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2021.08.17

麗しくて楽しすぎた! 紅ゆずるさんの魅力たっぷり『エニシング・ゴーズ』観劇レポ

元星組トップスターの紅ゆずるさん主演の、ブロードウェイミュージカル作品が待望の幕開け! 賑やかでパワフルな『エニシング・ゴーズ』のイラスト付き観劇レポをお届けします。

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まさに「エニシング・ゴーズ」! 抜群に盛り上がる陽気なコメディ

「エニシング・ゴーズ」=「なんでもあり」。1934年にブロードウェイで初演されトニー賞3部門を獲得したことのある傑作で、今回日本では8年ぶりとなる公演。本来ならば8月1日が開幕の予定でしたが緊急事態宣言の影響で一部公演が中止になり、8月11日に待望の初日を迎えました! 宝塚歌劇団元星組トップスターの紅ゆずるさんの、退団後初ミュージカルです。

5分を超える長いナンバーや、カッコいいタップダンスがそこかしこに散りばめられていて、いかにも“古き良き”なブロードウェイミュージカル。パワフルでハッピー。ブロードウェイで初演された1930年代は大恐慌に見舞われていた時代。その憂さを吹き飛ばすかのようなパワフルでハッピーな作品が、今、上演されている意味を改めて思いました。


▲マリン調の幕がかわいい! イカリはフェイク(プリント?)なのにロープは本物というつくりで、「あれ、どうなってるの!?」と二度見。


▲私たちも一緒に船旅をしているかのような舞台セットも立派で見応えアリ。デッキの下にはオーケストラがいて生演奏が楽しめます。

時は1930年代半ばのニューヨーク。個性豊かでさまざまな職業の男女が、ロンドンへと向かう豪華客船S・S・アメリカ号の中で繰り広げるドタバタな船旅が舞台。ジャズのメロディーとダンスが加わった華やかな作品です。

主役は、ナイトクラブのスター・リノ(紅ゆずるさん)。リノがぞっこんのビジネスマン・ビリー(大野拓朗さん)、ビリーが思いを寄せるお嬢さま・ホープ(愛加あゆさん)。でもホープはどうやら英国紳士のオークリー卿(廣瀬友祐さん)と結婚式を挙げるみたいだし、ビリーの上司・ホイットニー社長(市川猿弥さん)と、ホープの母親・イヴァンジェリン(一路真輝さん)となにかありそうで、そんな人間関係をさらに引っかきまわすのが、紳士に変装した指名手配中のギャング・ムーンフェイス(陣内孝則さん)と、彼のオンナのアーマ(平野綾さん)。とにかく役も出演者も濃い! 濃い! 濃いーーー!!

リノ役の紅さんは、宝塚在団中から個性の塊のような人。軽快でコミカルで、大好きなビリーに迫るところなどすごくチャーミング。コメディってセリフのテンポや間が重要ですが、絡みが多かった大野さんや陣内さんとのやりとりはとっても楽しい! 大野さん演じるビリーはウォール街で働くビジネスマンという設定ですが、なかなか自由な性格で、彼がいろんな(面倒な)ことを引き寄せてしまっているんじゃないかと思いつつ憎めない存在。

ムーンフェイス役の陣内さんの存在感もすごかった! 胡散臭いのにダンディで、頭の回転が早くて、でもやっぱりちょっと残念でユーモラス。なんだか、ギャングというより詐欺師のようなイメージ。

社交界の華・ホープお嬢さまを演じる愛加あゆさんも、宝塚歌劇団の元雪組トップ娘役。可憐で清楚な雰囲気に、ビリーがメロメロになっちゃうのもわかります。

ホープと船上結婚式を挙げる予定だった、廣瀬友祐さん扮するオークリー卿。貴族らしくシュッとした出で立ちで、でもなんだか掴みどころがない印象だったのですがまさかあんな結果になるなんて…!?

ホープのママ役の一路真輝さんと、ビリーの会社の社長役の市川猿弥さん。宝塚歌劇団元雪組トップスターと、人気歌舞伎役者という確かな実力のふたりは安定感があって、舞台をしっかり締めていました。ミュージカル初挑戦という猿弥さんですが、ソロ曲や、コミカルで自然体な演技など、難なくこなしてさすが!

歌とダンスがたっぷりで、ストーリーはとことん陽気。そしてさらなる見どころは、リノの衣装の豊富さ! 何度衣装替えがあったかな…、とにかく半端なくゴージャス。どれもかわいい色使いとデザインで、それを見るだけでもワクワクします。それまた、スタイル抜群の紅さんがさらに素敵に着こなして、見目麗しいこと。紹介しきれなかった衣装を、ここでまとめてお見せしちゃいますよ。

ユーモラスでハッピーなこのミュージカルが1930年代の重い空気を晴らしたように、観劇後はポジティブな気持ちにきっとなるのでは? 劇場でも感染対策を徹底していますが、私たちひとりひとりも十分に気をつけてこんなエンターテイメントに触れてみてはいかがでしょうか。

写真/明治座 文/淡路裕子 イラスト/春原弥生

トニー賞3部門に輝いたコール・ポーターの魅惑の音楽が織りなすミュージカル・コメディの最高傑作!!
明治座 ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』

【Story】
大恐慌からようやく落ち着きを取り戻した1930年代半ばのニューヨーク。ナイトクラブの大スター、リノ・スウィーニー(紅ゆずる)はウォール街で働くビジネスマン、ビリー(大野拓朗)に首ったけ。彼女は折からのロンドン行きにビリーを誘うが、つれない返事しか返ってこない。それもそのはず、ビリーは社交界の華、ホープ(愛加あゆ)にゾッコンなのだ。出航の日、ビリーは偶然にもリノと同じ船でロンドンへと旅立つ上司のホイットニー社長(市川猿弥)を見送るため港へやってくる。そして、あろうことか母親のイヴァンジェリン(一路真輝)に連れられたホープが、英国紳士オークリー卿(廣瀬友祐)と船上で結婚式を挙げることを知るのだった。なんとか阻止しようと慌てて船に飛び乗るビリー。そこへグラマラスなショーガールを連れたリノ一行と、神父に変装した指名手配中のギャング、ムーンフェイス(陣内孝則)が情婦のアーマ(平野綾)を連れて乗り込んできたから、さあ大変! それぞれの想いと思惑を乗せた豪華客船S・S・アメリカ号。リノをはじめ、個性豊かな乗客たちの恋の行方は……?一筋縄ではいかない、何でもあり(エニシング・ゴーズ)な船旅が、今始まる!!

【Information】
公演期間:2021年8月1日(日)~8月29日(日)
場所:明治座 
▶詳しくはこちらをチェック!
公式サイト

イラストレーター

春原弥生

すのはらやよい/1980年生まれ、長野県出身。 薄毛の夫タカ氏と共に姉弟2人の子育て中。『かわいく、わかりやすく、庶民的』をモットーにコミックエッセイ、レポ、マンガなどを手掛ける。楽しくわかりやすい表現法に定評があり、活躍の場はエンタメから語学、ビジネス、実用までと幅広い。著書に『宝塚語辞典』『ふたりの薄毛物語』等、共著に『マンガでわかる! 1時間でハングルが読めるようになる本』などがある。Twitterアカウント▶︎@suno_yayoi

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