アイロンで再加工する場合の温度と注意点
注意すべき点は、生地に直接熱を与えると光沢が出たり、溶けたりするおそれがあること。特にナイロンやポリエステルなどの化繊素材は、熱によって傷みやすいため慎重な扱いが求められます。また、同じ部分に長く当てすぎないよう、こまめに場所を移しながら作業すると安心です。全体にかけ終えたら、一度冷ましてから撥水の確認を行うと仕上がりを確認しやすくなります。
【温度設定と注意点】
1. 洗濯表示を確認し「アイロン可(低温)」であることを確認
2. スチーム機能を切る
3. 必ず綿100%などのあて布を使用する
4. 温度は「低〜中」に設定
5. 直接滑らせず、軽く押し当てるように10秒ずつ加熱
乾燥機を使うときに確認すべきポイント
家庭用乾燥機を使うことで、手間なく全体に熱を行き渡らせることができます。ただし、熱に弱い生地には不向きで、誤って使用するとシワや縮みの原因になります。乾燥が終わった後はすぐに取り出し、風通しのいい場所で自然に冷ますことで、余熱によるトラブルも防げます。確認作業と温度管理をきちんと行えば、安全に撥水性を取り戻すことが可能です。
【確認すべきポイント】
1. 洗濯表示に「タンブラー乾燥可」と明記されているか
2. 撥水加工が施された製品であるか
3. 素材がナイロン・ポリエステルなど熱に比較的強いか
4. 中温設定で10〜15分以内にとどめる
5. 洗濯ネットを使って乾燥ムラや絡みを防ぐ
傘・レインコート・カッパ別! アイテムに応じた最適な方法
傘やカッパ、レインコートなどの撥水アイテムは、素材によって適した手入れ方法が異なります。ここでは、対象別に適した撥水復活の方法と素材に応じた注意点を整理しながら、解説します。
傘の撥水をドライヤーで戻すときのポイント
傘をドライヤーで処理する際に押さえておきたいのは、以下の3つのポイントです。第一に「傘の材質の確認」です。ナイロン・ポリエステル素材であれば、熱処理によって撥水性が戻る可能性がありますが、ビニール傘には効果がありません。
第二に「風のあて方」です。傘を完全に広げた状態で、ドライヤーの温風を約20cm離して全体にまんべんなく当てます。一方向からだけ風を当てるとムラになりやすく、撥水性に差が出るため、角度を変えながら動かすのが肝要です。
第三に「仕上げ後の確認」です。処理が終わったら、表面に水滴を落とし、水が玉になって転がるか確認してください。転がらなければ、再度温風を部分的に当て直すと改善する場合があります。

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カッパやレインコートの素材別注意点
カッパやレインコートに使われる素材はさまざまです。代表的な素材ごとに注意点を挙げます。
【ポリエステル製】
もっとも多く流通しており、再加工しやすい素材です。洗濯後に自然乾燥させ、表面が乾いた状態であて布を使い低温アイロンをかけることで撥水性が戻ることがあります。ただし、過熱するとテカリや変形の原因になるため、温度設定には注意が必要です。
【ナイロン製】
軽量で防水性が高い一方で熱に弱い性質があります。ドライヤーの温風を弱設定にして短時間のみ当てるか、撥水スプレーを併用する方法が向いています。熱のあてすぎは生地のしわや縮みの原因になるため、温度と時間の調整が肝要です。
【PVC(ポリ塩化ビニール)製】
光沢があり、防水力も高いですが、熱に非常に弱いため、ドライヤーやアイロンによる再加工には不向きです。水分や汚れを柔らかい布で丁寧にふき取り、風通しのいい場所で完全に乾かすのが基本的なケア方法となります。

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テントやアウトドア用品への応用と注意点
大型アイテムの撥水復活には、熱処理よりも撥水スプレーの活用が現実的かつ安全です。まず最初に行うべきは、表面の汚れ落としです。テントの表面に砂ぼこりや皮脂汚れが残っていると、スプレーの効果が出にくくなります。ブラシなどでこすり、できるだけ汚れを落としたうえで、しっかり乾燥させます。
スプレーを使うときは、20〜30cm離した位置から、風のない屋外や換気のいい室内で、均一に吹きつけるのが基本です。生地の上に液がたまるほど吹きすぎるとムラになり、乾燥にも時間がかかります。
乾燥は直射日光ではなく、日陰での自然乾燥が望ましいです。素材によっては高温や直射日光により劣化が早まるケースがあります。最後に水を垂らして、しっかり弾くようであれば完了です。なお、撥水剤の種類ごとに乾燥時間や再加工の推奨頻度が異なるため、パッケージ表示の確認も忘れずに行うと安心です。
最後に
- 撥水効果は摩耗・汚れ・保管状態の影響で失われやすい
- 撥水チェックは霧吹きによる簡易テストで確認可能。
- 素材によって適切な温度設定やケア方法が異なるため注意が必要。
傘やカッパの撥水をもう一度取り戻す方法は、意外と身近な道具で実現できます。日々のちょっとした手入れが、長く快適に使い続ける手掛かりとなります。買い替えを急ぐ前に、自宅でできる工夫を一度試してみるのもおすすめです。
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