自由闊達の意味

自由闊達に、と言われて「どのくらい自由にやってよいのかわからない」「闊達ってどういう意味?」と思う人も多いのではないかと思います。まずは自由闊達の基本的な意味や使い方、自由奔放や活発との違いをチェックしましょう。
自由闊達の意味と使い方
自由は「何にも縛られずにのびのび振る舞う様子」「自分の心に従って行動すること」を意味し、闊達(かったつ)は「心が広く小さなことにこだわらない様子」を指します。
これらを合わせた自由闊達は「度量が大きく広い視野を持ち、自分の意思に従って行動するさま」を表した四字熟語です。
【例文】
・彼女は立場に関係なく誰とでも意見交換ができる、まさに自由闊達な人だ
・自由闊達な企業風土は社員の自律性を促し、生産性の向上につながる
・ブレインストーミングのコツは、奇抜なアイデアも否定せず、自由闊達に意見を出し合うことだ
ビジネスシーンでは、しばしば人物や話し合い、雰囲気の形容に使われます。基本的にポジティブなニュアンスを持つ褒め言葉です。
じゆう‐かったつ【自由闊達】
〘 形容動詞ナリ活用 〙 度量が大きく、物事にこだわらず心のままに行動するさま。こせこせしないで自分の思うままにふるまうさま。
小学館『精選版 日本国語大辞典』より引用
自由闊達と自由奔放の違い
自由闊達と自由奔放(じゆうほんぽう)は、似ているようで少し違う言葉です。
自由奔放は「人の目を気にせず、のびのびと自由にふるまうこと」をいいます。自由闊達との違いは、「心が広い」というニュアンスを含まないところです。自由闊達がポジティブな意味で柔軟さを評価した表現なのに対して、自由奔放はネガティブな文脈にも使います。
もともと「自由」には「周囲のことを考えず、勝手気ままにふるまうこと」というネガティブな意味もあります。自由奔放の場合、この「人に気を使わない」というマイナスの意味合いを含むので、前後の文脈に注意してどちらのニュアンスか判断しましょう。
闊達と活発の違い
闊達(かったつ)と活発(かっぱつ)は音が似ているためか、混同してしまう人もいるようです。
「闊」は「広い・大きい」を意味する漢字で、「達」には「成し遂げる・(道が)通ずる」などの意味があります。この二つの字を合わせて、「心が広く細かいことにこだわらないさま」「寛容なこと・のびのびしていること」を表しているのです。
一方、活発は「元気なこと・威勢がよいこと」を指すので、まるで方向性の違う言葉だとわかるでしょう。両方ともポジティブな褒め言葉に使われますが、意味はだいぶ異なります。
自由闊達と似た意味の四字熟語

自由闊達と似た意味の四字熟語もチェックすれば、言葉への理解がより深まるでしょう。類語の意味と、自由闊達との比較を見ていきます。
闊達自在
闊達は前述のように「心が広い・度量が大きい」という意味の形容動詞です。自在は「自分の思う通りに振舞えること」「束縛・障害がない状態」を意味します。この二つを合わせた闊達自在は「度量が広く、心のままにふるまうこと」をいいます。
【例文】
・彼は役職に関係なく闊達自在に発言し、チームに活気をもたらしている
・この会社は闊達自在な社風で、社員が思うままにアイデアを出せる環境が整っている
・私たちのチームは、闊達自在に意見交換できる関係を築いている
闊達自在は自由闊達とほとんど同じ意味で、やはり人物や話し合い、雰囲気の形容に使います。
融通無碍
融通無碍(ゆうずうむげ)も自由闊達の類語です。「融通が利かない」という言い方がありますが、融通は「必要に応じて自由に対応できること」や「とどこおりなく通じること」をいいます。
無碍は「妨げのないこと」「何ものにもとらわれないこと」です。つまり融通無碍は「考え方・行動が柔軟で、自由であること」を表します。
【例文】
・彼は融通無碍な対応力で、どんな困難な交渉もまとめてしまう
・このプロジェクトは、計画に固執せず融通無碍に方針変更したおかげで成功した
・新規事業には、前例にとらわれない融通無碍な発想力を持った人材を抜擢したい
融通無碍は、自由さや柔軟さを表す点は自由闊達と共通ですが、心が広いという意味は含みません。主に、考え方や行動などの形容に使います。
天空海闊
天空海闊の読みは「てんくうかいかつ」です。この熟語にも「広い・大きい」を意味する「闊」の字が使われています。
大空や海は広々としたものの代表例です。このことから天空海闊は、空や海のように「心が広く、こだわりがないことや、その様子」を指します。
【例文】
・グローバル市場で成功するには、天空海闊な視野が必要です
・彼はまさに天空海闊を体現したような人だ
・昨日の事件があったせいで、とても天空海闊な気持ちにはなれない
主に人物の性格や、心の晴れやかな様子を表す名詞・形容詞として使われます。
自由闊達と反対の意味の四字熟語

自由闊達と反対の意味を持つ四字熟語として、「杓子定規」「頑迷固陋」の二つを紹介します。「杓子定規」はおそらく、聞いたことがある人も多いのでは?
杓子定規(しゃくしじょうぎ)
杓子(しゃくし)はご飯や汁物をすくう道具のことで、柄の先に丸くくぼんだ頭が付いているのが特徴です。いわゆる、しゃもじやお玉杓子も杓子の仲間ですね。
杓子定規は、曲がった杓子を定規として使うことに例えた言葉です。当然、きちんと測れません。
【例文】
・顧客の状況を考慮せず、杓子定規なマニュアル対応では信頼関係を築けない
・彼の杓子定規な仕事ぶりに部下から不満が出ている
・杓子定規な判断は、商談のチャンスを逃す原因となる
杓子定規は、ふさわしくないもので無理やり測ろうとする様子から「すべての物事を一つの標準やルールで処理しようとする、融通のきかない方法や態度」を意味するようになりました。
頑迷固陋(がんめいころう)
頑迷(がんめい)は「かたくなでものの道理がわからないこと」「考え方に柔軟性がないこと」を意味し、似た言葉に頑固や強情、意地っ張りがあります。
固陋(ころう)は「古い習慣や考えに固執し、新しいものを好まないこと」です。この二つが組み合わさった頑迷固陋は、「頑固で視野が狭いために、正しい判断が行えないこと」を意味します。
【例文】
・経営陣の頑迷固陋な考え方が、会社の効率化を妨げる最大の壁になっている
・クライアントの要望を聞き入れず、頑迷固陋に自社の意見を押し通した
・新技術の導入について頑迷固陋に反発すれば、競合他社に後れを取ってしまうだろう
頑迷固陋は「頑固で道理をわきまえないこと。かたくなで愚かなことや、その様子」をいいます。簡潔に言い換えるなら「頭が固く、時代遅れ」という意味です。
まとめ
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自由闊達とは「心が広く、小さなことにこだわらない様子」
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自由といっても「勝手気まま」というニュアンスは含まれない
- 人や話し合い、雰囲気をポジティブに形容する際に使われる
自由闊達とは、周囲を無視して勝手に振る舞うことではありません。細かいことは気にせず、広い心を持ってのびのびと発想・行動する様子です。会議で「自由闊達に話し合う」といえば、慣例にとらわれない自由な発想も歓迎するという意味でしょう。ぜひ、相手の意見も受け入れながら、自分の思ったことを恐れず話してみてください。
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Domani編集部
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