ひと回り年上の夫は愛する人ではなかった
(取材データ)美枝子さん(仮名)、40歳。Webデザイナー。10歳の男の子を育てるシングルマザー。デキ婚した9歳年上の夫が多額の借金を作り、住宅ローンを滞納。夫は夜逃げして、せっかく買った持ち家を競売にかける危機に。
大失恋のあと、年上の男性とデキちゃった婚
「よく、2番目に好きな人と結婚した方が幸せになれるとかいうけど、やっぱりそんなことなかった」とは、今回取材したバツイチシングルマザー、美枝子さんの言葉。今年離婚したばかりのホヤホヤバツイチさんです。
美枝子さんがAさんと出会ったのは、5年間好きだった人に大失恋したあとのこと。当時大学生でWebデザイナーのアルバイトをしていた彼女は、仕事で会った、広告代理店勤務でひと回り年上のバツイチ男性、Aさんと仲良くなります。
美枝子さん:ぜんっぜん好みの顔じゃなかったんですよ。だけどその5年間好きだった相手に雰囲気が似ていたのがきっかけ。もともと年上とばかり付き合ってきたので、9歳年上というのは気になりませんでした。大失恋のあとだったから、箸休め的な感じで「とりあえず」付き合おうと思ってた。
それが、交際5ヶ月で妊娠が判明。
美枝子さん:ちょうど30歳の年でもあったので、「まあ、結婚ってこんなもんか。大好きな人とは結婚できなかったけど、そんなに好きじゃないくらいの相手との方が気楽っていうし」。
大失恋のあとに出会った人と結婚、っていうのもよく聞く話でもあるけど、美枝子さんのように大して好きでもない相手を選んでしまうと、それが悲劇に繋がることもあるようで…。
結婚したら相手は結婚不適合者だった
交際して日が浅いまま結婚したため、最初の頃は臨月まで仕事をしていた美枝子さんを気遣ってくれたりと、特に気になる点はなかったそう。それが、息子が生まれて美枝子さんが自由に出かけられなくなった途端、結婚しても好き勝手に飲み歩いて、育児はほぼワンオペ状態に。「彼は結婚不適合者だったんですよね…」。
毎晩のように朝帰りする夫にブチ切れて「終電で帰って来い!」と言っても全く聞かない。寝る前に夫の分の夕飯にラップをかけて置いても食べない。
美枝子さん:息子はママ大好きなので、「ママが作ってくれたものを食べないなんて!」って怒っちゃって。さらにはなぜか夜お風呂に入らないし、息もドブくさくなってきて、息子に「パパ臭い!」って言われたらスネちゃって、別々の部屋で寝始めたんです。そんな感じだから私はすごく冷めて、もう夫はいないものだと思って振舞ってましたね。洗濯物も別々に洗ってたし、最後の方はご飯も作らなくなった。
―結婚3年後くらいからは完全に仮面夫婦になり、夫もいじけて、段々家に帰って来なくなりました。
美枝子さん:そんな状態だし育児もワンオペだし、「私も仕事してるんだけど、夫なんていらなくね?」って。私はもう、子どものためだけに一緒にいました。
家のローンの滞納で競売の危機、夫は夜逃げ!
愛情もなくなったので、用事があるときは息子を介して話し、SNSで生存確認。Facebookで何時間前にオンラインになっていたのを見て「まだ生きてるな」とチェックしていたと言います。
そんな状態だったある日、美枝子さんは、「どうしても気になる」夫への郵便物を発見。第六感が働いたのでしょうか、その郵便物を開封してみると、何と夫が家のローンを長い間滞納していて、その督促状だったのです。
今までは夫の郵便物にさえ興味がなかったというのに、このときだけピンと来たというから、女の直感って本当にすごい!
慌てて夫に連絡して「今すぐ払って!」と頼みますが、そのまま1ヶ月音信不通になり、今度は融資先の金融機関から、家を競売にかけるという通知が届くのです。
仮面夫婦になる直前に家を購入し、「離婚してもこの家はもらえる」と思って結婚生活に耐えていた美枝子さんにとって、この事件はまさに青天の霹靂。しかも夫は夜逃げしてしまいます。
このピンチをどうやって乗り越えたのかは、次回に続きます。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。