「こってり系」の料理に使われるラードとは

ラードといえば、ラーメン屋で使われているイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実は家庭料理にも活用できる油です。代用できるものを探すなら、まずラードの基本について知っておきましょう。
豚の脂を精製した油
ラードとは豚の脂のことです。ただ、脂身そのままの状態ではなく、精製された豚脂をラードとして料理に使います。背脂と同じと思われがちですが、厳密には別のものです。背脂は背の部分のみの脂から作られる一方、ラードは部位を問わない豚の脂から作られます。
100%豚脂で作られたものを「純整ラード」、牛脂やパーム油などを加えたものを「調整ラード」と呼びます。市販品の形態はチューブ、一斗缶など用途によってさまざまです。
牛脂より融点が低い
ラードと似たものに、牛の脂から作られた「牛脂」もあります。牛脂は牛特有のにおいが強いので、牛肉料理に合う油です。
ただ、扱いやすさはラードに軍配が上がるかもしれません。ラードは牛脂より融点が低いので、料理に混ぜ込みやすいのが特徴です。
料理にコクと豚のうま味をプラスできる
ラードの魅力は豚特有のうま味と、こってりとしたコクです。ラーメンに入れると、スープにラード独特の風味が加わります。また、チャーハンや炒め物に混ぜ込んでも、コクがプラスされて満足感が高まるでしょう。そのほか、とんかつなどのフライを作るとき、揚げ油に使うという家庭や店も少なくありません。
ラードの代用になる身近な食材

ガッツリとした満腹感のある料理にラードを使おうと思ったものの、切らしていた…そんな場合は何で代用できるのでしょうか。用途に合わせた代用アイデアを紹介します。
コクを重視するなら「バター」
ラードを使う目的がコク出しなら、バターがおすすめです。風味はどうしても変わってしまいますが、ラードとほぼ変わらないこってり感は出せます。みそラーメンに入れれば、札幌ラーメン風のアレンジが楽しめるでしょう。
炒め物には「豚の脂身」
ラードの原料は豚の脂身です。もし余っている脂身があるなら、味やコクがほぼ変わらない代用品として使えます。ただ、市販されているラードと違って精製されていないので、ラーメンスープに入れたい場合には向きません。
豚の脂身をラードの代用とするのにおすすめな料理は、炒め物です。炒め物をするとき豚の脂身を一緒に炒めれば、ラードと同じく豚のうま味とコクをプラスできます。
自家製ラードを作る方法も
時間があるなら、ラードを自分で作ってしまうのも選択肢のひとつです。自家製ラードは、豚の脂身と水があれば作れます。豚脂は一部の精肉店や業務用スーパー、通販で手に入りますので、ぜひ作ってみてください。
<材料>
・豚脂:500g
・水:約50ml
<作り方>
1.豚脂と水を鍋に入れる
2.約10分を目安に中火で加熱する(アクが浮いてきたらその都度取り除く)
3.脂身に残っていた肉の繊維が分離したら、ザルやこし器でこす
4.さらに滑らかにしたい場合は、キッチンペーパーや清潔な布で再度こす
粗熱が取れたら冷蔵庫に入れ、白く固まれば自家製ラードの完成です。
代用ラードを使った簡単レシピ

ラードを代用するとき、どう使えばよいのか迷うこともあるでしょう。実際に代用ラードを使うときイメージしやすいよう、こってり感が重要な王道料理のレシピを2つ紹介します。
豚の脂身で作るこってりチャーハン
炒めるときに豚の脂身を使えば、ラード入りのような「こってりチャーハン」が作れます。風味もラードとほぼ変わらないので、ラード入りだよと告げても気付かれないかもしれません。
<材料(2人分)>
・温かいご飯:400g弱
・チャーシュー:2枚程度(お好みで調整)
・卵:4個
・ネギ:1/3本程度
・豚の脂身:約100g
・鶏がらスープの素:小さじ1.5〜2
・しょうゆ:小さじ2
・塩コショウ:少々
<作り方>
1.ボウルにご飯と溶いた卵・鶏がらスープの素を入れて混ぜる
2.フライパンを熱してみじん切りにしたネギと豚の脂身を入れ、一緒に炒める
3.ネギの香りが立ってきたら豚の脂身を取り除く
4.好みの大きさに切ったチャーシューと1のボウルの中身をフライパンに入れ、パラパラになってくるまで炒める
5.しょうゆをフライパンの縁から回し入れて全体を混ぜ、塩コショウで味を調える
バターでコクをプラスした油そば
バターでは豚の風味を出せませんが、コク出しには十分です。油そばに使えば、ラードを入れたときと同じようなこってり感を味わえるでしょう。
<材料(2人分)>
・つけ麺用のラーメン:2玉
・チャーシュー:4枚
・ネギ:1/3本程度
・バター:20g
・しょうゆ:小さじ2弱 ★
・オイスターソース:大さじ約1.5 ★
・蜂蜜:小さじ1(甘すぎる場合は調整)★
・酢:小さじ2 ★
・鶏がらスープの素:小さじ約1.5 ★
・いりごま:適量
<作り方>
1.★の材料(タレ)をボウルに入れて全て混ぜ合わせる
2.チャーシュー(一口大)とネギ(みじん切り)を切っておく
3.熱したフライパンにバターとネギ、チャーシューを入れて中火で炒める
4.麺を袋に書かれたゆで時間より1分短くゆでる
5.麺がゆで上がったら湯切りし、フライパンに入れる
6.火を弱めて1で作ったタレをフライパンに入れ、全体を絡める
7.器に盛っていりごまを振る
好みによって、のりや卵黄をのせてもおいしく食べられるでしょう。ピリ辛にしたい場合は、バターの量を調節してラー油を入れるのがおすすめです。
まとめ

豚の脂を原料とするラードは、料理に豚のうま味と脂のコクを加えてくれる「隠し味」的なアイテムです。ラードを切らしているときは、コクが出せるバターや、ラードと風味が変わらない豚の脂身で代用してみてください。
時間に余裕のある休日なら、豚脂を買ってきて自家製ラードを作るのも楽しいかもしれません。ラードがなくても代用アイデアを活用すれば、楽しく実用的な料理ができるはずです。
メイン・アイキャッチ画像/(c)Adobe Stock
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Domani編集部
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