【目次】
第6回 前編:ボーク重子式・お受験の7大悩みをこう解決!まず4つ!
<お話を伺った方>
Shigeko Bork BYBS Coaching代表 非認知能力育成ライフコーチ:ボーク重子さん
聞き手・原稿:教育エディター 田口まさ美
▶︎Instagram: @masami_taguchi_edu
▶︎<前編> ボーク重子式・自己肯定感を上げる7ルール まず5つ! ←今ココ
▶︎<後編>受験を成功させる親に最も大切な非認知能力・究極のベストワン!? ←11月22日(火)公開予定
田口:今回は、リーダーシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」の優勝者スカイさんのお母様であり、非認知能力コーチングのパイオニア的存在であるボーク重子さんをお招きしました。小学校受験(または中学校受験)に取り組むお母様なら誰でも直面する“7つの代表的なお悩み”にボークさんならどうアドバイスするかをお伺いしながら、親子共に非認知能力の伸ばし方を学ばせていただきたいと思います。
お受験という経験を、非認知能力を伸ばすチャンスにしていくことは本当にできるのでしょうか…?! 時として受験を通して親子ともに下げてしまいがちな、「自己肯定感」のお悩みから早速スタートです!
1.「贔屓目にも優秀とは言えないわが子。親子で自信がなくなっています」
ボーク:よろしくお願いします!はい、こちらのお悩み、よくお聞きしますよね。自信がなくなってしまうということですが、考えてみれば学校での成績や会社での実績、外見や年齢、性格など、生きていると世の中、他人から勝手にいろんな評価を下されることだらけなんですよね。
重要なポイントは、それらは全てあくまで“他人から”の一方的な評価であることと、それらが本当に“真の意味で”「優秀」の基準になるのかどうか?ということです。そもそも「優秀」の基準とは一体なんなのでしょう?考えてみてください。
逆上がりや跳び箱ができなくて何をやっても鈍臭い、そんな子、クラスに一人はいますよね。それが私です。そこだけを取り上げれば、優秀さはゼロ。私は親にとって恥ずかしい子供だったかもしれません。けれど、文章を書かせたら素晴らしかった。子供の頃から作文コンクールなどで賞を取っていました。こんな私のように、誰にでも必ずどこか良いところがあるはずなんです。
ですから、「他人と比べてうちの子は優秀じゃない」と思った時こそ、チャンス! “その子の優秀ポイント“を探してあげる。その子だけの価値を探してあげるんです。
勉強ができる、スポーツができる、それも良いことです。ですが、人間の存在ってそんな薄っぺらいものじゃないですよね。どの子供にも、良いところも悪いところもあります。ですが、親はつい心配がゆえ、子供の悪いところばかり見てしまうのです。
ですからそれを自認して、ダメなところよりも、出来るところを伸ばしてあげる。出来ていることを伝えてあげる。この意識が大事です。子供って、思っているより客観的に自分を見ているところがありますので、自分の出来ないところに自覚的です。そこを親に重ね塗りされたら、落ち込んで自信がなくなって当然ですよね。
その上、子供は親がいないと生きていけない存在なので、常に親を必死に観察しています。ですから、親が自分を低く評価していれば、それをすぐに見抜きます。そして深く傷付いてしまいます。
だからこそ、世間一般の価値基準ではなく、母親がその子の優秀さを見つけ出して、心に刻んでおく必要があるのです。
田口:その子の良いところが無いのではなく、親が見つけられていないことが課題というわけですね。では、世間一般の評価ではない、その子の良いところをきちんと見つけ出すことができる目線は、どうしたら育まれるでしょうか?
ボーク:良い質問ですね。一般的な価値観や世間の目に惑わされ、つい自分の子供のできないことばかり見つけてしまい、本当はある「良いところ」が見つけられない。これは、お母様自身が、自分自身に同じことをしている習慣があるからです。ご自身に対しても、良いところが見つけにくく、「私ってダメだな」と、うまくいかないことばかり目がいってしまっているのではないでしょうか。
つまり、自分が自分に対して否定的である。その在り方が、子どもの見取り方に影響しているのです。ですから、母親自身が、まず自分の良いところに目を向け、自分の良さを認める。自己肯定感を、母親が自分から上げていく必要があるんです。
もし今「自分の良いところがない」と思ってしまったら、見つかるまで探す!良いところがない人なんていません。自分の良いところを見つけられない母親が、子供の良いところを見つけるのは難しいです。褒め上手になりたければ、まずは自分を褒めましょう。
一つでいいから自分の良いところを見つける。そして徹底的に自分を好きになる!と決めるんです。そうすれば、子供の良いところにも自然と目がいくようになり、世間の評価軸ではなく自分の評価軸で子供を認められるようになっていきます。
2.「分かっていても、つい怒鳴ってしまう私の自制心たるや(涙)」
ボーク:ネガティブな言葉を言ってしまう、言ってはいけない声かけをついしてしまう。これも良くあることですよね。受験中なら当然です。でもこれ、実は2つの非認知能力を育むことで解決できます!
1つ目は「共感力」
「なんでできないの!?」「何度も言ったでしょ!」のような言葉を浴びせられたときに、相手がどういう気持ちになるか。これをつい言ってしまうのは、相手の立場に立てないことに起因します。相手を思いやる気持ちが大事です。
2つ目が「自制心」
言っちゃいけない、やっちゃいけないことを止める力です。言い換えれば、「これいったらどうなるかな」→「子供があの顔になるよね」→「愛されてないと思ってしまうかも」→「自分に価値がないと思ってしまうだろう」→「これを言っても良いこと何もないよね」と、先を見越せる力のことです。
この「共感力」と「自制心」の2ステップがあれば、むやみに怒鳴ったり、暴言を吐いたりしなくなるはずです。
共感力を高める技の一つとしては、ロールプレイング・トレーニングがあります。例えば夫に自分が子供に普段言ってしまっていることを逆に言ってもらうのです。子供に逆にやってもらうのもいいかもしれません。
「わかっている」と思っていても、自分がやっていることを実際にやられるという擬似体験してみることで、頭で考えているよりかなりインパクトの強い記憶を自分に残せます。すると、何か言おうとする時に、その記憶が蘇って言わなくなるのです。
実は、私も昔、娘に理不尽な叱り方をしたことがあります。当時、自分のキャリアに自信がなくて、他人と比べてイライラしていた私は、それを娘にぶつけてしまったんですね。そしたら、その時近くにいた女性が「恥を知りなさい!」って私を叱ってくださったんです。
それでハッと我に返りました。その時の娘の悲しそうな顔が今も目に焼き付いて離れません。ですから、それ以降そういうことはしなくなりました。できれば皆さんは、これは実体験ではなく、疑似体験で学ばれた方がいいですよね。このロールプレイング・トレーニングは意外とやってみないと分からないことに気づけるので、ぜひ試してみてください。繰り返しやってみると効果的です。