——今年でなんと6回目! 小野さんは『AD-LIVE』の〝常連出演キャスト〟ですが、はじめて出演されたのは2015年の公演だそうですね。
小野:えっ!もう7年も前なんですね!
鈴村:びっくりするくらい前だね(笑)。2015年は釘宮理恵ちゃんと組んでもらったんだよね。
小野:当時はまだ釘宮さんとほぼ仕事したことがないレベルだったので、共演すること自体にすごく緊張したことを覚えています(笑)。あとはやっぱり、アドリブでつくっていく物語に自分がどれだけ柔軟に対応できるかが不安でしたね。でも、いざやってみたらあっという間に終わってしまって! 終わった後は「あの場面はああすればよかった、こうしておけばよかった」って反省の連続でした。
——そういった反省は、やはり公演のたびに出てくるものですか?
小野:毎回あります!「あそこで引いたワードはこういう使い方があったなぁ」とか、公演後はそんな気持ちばっかりです。
鈴村:将棋の中継って、対局後に棋士の方たちが内容を振り返る〝感想戦〟をするじゃない?『AD-LIVE』も舞台が終わった後にキャスト同士で〝感想戦〟みたいなものが繰り広げられるよね(笑)。
小野:わかります(笑)。『AD-LIVE』ならではですよね。
鈴村:普通の舞台なら「今日はちょっと調子悪かったな」とか「今日の出来はよかったな」みたいな感想になると思うんだけど、『AD-LIVE』の場合は「ここをこうするべきだった?」とか「あのときのリアクション、こうしたほうが良かった?」とか、すごく具体的な反省が出てくる。その〝感想戦〟も即興劇らしくて面白くて、そしてやっぱり変わった舞台だなって改めて思う(笑)。
——7年前、鈴村さんが小野さんに『AD-LIVE』出演をオファーされた理由ってどんなものだったんでしょう?
鈴村:今でこそ、声優業界では「『AD-LIVE』ってあの即興劇ですよね?」なんて言っていただけるようになってきましたが、7年前はまだ業界内での認知度すら低くて。そんな段階ですから、舞台経験を積んでいる人や長く演技の仕事をしてきたベテランでないと出演のハードルが高い企画だと僕も周囲も捉えていました。その頃の賢章は声優としては若手でも、役者としての演技経験や舞台経験はすでに豊富。『AD-LIVE』が若手声優のパワーとともにステップアップしていくためには欠かせない人だと思って、声をかけたんですよ。
小野:でも、誘い方はけっこうカジュアルだった気がします(笑)。「『AD-LIVE』ってこういう舞台なんだけど、興味ない?」って、休憩中にスタジオのベンチで…(笑)。
鈴村:「あのさ、出てくんない?」みたいなノリで話したような気がする(笑)。
小野:僕も僕で、聞かれたその場の勢いで「出ます!」って即答した気がします(笑)。
鈴村:あのときの返事、とんでもなく速かったからね!? 過去に勧誘したキャストでおそらく最速だよ(笑)。
小野:「なんか面白そう!」とただ直感で(笑)。あのときは、おそらくちゃんと舞台の内容を理解していなかったですね(笑)。
▲こちらのお題は「メガホン」。特に何を話し合うわけでもなく、またもシュールなポーズをばっちりと決めてくる鈴村さんと小野さんですが…
▲実はこんなアーティスティックな即興ポージングも! その場の流れの中でこんなことができてしまうなんて、さすがのアドリブ力です。
鈴村:その頃って、アニメの現場が一緒だったり、ライブの移動が重なったり、ふたりで話す機会がちょこちょこあったじゃない?
小野:そういえばシンガポールも一緒に行きましたよね!
鈴村:飲みに行ったりもしてたし、「舞台出るから観にきてくださいよ!」って誘ってくれて賢章の舞台姿を観に行ったりもしたし…。こちらとしては、虎視眈々と狙ってたわけよ。決して、ぶつかりざまに「おっ、賢章! ちょっとこの舞台出てみない?」なんて思いつきで誘ったわけじゃないからね?(笑)