Summary
- 「賜物」は贈り物やいい結果を指します。
- 「努力の賜物」は、積み重ねの末に得た成果を表す語です。
- 目上の人に使う際は、「陰ながら努力を重ねてこられたご様子に、頭が下がります」など敬意が伝わる言い方で伝えましょう。
「努力の賜物」という言葉を耳にしたとき、どんな場面で使えるのか、相手との関係性によって表現は変えるべきなのか? そんな迷いを抱いた経験はありませんか?
この記事では言葉の背景や意味を確認し、相手に敬意が伝わる使い方や印象を調整できる言い換え表現を紹介します。知的で温かなコミュニケーションを目指したい人にこそ届けたい内容です。
「努力の賜物」の意味
目上の人に向けた表現として使いたい、けれど言葉の持つ本来の意味を正しく理解しているか不安… そんな気持ちを覚えたことはありませんか? 「賜物」という語に込められた背景や語感に触れておくことで、状況に応じた使い方のヒントが見えてきます。
「賜物」とはどういう意味の言葉か?
「賜物(たまもの)」とは、贈り物だったり、いい結果を意味する言葉です。辞書では次のように説明されていますよ。
たま‐もの【▽賜/▽賜物】
1 恩恵や祝福として与えられたもの。たまわりもの。「水は天からの―」
2 あることの結果として現れたよいもの、または事柄。成果。「努力の―」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「賜物」は「たまわりもの」ともいうように、いい結果は自分だけのものではなく、何らかの支えや働きかけに対して感謝を込めて使われることが多いでしょう。

「努力の賜物」はどんな状況に使えるか?
「努力の賜物」という言い回しは、粘り強く積み重ねた行動の末に、好ましい結果を得られた状況で使うことが多いでしょう。
注目すべきは、自力で成し遂げたというよりも、周囲の支えや環境、運なども含んだ「おかげさまで」というような感覚が含まれること。そのため、自分の成功を語るときにも謙虚さを保てますし、他者を称える場面でも、過程への敬意が伝わる表現として生きます。
賜物とは、贈り物やいい結果のこと。
使い方を例文とともに確認
「正しい意味を知っていれば、もう大丈夫」と思っても、実際に使うとなると戸惑うことがあるものです。相手との関係性や場の空気によって、どんな言い方が好まれるのか… その感覚こそが、品格のある言葉遣いにつながっていきます。
具体的な例文とともに確認していきましょう。
彼女が短期間で英語を話せるようになったのは、毎日欠かさず勉強を続けた努力の賜物だ。
「努力の賜物」は、偶然ではなく継続的な努力が成果につながったことを評価する表現。第三者の成果を称える文脈で効果的に使えます。
この企画が成功したのは、チーム全員が粘り強く取り組んできた努力の賜物だといえる。
個人だけでなく、組織やチーム全体の積み重ねにも使えます。ビジネス文書や報告文でやや改まった印象になりますよ。

この完成度は長年の努力の賜物だ。
「長年」「積み重ね」といった言葉と相性がよく、時間をかけた努力の結果であることを強調できる表現です。
「努力の賜物ですね」は目上の人に対して失礼?
敬意を込めて「努力の賜物」という言葉を使ったとしても、目上の人からすると「評価されたようで不快」だと感じられるてしまうこともあるでしょう。
そうした場面では、「陰ながら努力を重ねてこられたご様子に、頭が下がります」などといった表現に置き換えることで、敬意と配慮の両方を込めることができます。言葉選び一つで、伝わる印象は大きく変わるのです。
子どもや部下に対して使うときは?
身近な存在の成長を認めたいとき、「努力の賜物だね」と声をかける場面もあるでしょう。この言葉は結果を褒めるだけでなく、そこに至るまでの過程を肯定できる表現です。
さらに
「毎日の積み重ねが、ちゃんと実を結んだね」
「がんばっている姿を、ずっと見ていたよ」
といった一言を添えることで、成果だけでなく努力そのものを評価していることがより明確に伝わります。
相手に寄り添い、過程を認める言葉は、「また頑張ろう!」という前向きな気持ちを育て、次の行動へのモチベーションにもつながっていきますよ。
類語や言い換え表現は?
同じ成果を称えるときでも、相手との関係性や場の雰囲気によって、より適した表現があるものです。「努力の賜物」だけに頼らず、印象を調整できる言葉をいくつか持っておけば、評価の伝え方にも幅が生まれ、語彙の選択にも自信が持てるようになります。
「努力の結晶」
「努力の結晶」は、努力の積み重ねによって得た結果を讃える言葉です。成果が本人の粘り強さなどに根ざしていると感じられる場面には「努力の結晶」という言葉がなじむでしょう。

「結実(けつじつ)」
「結実」は、長年の努力が報われて、いい結果が得られることを指します。「長年の努力が結実した」などといった形で使われますよ。
伝え方を柔らかくする表現例
「努力の賜物」という言葉が少し堅く感じられるときには、より自然で親しみやすい表現に言い換えるのもひとつの方法です。「継続の成果が形になった」「粘り強さが実を結んだ」「地道な歩みの結果ですね」といった言葉は、努力への敬意を保ちつつ、語りかけるようなやわらかさも添えられます。
また、相手が目下の人であれば、「積み重ねてきたものが報われたね」といった言い方も効果的です。評価の伝え方に少しの工夫を加えることで、相手の心に届く言葉になります。
最後に
POINT
- 「賜物」とは贈り物やいい結果のこと。
- 努力の賜物は、結果だけでなく過程も肯定する表現。
- 相手によっては言い回しに配慮が必要な場合がある。
「努力の賜物」という言葉は、結果だけでなく過程や支えにも目を向ける表現です。意味や語感を正しく理解し、場面に応じて丁寧に使い分けることで、言葉の印象は大きく変わります。相手の努力を尊重し、自分の語彙としても使いこなせるようになれば、言葉は信頼を築く大きな力となることでしょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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