「舞台のコントと映像のコントは、全然違ってました」（秋山）
自身の公式YouTubeチャンネル「ハナチャン」で、オリジナルのコント【HANACONTE】を公開している、人気お笑いトリオ・ハナコさん。今回、それが100本を超えた記念として、DVD『HANACONTE+（プラス）』をリリース。ファン投票で選ばれた作品を含む、選りすぐりのコント15本と、副音声解説やDVD限定コント＆企画など、「これでもかっ！」というくらい特典映像がモリモリついた、お得感たっぷりの一枚になっています。
▲左から、ハナコの菊田竜大さん、秋山寛貴さん、岡部 大さん。
昨年春の緊急事態宣言中も、更新を絶えることなく続けたハナコさん。まずは、当時の思い出をお聞きしました。
──このたびはDVDのリリースおめでとうございます。
ハナコさん（以下敬称略）：ありがとうございます
岡部さん（以下敬称略）：まさかDomaniに2度も出られるなんて、思っても見ませんでした。（注：初回は2019年3月★過去記事はこちら）。
──まずは、YouTubeチャンネルについて、教えてください。
秋山さん（以下敬称略）：まだコロナ禍前だったんですけど、YouTubeチャンネルを活発に動かしてなかったので、映像コントを週に２本のペースで挙げてみましょうと、撮り始めたのが2020年の1月ですね。そのときは、特に目標は決めてなかったです。100本までいけるかもわからなかったし、まあ、区切りのいいところまでいけるといいなって。そしたらコロナ禍になってしまって、その中でも工夫しながら更新して、で、1年ちょっとかけて100本いったので、記念にDVDを出すことになりました。
──もともと舞台でされていたコントの映像化から、ロケコント、リモートコントなど、いろいろな形がありますが、週２のアップって、キツくありませんでしたか？
秋山：週2はもう、とんでもないですね、はい。
岡部＆菊田さん（以下敬称略）：（笑）
秋山：無理なくらいのペースで組んでみて、どこまでできるのかっていう挑戦でした。いつ根を上げてもよかったんですけど。
──週2の更新は、宣言されていましたっけ？ 何か新しい発見はありましたか？
秋山：宣言はしました。当時は毎週火曜・金曜の19時更新で、定期的に観てもらえればうれしいな、という気持ちでやっていたんですけど。発見でいえば、舞台のコントとは、まったく違いましたね、カメラワークがありますし、外でのロケもできますし、編集で何かを消したりするCGのよさもありますし。YouTubeでよく観るASMRのパロディとかもできますし……っていう、うれしさの反面、週２でつくれば、今後の舞台で披露できるコントも増えると思ったんです。ライブにもち込めるって。ぜんっぜんもち込めなかったですね、違いすぎて(笑)。50〜60本くらい更新して気づきました。あれ、舞台でやるネタがないって。
岡部：舞台でやっているネタを、映像にもっていくのは大丈夫だったんですけど。
秋山：逆がなかなかねぇ……。たまにできるものもあるんですけど、もうちょっといけると思ってた……。だからこそ、どうにか形（DVD）に残さないとって。
「発想の逆転で、舞台でできなかったものを、リモートでやろうと」（岡部）
──昨年春の緊急事態宣言中は、実際に家から出られない状況でしたが、それでも公開は続けていらして。
岡部：はい、はい。
秋山：そうですね、なんとか更新を止めずにコントを撮ろうということで、リモートでやってみようかと。おうちから画面をつないで、台本を共有して……最初はやりにくさしかなかったんですけど、じゃあ、リモートだからこそできることないかなぁと、できた初めてのリモートコントが＃28「リモート アトラクション『カメトーク』」（注：DVD未収録作品なのでYouTubeでぜひ！）です。岡部がネットでグリーンバック（合成用の背景）を買って、自分で壁に貼ってね。
岡部：リモートならクロマキー（背景を合成する方法）使えるぞって。割と手軽に家でできるって発見して。それまでテレビのものだと思ってたんです。じゃあ今まで舞台でできなかったコントも、逆にもっとできるんじゃないかと。発想の転換でもないですけど。
秋山：「リモート アトラクション〜」は確か、いつか舞台でやれたらと思っていたアイディアだったんです。テーマパークにある、キャラクターと対話できるようなアトラクションのコント版がやりたかったんですけど。
秋山：それでグリーンバックと、亀の着ぐるみを岡部が買って。で、実際フレームインしてみたら面白くて。
岡部：「この絵面がやりたかったんだよ」っていう、理想の画角ができて。
秋山：本家に近い（笑）。
岡部：バッチリだったんですよね。
秋山：それで味をしめて、連作で岡部が鏡になってみたり、マジシャンになってみたりしてますね。あとDVDの収録作品でいうと、＃31の「Zoom なかなか退出しない上司」。みなさんお仕事で、リモート会議が増えていると聞いて、上司がなかなか退室しないときに、部下が先に出てもいいものかっていうコントを。
──この作品、結構長い（約18分！）ですよね。
秋山：めちゃくちゃ長い。
──あれは、終わりを決めてないんですか？
岡部：決めてなかったんですよね……明確には。
秋山：YouTubeコントって、尺も決まってないですし、自由にできるので、台本が終わったあとも、アドリブで芝居を続けていたんですよ。それがちょっとひどかった（笑）。ひどかったっていうか、楽しすぎた結果が、このコントで。
岡部：まだいんのかよ、みたいな。また来たよ、みたいな。ふざけ合ってるだけでしたね、３人で（笑）。
秋山：探り合いでしたね。
──こういうコントは、本当にリモートで撮影しているんですか？
秋山：そうです。リハーサルもして。
岡部：無料版のソフトでやったんで、途中で撮りきれなくなって「１回出てください」みたいなことが何度もありましたね（笑）。
──確かにリモート会議の最初のころは、慣れなくて、時間切れになることが多かったですよね。
秋山：みんなやりましたよね。
──ほかのコントも、アドリブが多いのが印象的で。＃53〜＃56「兄弟YouTuber」とか＃15「ASMR３」とか。兄弟YouTuberは連作ですが、最後は、ただ御三方が楽しく遊んでるだけに見えてきました。
ハナコ：あはは！
岡部：台本がないんで。
秋山：セリフというよりは、大体こんなことをする、みたいな台本になってるんです。３兄弟が仲よくしゃべっているっていう。
菊田：確かにな。
秋山：尺がない分、自由に時間が足せたりするんで、その雰囲気は前面に出てますね。
──舞台でネタをしているのとは、全然違いますか？
岡部：舞台でやるときは、セリフが１個１個決まってて、どの間で言おうとか、だいぶそこは詰めてやってるんです。ライブのたびに試したり。
秋山：いらないところは削っていきますし。「ASMR」シリーズは、「佐々木たけし」っていうおじさんふたり組のキャラクター（注：菊田さんが佐々木役、岡部さんがたけし役）なんですけど、本当に台本はないよね。
岡部：ない、ない。
秋山：大根やみかんといった、用意するものは決めて。それをたけしが食べたら、佐々木が合流して終わろうか、くらいなんです。想定の動きのリハくらいはしますけど、食べるのは一発本番で。
──佐々木役の菊田さんは、岡部さんに合わせて、リアクションを自由にされていくという感じなんですか？（注：お気づきでしょうか。ここまで菊田さんがほとんど発言されてないので、内心焦ってます……）
菊田：……あーと、「佐々木たけし」ですか？ でもそんなにやりとりなかったよね？
岡部：そうだね。
秋山：でもコントの終盤は、ふたりの時間があるよね。
菊田：あー、確かに、たけしに言われたことをやるって感じでしたかね。
秋山：台本がないんで、セリフを言ってもらうというよりは、演技をするしかないんです。でも岡部は「たけし」を下ろしてるんですけど、菊田は「佐々木」を下ろせてないっていうか（笑）。
菊田：「佐々木」のキャラクターがないんですよ、そもそも。
秋山：内から出てくるものはなかった？ 自分の演技プランっていうか。
菊田：なんか、ちょっと、たけしに対してエラそうなおじさんってくらいですかね。
秋山：ああ、よかった。一応ありました。
と、最後に菊田さんがご登場されたところでVol.1は終了。映像コントの裏側を知ると、ますます面白いDVD『HANACONTE＋』は、好評発売中なのでぜひチェックを。
次回のインタビューは、単独ツアーやテレビのコント番組について語っていだたきます！
撮影／高木亜麗 取材・文／湯口かおり
『HANACONTE＋』
コントを本気で映像化！ ハナコのオフィシャルYouTubeチャンネル「ハナチャン」で公開されている100本を超える【HANACONTE】から、選りすぐりのコント15本を副音声付きで収録。特典映像は、本作に収録されるコントが選ばれた「ハナチャンライブ～HANACONTE徹底討論会!～」（2021年5月18日開催）ディレクターズカット版と、本作でしか観ることのできない撮りおろし映像5本を収録！ ￥3,300（税込）2021年10月27日発売 発売元：Contents League 販売元：ソニー・ミュージックソリューションズ
Profile
ハナコ
はなこ／岡部大、秋山寛貴、菊田竜大で、2014年に結成されたお笑いトリオ。「キングオブコント2018」での優勝以降、大人から子どもまで、幅広い層に愛される人気芸人に。数多くのお笑い番組のほか、ドラマ出演や脚本での参加など、さらに活躍の場を広げている。今回のDVD発売のきっかけとなった公式YouTubeチャンネル「ハナチャン」も必見！
