Summary
- 「縁は異なもの、味なもの」は、男女の縁は思いがけず結ばれるものだという意味のことわざ。
- 「異なもの」は不思議で理屈では解けない縁、「味なもの」はその縁の面白さ・深みを指す。
- 江戸時代の文学作品『好色一代男』などにも見られ、古くから男女の結びつきを象徴する言葉。
「縁は異なもの、味なもの」は、男女の縁の結びつきを表すことわざです。詳しい意味を知っていますか? 味わい深いことわざの意味や使い方について見ていきましょう。教養が一つ深まるはずです。
「縁は異なもの、味なもの」の意味とは?
まずは、「縁は異なもの、味なもの」の意味から確認していきましょう。
「縁は異なもの、味なもの」はどんな意味?
「縁は異なもの、味なもの」とは、男女の縁の面白さを表すことわざです。
辞書では次のように説明されていますよ。
縁(えん)は異(い)なもの味(あじ)なもの
男女の縁はどこでどう結ばれるかわからず、不思議でおもしろいものであるということ。縁は異なもの。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
理屈では解けないからこそ味わい深いと、その結びつきを肯定的に受けとめるニュアンスが込められています。
古くは江戸時代の浮世草子『好色一代男』(1682)などでも、この言葉は出てきます。

「縁は異なもの、味なもの」の変遷
本来、「縁」は仏縁ないしは人と人との不可思議な結び付きを示します。それを「異なもの」と表したのが始まりとされています。ほかにも「知れぬもの」「おかしきもの」など、縁の不可思議さを示す言い方がありました。
ことわざとしては、特に男女の関係で用いられ、後半に続く「味なもの」と組み合わせることで、言葉全体に軽やかなリズムが生まれます。「縁の不思議さ(異なもの)」と「その深い味わい(味なもの)」という対比が、男女の関係の妙や奥深さを上手に表しているのです。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
「縁は異なもの、味なもの」とは、男女の縁は不思議で味わい深いものであることを表すことわざです。
「縁」に関する言葉を比較
「縁」をめぐる言葉には、偶然の巡り合わせや人と人のつながりを表すものが多くあります。意味の違いを知ると、「縁」という概念の奥深さがより見えてきます。
「奇縁」(きえん)
思いがけない、不思議なめぐり合わせや因縁のこと。

「合縁奇縁」(あいえんきえん)
人と人の気が合う・合わないのは、不思議な因縁によるものだということ。
腐れ縁(くされえん)
離れようとしても離れられない関係のこと。多くの場合、好ましくない関係を批判的・自嘲的に指します。
「因縁」(いんねん)
本来は仏教語で、結果を生じる内的原因「因」と、それを助ける外的原因「縁」を指す語。転じて、人や出来事の間にある何らかのつながり全般を意味します。
「悪縁」(あくえん)
離れたいのに離れられない縁や、好ましくない結びつきをいいます。
参考:『デジタル大辞泉』、『故事俗信ことわざ大辞典』(ともに小学館)
日常やビジネスでの使い方と注意点
ただ知っているだけではなく、どう使うかが重要です。ここでは、具体的な例文を挙げて使い方を確認し、気をつけたいポイントを紹介します。
「学生時代は話したこともなかったのに、今では夫婦になっているなんて…。縁は異なもの、味なものですね。」
まったく接点がなかった相手と夫婦になった状況を表す際に使う例。「縁」の不思議さと、できあがった関係のよさ(味わい)を素直に表現しています。

「言い合いばかりしていたふたりが結婚まで進むなんて、まさに縁は異なもの、味なものですね」
不思議さと味わい深さの両方を示しています。
誤解されないために注意すべきこと
この表現は、言い方やタイミングを誤ると、皮肉や嫌味として受け取られる可能性もあります。特に年齢差や価値観の違いが強調されるような場面では注意が必要です。
肯定的な流れのなかで、相手への敬意や共感がにじむような場面で使うことを意識することで、好意的に伝わりやすくなります。関係性や場の空気を見極めて使うことが大切です。
最後に
POINT
- 「縁は異なもの、味なもの」は、男女の縁の不思議さと面白さを表すことわざ。
- 縁を使った言葉には、「奇縁」「合縁奇縁」「腐れ縁」「悪縁」などがある。
- 会話では相手の関係を称えるときに使い、揶揄は避けるのがマナー。
「縁は異なもの、味なもの」は、意外性や違いを味わい深くとらえる日本語ならではの表現です。不思議な縁があったとき、この言葉を思い出してみてください。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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