Summary
- 「蛇の道は蛇」は、同じ世界にいる者は事情を理解できるというたとえです。
- 読み方は「じゃのみちはへび」であり、「へびの道」と読むのは誤りとされています。
- 類語は「餅は餅屋」で、英語では“Set a thief to catch a thief.”と表現されます。
「蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)」―… 同じ世界に生きる者同士だからこそ、その裏まで見抜ける。そんな意味を持つことわざです。例えば、詐欺師の手口を一番理解しているのは、同じ詐欺師。医者の事情に最も詳しいのは医者…。つまり、「専門のことはその道の人が一番よく知っている」という教えです。
この記事では、「蛇の道は蛇」が使われてきた背景や使い方、類語までを丁寧に解説していきます。
「蛇の道は蛇」とはどんな言葉?|読み方と意味を確認
まずは、読み方と意味から確認していきましょう。
読み方と意味
「蛇の道は蛇」の読み方は、「じゃのみちはへび」です。同じ世界にいる者には事情や動きが互いに察することができるというたとえとして使われています。
辞書では次のように説明されていますよ。
蛇(じゃ)の道(みち)は蛇(へび)
同類のすることは、その方面の者にはすぐわかるというたとえ。
[補説]この句の場合、「蛇の道」を「へびの道」とは読まない。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「蛇の道は蛇」が使われてきた背景
「蛇の道は蛇」という表現は、古来から「同類だからこそわかる」という比喩として使われてきました。
すでに『大智度論‐一〇』には「智人能知智如蛇知蛇足」とあり、15世紀の『一言芳談‐上』にも「蛇の心をば蛇がしるやうに、後世の事をば後世者がしるなり」と見られます。
中世には「蛇の道はちいさけれどもくちなはがしる」(『御伽草子・鴉鷺合戦物語』〔続類従所収〕)のように語られ、やがて近世には『毛吹草』の「じゃのみちはへびがしる」というような言い回しとなり、現在の「蛇の道は蛇」という簡潔な形で定着しました。
出典:『故事俗信ことわざ大辞典』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)
読み方は「じゃのみちはへび」。同じ世界の者同士は事情を理解できるという意味です。
「蛇の道は蛇」の使い方と例文|場面別に理解!
同じ分野に身を置く者同士だからこそ理解できる。そんな場面は仕事でも日常でも少なくありません。「蛇の道は蛇」は、その経験や洞察を認める表現として生かせます。それぞれの文脈に沿って使い方を整理していきましょう。
肯定的な使い方
経験や勘の鋭さを褒めるときに適した表現です。
「やはり長年の経験ですね、蛇の道は蛇です」
「その判断、やはり営業のベテランならでは。蛇の道は蛇ですね」
といった言い回しでは、同じ世界に生きる者への敬意が感じられます。

中立的な使い方
特別な感情を込めず、事実として述べるときにも用いられます。
「やはり同業者には伝わるものですね、蛇の道は蛇です」
「その反応、さすが開発チームですね。蛇の道は蛇、というところでしょうか」
といった場面では、同分野の人が事情を察することを淡々と示しています。
類語・言い換え・英語表現で理解を深める
ここでは、類語と英語表現を紹介します。場面に応じた柔軟な表現が可能になりますよ。
類語との違い
「蛇の道は蛇」は、同じ立場や世界に身を置く者が、その分野の事情を理解しているという意味です。
一方、「餅は餅屋」は専門家に任せるのが最も確かである、ということを表すことわざです。前者が「同類だからわかる」という内側の理解を示すのに対し、後者は「専門家に頼るべき」という外向きの判断を表します。

英語表現
英語にも、同様の意味を持つ言い回しがあります。
“Set a thief to catch a thief.” は「泥棒を捕まえるなら泥棒を使え」ということわざで、同じ手口を知る者こそ、その行動を見抜けるという考え方です。
もう一つ、“It takes a thief to catch a thief.” も同様で、「同じ者でなければ同じ者を捕らえられない」という意味を持ちます。どちらも、経験や同質性によって理解できるという発想を共有していますよ。
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
最後に
POINT
- 「蛇の道は蛇」は、同じ立場や経験を持つ者同士は、その世界の事情を理解できるという意味のことわざです。
- 正しい読み方は「じゃのみちはへび」で、「へびの道」と読むのは誤りなので注意が必要です。
- 英語表現には、“Set a thief to catch a thief.”が挙げられます。
「蛇の道は蛇」ということわざは、単に「同業者だからこそ裏事情もわかる」という皮肉な意味だけではありません。
「その世界を知るには、その道を歩んだ者でなければわからない」という、経験や専門性の尊さも内包している言葉のように思います。
現代社会でも、表には見えない努力や苦労を理解するのは、同じ道を歩く人だからこそ。誰かの行動を見て「なるほど」と思えたとき、私たちはきっと、自分の中にも「蛇の道は蛇」を見つけているのかもしれません。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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