ストックオプション制度
ストックオプション制度は、従業員に自社株式を将来の特定価格で購入する権利を与える報酬制度です。
たとえば入社時に1,000円で購入できる権利を与え、5年後に株価が3,000円となれば、従業員は1株あたり2,000円の利益を得られます。従業員が会社の株価上昇によって利益を得る機会を持つことは、経営者と同じ立場で会社の成長に貢献する動機付けとなります。
ストックオプション制度の特徴は、長期的な視点での貢献を促す点です。即時の金銭的報酬ではなく、会社の将来的な成長に従業員の利益を連動させることで、持続的な努力を引き出します。
リーダー制度
勤続年数にかかわらず、すべての従業員を対象に組織内で優秀な人材を選抜し、特別な権限や責任を与える仕組みです。リーダーに昇格した従業員には、通常の給与に加えて報奨金が支給されることがあります。
一例として、プロジェクトリーダーに任命された社員に、月額で基本給の10%相当の報奨金を支給するケースなどが挙げられます。
リーダー制度のメリットは、従業員のキャリアアップへの意欲が高まることです。ひいては組織全体の生産性向上につながり、リーダーシップスキルの育成や、次世代の経営層の発掘にも効果が期待できます。
一方で、リーダーの選抜基準や報奨金額の設定には慎重さが求められます。公平性を欠くと、従業員間の不満や軋轢(あつれき)を生む可能性があるためです。
報奨金導入のメリット・デメリット
企業が基本給と別に報奨金を出すからにはメリットがあるはずですが、デメリットがないのかも気になるポイントです。報奨金導入のメリット・デメリットを紹介します。
モチベーションの向上が期待できる
報奨金制度の導入は、従業員のモチベーション向上に大きな効果をもたらします。具体的な成果や貢献に対して金銭的な報酬が与えられることで、従業員は自身の努力が正当に評価されていると感じ、仕事への意欲が高まります。
営業部門で目標を大幅に上回る成績を収めた社員に報奨金が支給されたなら、その社員はさらなる成果を目指して努力するはずです。ほかの社員にとっても良い刺激となり、部門全体の業績向上につながる可能性があります。
報奨金制度は、企業の価値観や目標を従業員に明確に伝える手段としても機能します。どのような行動や成果が評価されるのかが明確になることで、従業員は会社の方針に沿った行動をとりやすくなるのです。
手取りが安定しない可能性も
報奨金制度には、従業員にとってのデメリットも存在します。最も大きな懸念は、手取り収入の不安定さです。報奨金は成果に応じて変動するため、毎月の給与が一定ではなくなるおそれがあります。
ある月は大きな成果を上げて高額の報奨金を受け取っても、翌月は成果が出ず報奨金がゼロになることも考えられます。家計の見通しが立てにくくなる要因となり得るため、注意が必要です。
また、報奨金を目当てに過度な競争意識が生まれ、職場の人間関係に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。チームワークが重要な職場では、個人の成果のみを重視する報奨金制度が、協力体制を崩壊させてしまうこともあり得ます。
報奨金に関するQ&A

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実際に報奨金をもらう場合、額面をそのまま受け取れるのか・金額はどのように決まったのかなど、気になる人もいるはずです。報奨金に関するよくあるQ&Aを紹介します。
報奨金に税金はかかる?
報奨金をもらった場合、税金は引かれてしまうのでしょうか。結論からいうと、報奨金には原則として所得税がかかります。
ただし、会社が源泉徴収するかどうかはケースバイケースです。通常の職務範囲内で成果を上げた際の報奨金は給与の一部とみなされ、会社に源泉徴収の義務があります。毎月の給与と同様、税金が引かれた状態で支給されるため、社員は特に何もする必要はありません。
一方、通常の職務範囲外で、何らかの貢献をしたときのみ支給されるような報奨金は、一時所得となります。会社に源泉徴収の義務はなく、社員が自分で確定申告する必要があります。
一時所得には特別控除50万円が適用され、控除後の金額の1/2が課税対象です。たとえば1年間で100万円の報奨金を受け取ったとすると、特別控除後の50万円の1/2に相当する25万円に課税されます。
報奨金の額はどうやって決まるの?
報奨金の額は、企業の方針や業績、個人の貢献度などによって決まります。多くの場合、基本給の一定割合や、達成した目標の重要度に応じて設定されているようです。
例を挙げると、売上目標を120%達成した場合、基本給の10%を報奨金として支給するといった具合です。
企業によっては、個人の評価や部門の業績を考慮し、複数の要素を組み合わせて算出することもあります。プロジェクトの成功や特許取得など、特別な成果に対しては固定額で示すケースもあります。
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