Q.結婚してから、夫のパソコンのインターネットの閲覧履歴から、夫の性癖がロリコンだと発覚しました。
そういう観点から私が選ばれたのかと思うと吐き気がするし、将来子供ができたときのことを考えると不安です、今思うと、そんなにタイプじゃなかった気も…。ずっと騙されていたのかと思うと腹が立つので、離婚して慰謝料だってもらいたい!
こういうのも離婚理由として認められますか?(34歳・商社勤務)
A.「残念ながら、趣味趣向や生活習慣、癖や性癖といったものは個人の価値観のひとつであって、裁判所でその価値観の善悪を裁くことはできません。
ですので、今回のご相談内容に関して法律上の観点から申し上げるならば、ロリコンというのは旦那さんのひとつの価値観であり、他方で、『ロリコンは気持ちが悪い』というのは、あくまで奥さんの価値観であり、旦那さんのロリコン嗜好に伴う行為が援交などの青少年育成条例に触れるような内容などではない限り、個人の自由だと見なされ、直ちに離婚理由にはなりません。
ゆえに、家庭裁判所ではこのような理由から慰謝料請求をすることも難しいと言えます。
また、ロリコンなどの性癖は離婚理由の中で言うと『性格の不一致』に当たりますが、本来でしたら交際期間中に気づくべきことだと指摘されてしまうでしょう。
これらを踏まえた上で、夫がロリコンという理由で協議離婚はできるが、慰謝料請求はできない、というのが回答になります。ちなみに、性癖だけでなく、例えば結婚後に配偶者の発達障害が判明した、などというのも、これだけでは裁判所では離婚の理由としては認められません。これもまた、法律で裁けることではなく、夫婦間の話し合いで解決するべき問題だと見なされるからです。
ちなみに、私はランニングが趣味で、大会直前などは練習のし過ぎで骨と皮だけのような状態になり、周囲からは気持ち悪がられたりしますが、これも趣味趣向ですので、当然離婚理由にはなり得ません」(中川裕一郎先生)
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。