【目次】
私が実家で同居を始めた理由
前回のお話▶︎50歳で離婚し、55歳で高校時代の元彼と再婚した理由
50歳で離婚し、55歳のときに高校時代の元彼と再婚した直子さん。再婚の理由は、父親の介護を手伝ってもらうのに、籍が入っていないと不便だから、という現実的なものでした。成人したお子さんがいるバツイチの方であれば、再婚ってそれくらいのテンションでするものなのでしょうか。
再婚したときには、体調の悪い母親に代わって車椅子で生活する父親の介護をするために、直子さんは近所にある実家と自宅を往復する生活を送っていました。
直子さん:出勤前に近所の実家に立ち寄って朝ご飯を食べさせ、昼休みに食料の買い物を済ませて、夕飯の時間に実家に住む弟ふたりと父親と母親の夕食を急いで作ったあとに帰宅。自分の家族の分の食事もあるので、すごく大変だったんです。
直子さんのご実家は、障害者の弟さんともうひとりの弟さんがご両親と同居しているという家族構成。お父様が脳梗塞で倒れるまでは、近所に住んでいても弟たちとは疎遠になっていました。ですがお父様の介護のために実家に通うようになると、高校時代から弟をかわいがってくれていた再婚相手のBさんと弟が意気投合。
直子さん:高校時代にうちによく来ていたBくんは、弟を連れて映画に行ってくれたりして、私の家族とは元々仲が良かったんです。母も、離婚したときに「私はBくんの方があなたの元夫より可愛いと思ってた」と言ったくらいなので、Bくんのことは気に入っていて。
そんな背景もあって、直子さんが実家でのBさんとの同居を提案したとき、家族は全員同意してくれたそう。父親が亡くなったあとに、空いた地下室をドラムを叩くBさんのために防音室にリフォームしたためか、Bさんからも同居について特に異議はありませんでした。
そんなわけで、現在は55歳と56歳の独身の弟たちと夫のBさん、直子さんの29歳の次女と母親と6人の大所帯で暮らしている直子さん。都内ではなかなか珍しいケースかもしれません。
直子さん:籍を入れたのは、介護のためももちろんあったけれど、私の家族の中に入ったときにBくんにひとりだけ除け者のような気分を味合わせないため、市民権を与えるためでもあったんです。今ではご飯どきは、長テーブルに男子と女子に分かれて座り、みんなで仲良く食べます。夫は弟のひとりと双子のように気が合うみたいで、好きなビールの銘柄も一緒。毎晩、晩酌しながら話が止まらなくなるくらいに盛り上がってて楽しそうですよ。
大家族だからこそ、年老いた母親と障害のある弟の世話を、みんなで分担して担当できるというのが最大のメリット。みんなで母親のケアサービスの対応もシフト制にしているそうです。
直子さん:弟は以前は「将来俺はこの家を出る」と言っていたのに、同居するようになってからは言わなくなりました。きっと実家でひとりで年老いた両親と障害のある弟の面倒を見ているのが負担だったんでしょうね。
老人介護が大きな社会問題になっていくこれからの時代に、家族みんなで負担を分担できる同居というシステムが、見直されることもあるのかなと感じました。
ちなみに次女はBさんのことを、「ママがまたダメンズ捕まえてきたけど、役には立ちそうだからいいか」と思っていたらしいです。両親が自由だと、子供の精神的自立が促されるということでしょうか。
50歳を目前にしたバツイチの私ですが、この連載の最終回で人生の先輩である直子さんのアラ還での再婚ストーリーを伺うことができて、とても勇気をもらえました。世代が変わることで、パートナーとの関係や求めるものも変化するのですよね。
私も、この先再婚するかどうかはわかりませんが、直子さんのようにお互いを支え合えるパートナーを得られたらいいな。人と生活することは煩わしいことも多いけれど、パートナーシップからしか得られないものも多いから、やっぱりパートナーっていいなと、私はこの連載を通じて感じました。皆様はいかがでしたでしょうか。
この連載は今回で終了となります。それでは皆様、またどこかでお目にかかりましょう。
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。