スピリチュアルビューティコンサルタントmailoveのvenus maiです。
愛の季節、バレンタインにちなんでロマンスと官能を味わえる”感じる”映画を、前回の記事に続き独断&偏愛趣味でお届けしようと思います。
(1本目のおすすめ映画は『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』)
今回取り上げるのは、「不倫」を扱った作品!
ダイアン・レインとリチャード・ギア主演の『運命の女』です。
わたくしが大学生の時に飛行機の行き帰りで6回観たのに飽きたらず、帰国してからまた観に行き、今ではブルーレイも持っている…というぐらい、どハマりした映画。2002年の公開です。
(以降、少しネタバレを含みます)
会社を営む優しく誠実な夫(リチャード・ギア)と息子とニューヨーク郊外で暮らす幸せな妻(ダイアン・レイン)。ところが、息子の誕生日プレゼントを買いに行ったニューヨークで、若いフランス人男性(オリヴィア・マルティネス)と運命的に出会ってしまう。いけないと知りつつも彼に惹かれて情事を重ねていく。やがてそれは夫の知るところとなり…といったあらすじ。原題は『unfaithful(不実)』。あまりにそのままなので、邦題の方がぴったりかも。
夫婦仲も悪くなく、生活は幸せ。だけどふとしたきっかけで秘密の恋に溺れていってしまうヒロイン。そう、この映画は女性が不倫に走ってしまう話なんですよね。だからこそ女性にとって肌感覚でわかるような描写がいっぱい!
もうとにかく、このダイアン・レインとオリヴィア・マルティネスのシーンが、どこを切っても全部色っぽい!全部好き。ゾクゾクします。
『ナインハーフ』『危険な情事』のエイドリアン・ラインが監督なので、ラブシーンはお手の物。実際のラブシーンだけじゃなくて、出会いからすべてがなんとも言えない官能に満ちています。しかも上品。
彼女がためらいながらも一線を越えるまでを、陰影の効いたエレガントなエロティックさでじっくり静かに盛り上げていく。いけない恋だからこそ、自制する。だけど、止められない。その焦らし感がたまりません。
吹き付ける強風に煽られるトレンチコート、目を閉じて手を合わせ一緒になぞる点字、距離が近づくか離れるかのダンスシーン。いちいち丁寧で濃密で、画面から香りが漂ってくるかのよう。グッとくる官能映画は感覚に訴えるのが本当に上手!
初めて見た時はすごく大人だと思っていたこのヒロインも、いつの間にか自分と同じぐらいの年代に。演じていたダイアン・レインは、当時37歳ぐらい。化粧っ気はないけれど鍛えられた美しい脚とプロポーション。さらっとトレンチやデニムを着こなす姿にも清潔感と色気が。女たるもの、いつでもこうありたい。
この映画でアカデミー主演女優賞候補にもなった彼女の演技が本当に素晴らしく、恋をした女性なら誰でも感情移入してしまうと思います。
夫を愛しているけれど、秘密の恋に惹かれてしまう。下着を新調したり、友達の目を盗んで密会したり、夫の出張を喜ぶ一方で、恋に溺れて自分を見失う嫌悪感や嫉妬に苦しむ。知的で自立した良き妻そのものみたいな女性が、退廃的な情事に引き込まれていく様が、いかにもリアル。
初めて関係を持った時の体の震えとか、そのあとの電車のシーンがもう秀逸!
罪悪感を持ちながらも情事を思い出してときめいてしまう、胸の高鳴り…。とても演技とは思えない。
この映画ではリチャード・ギアは珍しく(?)不倫される側なんですよね。彼が誠実な夫を表現すればするほど、裏切った罪悪感と新しい恋の高揚感との狭間で苦悩するダイアン・レインがまた冴え渡ります。
私生活でもハル・ベリーの元夫で、カイリー・ミノーグとも長年交際していたモテ男のオリヴィエ・マルティネス。この映画での優しくてズルくてミステリアスでセクシーな、超ハマっちゃいけない男が似合いすぎ。一挙手一投足からフェロモンが溢れまくってます。すべてがエロい。
前半は妻の燃え上がる恋がメイン、しかし後半からはリチャード・ギアがメインで一気にサスペンスになっていく意外なドラマ展開も楽しめます。
日常の中に潜んでいる取り返しのつかないことへの第一歩。どうしようもない恋の引力。情事の背徳感。
人間の弱さともろさを描いていて、SMという過激な題材を扱った『フィフティシェイズ』よりもある意味危険で、官能的。
何年経っても古びない、大人の映画です。
venus mai
元ファッションエディター。同じ“マイ”という名前のneffy maiと共に、スピリチュアルビューティコンサルタント“mailove”として活動。東京大学文学部美学芸術学科を卒業。アートやカルチャーに造詣が深く、ライフスタイルにも独特の美意識を発揮する。1979年生まれ・いて座・AB型。Domaniウェブサイトにて『ふたりの女の官能カラーパレット12か月』『ふたりの魔女の恋愛タロットリーディング』なども担当。