【目次】
原作を知らなくても楽しめるか、NO予習で検証
劇団四季史上、最大の新作オリジナルミュージカルとして上演中の『バケモノの子』。原作は2015年に公開された細田守監督のアニメーション映画で、細田監督作品の舞台化は初のことだそう。劇団四季らしさがありながらも、今までにない新しい作品という評判を聞きつけて、実際に観劇してきました!
劇団四季の作品は、色々と観てきたほうですが、アニメについてはあまり詳しくない私。『バケモノの子』も、名前を聞いたことはありますが、どんなストーリーなのかまでは知らなくて。ただ、以前から「原作を観ていないとミュージカルは楽しめないのか?」という疑問もあり、今回はあえてNO予習で挑むことに。
テーマは強さと愛、成長…胸がギュッとします
私のように原作を知らない方のために、簡単にストーリーを説明しますと、母親を亡くし、孤独となった主人公の少年・蓮(九太)が、異世界に棲むバケモノの熊徹と出会い、強くなるために弟子入りすることに。物語を通して、本当の強さとは何か、親子愛、成長していく中での葛藤などが、描かれていくという内容です。
簡単な説明になってしまいましたが、実際はもっと複雑で、「親子愛」とは書いたものの、実際はいろんな形の「親子」があったり、そもそも人間とバケモノという関係も、「自分と違う人と、どう理解し合うか」という、普遍的かつ現代的でもあるテーマが、根本にあるような気がします。ちょっと難しそうな印象ですが、ストーリー自体はスピーディーで、ものすごく面白い(今さら)! 世代を問わず楽しめる作品ではないでしょうか。
もちろん劇団四季らしさもたっぷり! 舞台好きも満足です
ミュージカル版では、劇団四季らしさもたっぷり散りばめられています。パペットや特殊メイク、マスクなど、さまざまな手法を駆使してバケモノたちを表現。上の写真にある、迫力あふれる異世界での戦闘シーンでは、演者3人でパペットを操るのですが、観客としては「よっ、待ってました!」と、かけ声をかけたくなるくらい。前脚を演じている俳優さんの表情にも注目してください。しっかり怒ってます! こういった舞台ならではの表現方法も、観ていて気持ちが高まりますね。
ネタバレになるので詳しくは明かせないのですが、後半のクライマックスにも、大きなパペットが登場。それがもう、すごくてすごくて……。今回、演出にはプロジェクションマッピングも多用されているのですが、それも相まって、大迫力なうえに幻想的で美しいシーンとなっており、圧倒されました。原作をご存知な方は、「あれのこと?」と思い当たるかもしれませんが、そう、あれですよ!
原作の世界観が生かされているから、アニメ好きも楽しめる
ちなみに私、ミュージカルを観たのちに原作もチェックしたのですが、アニメの世界観の表現も、すばらしいものでした。舞台となる人間界の渋谷と、バケモノ界の渋天街の様子も、アニメを観ながら「そうそう、こんな感じだった!」と、思ってしまいましたよ。さらに驚いたのは、物語の中で「人間の胸の奥に宿る闇」というのが、重要なキーワードとして出てくるのですが、それなんて、もう原作のまんま! あんなの、舞台で再現できるの? 生だけにさらに奥行きもあって、めちゃめちゃ臨場感あったんですけど! これなら原作が好きな人も観ていてワクワクするのではないでしょうか。
ママの心に響く作品でもあるんです
そんなわけで大興奮の中、観劇を終えたのですが、結果「アニメを観ていても、観ていなくても、あとから観ても面白いミュージカル」ということがわかりました。
原作者の細田守監督は、自身に子どもが生まれたことを機に、この作品に取り組まれたとか。ママも多いDomani読者にとっては、より胸にくるセリフやシーンがあるかもしれません。子役たちの演技もカワイイですし。どうしてあんなに、ちゃんと歌えるんだろう……。ちなみに、修学旅行らしき中学生たちも公演を観ていたのですが、今の子って、プロの歌声を生で聴くことがあまりないだろうから、すごくいい経験だったのでは、と、勝手に親目線で感じてしまいました。
気になった方は、公式ホームページもチェックしてみてください。ちなみに本作は、経済産業省が実施している「イベント割」も適用中。専用ページから予約すると最大20%(上限¥2,000)の割引となるので、うまく活用してね!
【公演情報】
三井不動産創立80周年記念公演
劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』
<東京>
公演期間:上演中~2023年3月21日(火・祝)千秋楽
会場:JR東日本四季劇場[秋](東京都港区海岸1-10-45)
<大阪>
公演期間:2023年12月10日(日)開幕
会場:大阪四季劇場( 大阪府大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT 7階)
公演詳細(イベント割詳細)はこちら▶︎劇団四季 公式HP
撮影/阿部章仁