「きっかけ」の意味や使い方

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「きっかけ」は、物事が起こるときの手がかりを表す言葉です。何かを始めたり、行動に移したりする際の動機や理由を意味します。
たとえば、体調を崩して以来、健康に気を使うようになった場合は以下のように言い表せます。
・体調不良をきっかけに、食生活に気を配るようになりました。
ビジネスや日常会話での使用例は、以下も参考にしてください。
・書類のミスが多いと先輩から注意を受けたことをきっかけに、慎重な作業を心がけるようになった。
・私がビジネス書を読むようになったのは、尊敬する上司が同じ本を読んでいたのがきっかけです。
・彼の名が世に広まったのは、SNSの動画配信がきっかけだった。
ビジネスで使える「きっかけ」の類語や言い換え表現

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きっかけには、以下のような類語や言い換え表現があります。
いずれも日常生活だけでなく、ビジネスでの使用機会も多い言葉です。ここからは、それぞれの意味や例文を参考に、語句への理解を深めていきましょう。
「契機」
「契機」は、「きっかけ」と同様の意味をもつ言葉です。物事が始まったり、変化したりする直接的な要因を表します。
また、人の行動だけでなく、世界的な変化や歴史上の出来事などに対して用いる点も特徴です。哲学用語としての意味も有するなど、フォーマルシーンに適した言葉といえるでしょう。
・取引先からの提案を契機に、新たなプロジェクトへの取り組みがスタートした。
・捉え方次第では、人生の苦難も成長の契機となり得る。
・今回のトラブルを契機に、業務体制を今一度見直してほしい。
「機」
「機」(き)という語句も、物事のきっかけを意味します。「きっかけ」との違いは、物事をするうえで、ちょうどよいタイミングを表す点です。
「機」のみで使うこともあれば、「機会」や「時機」の形で用いることもあります。「機会」とは何かを行うのに、もっともちょうどよいタイミングのことです。
また、「時機」には「時期尚早」や「時機到来」という四字熟語があります。「時期尚早」とすると実行に移すにはまだ早いこと、「時機到来」は、物事を行ううえで一番よいときがやってきたことを表現できます。
・ビジネスで成功するためには、機を見て行動する必要がある
・展示会は、見込み顧客に直接アプローチする絶好の機会といえる。
・いよいよ我が社も海外進出の時機到来だ。
「原因」
物事の状態や変化のもととなることは、「原因」と言い表します。「原因不明」「原因を追求する」「原因を突き止める」のように、日常生活での使用機会も多い言葉です。ビジネスでは、以下のように活用してみてください。
・システムトラブルについて専門チームで対応するも、いまだ原因不明の状態だ。
・ユーザーからのクレーム増加について、ただちに原因を追求する必要がある
・帳簿の数字が合わず四苦八苦していたが、時間をかけて何度も確認し、なんとか原因を突き止めた。
「動機」
「動機」は、人の意思決定や行動に関係する言葉です。「きっかけ」や「契機」のように、物事の変化に対して用いることはありません。
何かを行動するに至った理由や、考えをもつ原因となった事象については「動機」という言葉が適しています。
ビジネスでは、「志望動機」も使用頻度の多い表現です。こうなりたいと望むことを意味する「志望」に「動機」と続けることで、その企業で働きたいと思うに至った理由を表します。
・大学の後輩から「志望動機についてアドバイスをもらいたい」と連絡がきた。
・異動願を提出するに至った動機を教えてほしい。
「手がかり」
「手がかり」は「手をかける場所」という意味のほか、「問題解決の糸口」という意味をもちます。「きっかけ」との違いは、トラブル解決につながる原因や、理由を表す点です。
そのため、ビジネスでも以下のように、トラブルが生じた場合や問題解決に向けたシーンに適しています。
・新しい部署での勤務の初日には、わからないことも多かったが前任者の残した資料を手がかりに、なんとか仕事をやり切った。
・上司からのアドバイスに、問題解決のための手がかりが隠されているように思う。
「きっかけ」と言い換え表現を上手に使い分けよう

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「きっかけ」は、何かを始めたり、行動に移したりする理由を表す言葉です。類語や言い換え表現には、「契機」や「機」「原因」などが挙げられます。
それぞれ似た意味をもつものの、ニュアンスは少しずつ異なります。ビジネスシーンでは、その場に応じた使い分けが大切です。
今回は、それらの意味を例文とともにご紹介しました。ぜひそれらを参考に、「きっかけ」や言い換え表現などを会話に取り入れてみてください。
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