マスクのせいで歯周病が増えたり口が臭くなるってホント!?
マスク生活が続き、口内環境の変化に戸惑う人が増えているようです。そこで今回は、歯周病や口臭の原因にも繋がる間違った歯磨き方法について、「こどもと女性の歯科クリニック」院長の岡井有子先生に伺いました。
マスクをしていると歯周病や口臭が気になるのはなぜ?
「マスクを長時間していると、息苦しさやお口のまわりの筋肉の緊張から口呼吸が助長され、口が開いた状態が続きます。汚れが残った状態で口が乾燥すると、汚れの表面が乾燥し密閉された汚れのなかで口腔内の細菌が繁殖しやすくなるため、歯周病や口臭の原因に繋がります」(岡井先生)
「やってはいけない歯磨き方法」とは?
「固めの歯ブラシで歯茎のキワを強い力で磨くこと。間違った歯磨きを続けていると、歯茎が下がり、知覚過敏が助長されてしまいます。また、逆に柔らかい歯ブラシばかりを使っていると、汚れが全く落ちません」(岡井先生)
正しい歯磨き方法は?
【使いやすい歯ブラシの選び方】
「お子さんや女性であれば、(1)ヘッドが小さいこと (2)ナイロン毛がたくさん植わっているもの (3)なるべく毛の長さが短いもの (4)毛先がスパッと切れているものを選んでください」(岡井先生)
【健康な歯茎の方の場合】
「ふつうの硬さの歯ブラシを使ってください。お子さんには、固めの歯ブラシを選びましょう。磨き方は、歯茎のキワに斜め45度で歯ブラシをあて一本の歯につき約10秒、優しく丁寧に磨きます。磨く順番を決めておくと磨き残しを防ぐことができますよ。最後に、舌で歯面を触ったときにざらついていないか確認しましょう」(岡井先生)
【歯周病がひどい方の場合】
「固めの歯ブラシを選びます。磨き方は、歯と歯の間の歯ぐきに固めの歯ブラシを差し込むようにして、マッサージするように左右に小刻みに振動させながら磨きます。このとき、痛みや出血がある部分は歯周病が進行していると考えてください。歯と歯の間は固めの歯ブラシで磨き、その後、ふつうの硬さの歯ブラシで歯茎に対して斜め45度に歯ブラシをあてて、全体を磨いてください。歯磨き粉を使いたい場合は、ふつうの硬さの歯ブラシ使用時に使いましょう。また、正しい歯磨きを実践できていたとしても、歯石は歯ブラシでは除去できません。定期的に歯科医院でお口のクリーニングをしてもらいましょう」(岡井先生)
【電動歯ブラシについて】
「上手に磨ける大人の方は電動歯ブラシをお使いいただいてもよいと思います。しかし、お子様の場合はまだ上手に磨けませんので、電動歯ブラシでなく手磨きをおすすめします。ママやパパの仕上げ磨きは小学校4、5年生くらいまでは続けましょう」(岡井先生)
歯と歯茎の間にある歯周ポケットは汚れがたまりやすいので、斜め45度の角度で歯ブラシの毛先を歯周ポケットに当て、左右に細かく振動させながら磨くのがポイント。このとき、毛先の細い歯ブラシばかりを使っていると、歯周ポケットに毛先が入り、かえって歯周病を悪化させることもあるので注意が必要です。歯ブラシを手の平で握るのではなく、力が入りすぎないよう、鉛筆を持つように握って磨くのがおすすめです。
口腔ケアとして必須の歯磨きですが、汚れを気にしてゴシゴシ力強く磨いてしまうと、歯茎をいためて知覚過敏になってしまうこともあるんですね。正しい歯磨きのコツをマスターして、口の中を清潔に保つようにしましょう。次回は、すぐに実践できる口臭対策について伺います!
こどもと女性の歯科クリニック院長
岡井有子先生
京都市内の産婦人科で看護師として勤務後、歯科の道へ。当初は摂食嚥下治療に携わりたいと思っていたが、医療を学ぶ中で治療が必要な状態にならないための「予防」の大切さを改めて認識。看護師時代、産婦人科で働いていた経験を生かせることもあり、こどもと女性のためのクリニックを開院。
こどもと女性の歯科クリニック