Summary
- 手洗い用洗剤は中性・低刺激タイプを選ぶことで、衣類と手肌への負担を軽減できる。
- 素材ごとに洗剤の種類や洗い方を変えると、型崩れや色落ちを防ぎやすくなる。
- 洗剤の適量は水量に応じて調整し、すすぎ残しを防ぐことが大切。
忙しい日々の中でも、洋服を丁寧にケアしたいと思っている人にとって、「洗剤での手洗い」は悩みどころです。素材ごとに適した洗剤や、使う量の目安、手荒れを防ぐ工夫など、意外と知られていないポイントも多くあります。
そこで本記事では、創業80余年の歴史を持つ京都発祥の染み抜き・お直し専門店である「きものトータルクリニック吉本」さんに、初めての方でも迷わず実践できるよう、手洗いに適した洗剤の選び方や使い方をお聞きしました。素材別・目的別に分かりやすく紹介していきます。
手洗いに適した洗剤とは? 基本の選び方と特徴
手洗いの洗剤選びは、素材をいたわる気持ちや使い心地への配慮が求められます。洗濯機に比べて手の感触が直接伝わる分、仕上がりだけでなく肌への影響も気になるところです。ここでは、家庭で扱いやすい手洗い用洗剤の特徴と、それぞれの選び方について紹介します。
手洗い用洗剤と一般の洗剤の違い
手洗い向けの洗剤は、直接手に触れることを前提に作られており、刺激を抑えた設計になっていることが多いです。一方で、一般的な洗濯洗剤は、洗濯機を使うことを前提としているため、泡立ちや洗浄力が強く、成分もやや強めに調整されている傾向があります。手洗い用は泡切れのよさを意識して作られており、すすぎの手間を減らしたい方にも扱いやすい仕様になっているものが多く見受けられます。

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中性洗剤・弱アルカリ性・無添加タイプの特徴
洗剤の性質に目を向けると、洗いたい衣類の素材に合わせた使い分けがしやすくなります。具体的には、ウールやシルクのようなデリケートな素材には、中性の洗剤が比較的適しています。これは、生地への負担が少なく、色あせや縮みのリスクを抑える働きがあるためです。
一方で、日常使いのシャツやタオルなど、皮脂汚れが気になる衣類には、弱アルカリ性の洗剤が力を発揮するでしょう。
肌へのやさしさを重視するなら? 手荒れ対策も意識した選び方
洗剤選びでは、仕上がりだけでなく、使う人の手肌へのやさしさにも配慮したいところです。中には、洗剤に含まれる界面活性剤や香料によって手が荒れやすくなる人もいます。
そのような場合は、皮膚への刺激を抑えた「低刺激」や「皮膚科医監修」と記載のある製品が安心感につながります。泡切れがよく、すすぎ残しの心配が少ない設計になっている洗剤を選ぶことも、手荒れの予防に役立ちます。洗剤そのものの特性だけでなく、使う環境や頻度に応じて柔軟に選ぶ視点が求められますね。
衣類の素材別! 手洗い洗剤の使い方と注意点
手洗いに取り組む際、素材に合った洗い方を意識することは、生地の風合いや形を保つうえで重要です。ここでは、衣類の種類ごとに適した洗剤の扱い方や注意点をまとめています。少しの工夫で、長く着られる状態を保つことが可能になりますよ。
ブラジャーや下着に適した手洗い洗剤の選び方
ブラジャーやショーツは、形状やレースなどの装飾が繊細であるため、力を入れすぎず、やさしく扱うことが前提となります。洗剤は中性タイプで香料が控えめなものを選ぶと、生地への負担が軽く済みます。洗う際には30℃以下のぬるま湯を使い、洗剤を溶かしてから軽く押し洗いするのが基本です。
装飾部分は無理にこすらず、水中で生地を泳がせるように動かすことで、汚れが自然に落ちやすくなります。すすぎも1回ごとに水を替えながら、泡がなくなるまで丁寧に行うと安心です。
ニットやセーターの縮みを防ぐ手洗い方法
ニットやセーターは、摩擦や温度差に反応しやすい繊維で作られていることが多く、無理な動きや急激な水温変化が縮みの原因となります。洗う際には常温に近い水を使い、ウール・カシミヤ対応と明記された洗剤をしっかり溶かしてから衣類を浸します。強く揉むのではなく、沈めて持ち上げる動作を繰り返すようにしながら洗うと、生地の表面を傷めにくくなりますよ。
脱水時にはねじらず、バスタオルで包み込んで水分を吸わせる方法を使うと、型崩れを抑える効果が期待できます。

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色落ちしやすい衣類の洗い分けと洗剤の工夫
濃い色の衣類やプリントがあるものは、色落ちによって他の衣類に影響を与えることがあります。色柄物専用や色移りを防ぐと表示された洗剤を使うことで、色落ちのリスクを抑えやすくなります。
ただし、新品の衣類や初めて洗う場合は、水に濡らして目立たない場所を軽く押さえて色移りを確認しておくと安心。複数の衣類を一緒に洗う場合は、濃色と淡色を分けて洗うことも工夫の一つです。
手洗い時の洗剤の量、どれくらいが適切?
洗剤の量が多すぎると、すすぎに時間がかかったり、肌への刺激が強くなったりすることがあります。一方で、少なすぎると汚れ落ちが不十分になるため、素材や用途に合った適量を知っておくと安心です。ここでは、洗剤の量に迷いがちな場面で役立つ、具体的な目安や判断の工夫を紹介します。
洗剤量の基本目安と水量のバランス
洗剤の量は、使用する水の量に対して調整することが出発点になります。市販の手洗い用洗剤には「水2Lに対して約5ml」といった目安が記載されていることが多いです。こうした表示を確認しながら、洗剤は必ず水に溶かしてから衣類を入れるようにしましょう。
泡立ちが強すぎる場合は、一度水を足すことで調整がしやすくなります。容器にキャップが付属している製品では、計量目盛りを活用すると扱いやすいですよ。洗う量が少ないときは、使用量もその分だけ控えめにする配慮が求められます。

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ブラやニットなどデリケート衣類の洗剤量
デリケートな衣類の場合は、素材に対して洗剤が多すぎないよう意識することが大切。特にブラジャーやニットなどは、洗剤成分が生地に残ると、ごわつきや肌への刺激につながる場合があります。目安量よりやや控えめにし、よく泡立てたうえで押し洗いする方法が向いています。
少量の衣類を洗う際には、洗剤を水に溶かす前にごく少量の水で希釈してから使うと、泡立ちすぎを防ぎやすくなります。すすぎの際には、泡が完全に消えるまで2回以上行うのが安心です。
旅行中など洗面台で洗う場合の工夫と代用品
旅先など限られた設備の中で洗濯をする場合は、水量も安定せず、洗剤の量に迷うことがあります。そのような場面では、小分けパックやシート状の洗剤が扱いやすく、量の調整も簡単です。洗面台を使用する場合は、約1Lの水に対して2〜3ml程度を目安にするといいでしょう。
計量が難しい場合は、ペットボトルキャップ1杯を基準にして調整する工夫も考えられます。どうしても洗剤が用意できないときは、ボディソープを使う方法もありますが、素材によっては相性がよくないこともあるため、慎重な判断が必要です。
最後に
- 洗剤は成分表示や用途を確認し、素材や肌に合うものを選ぶ視点が大切。
- 手洗いでは洗い方や水温にも気を配り、衣類をいたわる意識が求められる。
- 洗剤の量は控えめに調整し、すすぎを丁寧に行うことで肌と衣類を守りやすくなる。
手洗い洗剤の選び方や使い方を少し意識するだけで、衣類も手肌もぐっと快適に保てます。家事に追われる毎日でも、無理なく取り入れられる工夫が詰まった洗濯習慣を見つけて、暮らしの質を少しずつ高めていきましょう。
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