こんにちは、editor_kaoです。
今日は、私がインスタグラム @editor_kao をはじめたときのことを、お話ししたいと思います。
5年くらい前でしょうか。当時私は、あるファッション誌のエディトリアル・ディレクター(デスクみたいな役割)でした。雑誌業界でもウェブ需要が高まっていた時期で、慣れない世界に編集者全員が右往左往。同時に、SNSをどう活用するかについても、模索していた時期だったんです。
雑誌しかできない自分に危機感を感じて……
私それまで、SNSにほとんど興味がなかったんです。毎日誌面をつくることで忙しかったし、雑誌の公式アカウントはなんとなく更新していたけれど、どちらかというと見るほう専門で。まさか個人のアカウントをスタートすることになるとは、思ってもいませんでした。でも、メディアのあり方が、あまりのスピードで変化していくことに、「このままではいけない……」と、危機感を感じたんです。
エディトリアル・ディレクターの仕事も、毎日とても刺激的で楽しかったけれど、「こんなに恵まれた場所に、ずっといられるはずがない」という気持ちもありました。あくまでも私はフリーランス。特にファッション誌は、世代で区切られることが多いし、時代だって変わってくる。私の気持ちと雑誌の方向性にギャップが生まれるかもしれません。仕事として、読者の好みやライフスタイルに合う企画を考えることはできるけれど、「じゃあ私が、本当に好きなものって……?」しばらくすると、そんなことを考えるようになりました。
知らない人と、好きなおしゃれをシェアしてみたかった
「私が素直にいいなと思ったり、素敵だと思うアイテムや着こなしって、どんな人が共感してくれるのかしら?」これが、私がアカウントを立ち上げた、いちばんの理由です。SNSという新しいメディアの仕組みにも興味がありましたし、当初はどちらかというと、実験的な意味合いが大きかったような。そこでなるべくフラットな目線で見てもらおうと、あえて本名を明かさず、普段の具体的な仕事内容についても、触れないようにしました。アカウントを開設したことも、周囲の人にほとんど話さないようにして、とにかく自分のことを知らない人と、自分が好きだと思うおしゃれをシェアしてみたかったんです。
そしてあっという間に月日は流れ、現在に至ります(はしょりすぎ!)。いえ、この5年間、特に大きな出来事や事件がなかったので、書くことがないんです。何かがバズるわけでもなく、日々投稿していくうちに、少しずつフォロワーの方が集まってくださったとしかいえなくて。
SNSっていろいろあるけど、楽しいツールだと思う
今思うことは、本当にインスタグラムをはじめて、よかったということです。自分でも信じられないくらい多くの方に見ていただけるようになりました。コメントが直接送られてくるのも、素直にうれしいです。
かなり前の話ですが、地方からディズニーランドに遊びに行くときの着こなしを相談されたり、お子さんの卒園式の着こなしについての悩みをいただいたことがありました。あと、ときどき投稿している、ファッション以外のことへのコメントも(これも結構うれしい)。質問をいただいたときは、見過ごさない限り返信していますが、たぶんどの方も、私がインスタグラムを開設していなかったら、絶対に交わることがなかったはず。簡単なやりとりではあるけれど、なんだか文通をしているような気分になるんです。私の知らない場所で、それぞれの生活を楽しんでいる。あたりまえのことですが、それを感じるたびに、温かい気持ちになるんですよね。
あ!このDomaniの連載も、インスタグラムのおかげでスタートすることができました。「今日からは、自分のために服を着たい」というタイトルの、原点でもある気がします。個人の意見として文章を書くことに、いまだ緊張はしますが、だからこそ伝えたいことを、自由に綴ることができたらと思いますので、これからもよろしくお願いいたします!
【今日のひと手間】
私のインスタグラムで、過去イチ反響が大きかった投稿がこちら。パールのピアスを、ニットの襟元にあしらうアレンジでした(友人がしていたのがかわいくて、真似っこ)。最近またブローチが流行っていますが、こういった方法で試してみるのもありですよね。
エディター
editor_kao
大人の実用ファッションを中心に、人物インタビューや日本の伝統文化など、ジャンルレスで雑誌やブランドサイト、ウエブマガジンで活動中。また、インスタグラム@editor_kaoでは、私服コーディネートを紹介するかたわら、さまざまなブランドや百貨店とのコラボレーションも手がけている。ライフスタイルWEBメディアkufura(クフラ)でも「4ケタアイテムで叶えるオシャレ」を連載中。
イラスト/柿崎こうこ