者のインサイトが学べます。

マーケティングアナリスト

原田曜平

1977年生まれ。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。学生や20代の社会人と共に、若者の消費行動について調査・分析を行う。マーケッターの立場から現代を読み解き、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ)、『新・情報7DAYSニュースキャスター』(TBS)などに出演。

Domani2018年5月号 新Domaniジャーナル「後輩世代のトリセツ」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子


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