青山に店を構えて21年の老舗ギャラリー
南青山に店を構える「うつわ 楓」。風情ある佇まいの外観に、少しドキドキしながら扉を開けると、出迎えてくれたのは、上品で柔和な語り口の女性オーナー島田洋子さん。自然光が差し込む店内には、陶器、ガラス食器、木製食器などの美しく、味わいがあって、使いやすそうな食器の数々が綺麗に並んでいる。「お店をオープンしたのは1998年です。もともと、土ものの器が大好きで。自分が主婦だったこともあって、いいなと思ったときに求めることができる価格設定だったり、重さ・スタッキングのよさ、手持ちの食器と組み合わせやすいものをセレクトしていました。その感覚は今も変わっていません。ただ元々は焼き物だけ扱っていたのですが、たくさんの作家さんとのお付き合いが増えて、今は陶磁器にガラスや金属、木など異素材を組み合わせるのが楽しくなり、漆器やガラスの器、花器なども取りそろえています」
売り場は4坪ほどのコンパクトなスペースだが、外光溢れる窓脇でいろいろな器の組み合わせを試していると、時間が経つのをつい忘れてしまう。「場所柄、お買い物帰りやお食事帰りのお客様がたくさんいらっしゃいます。海外からのお客様も多いですね。皆さん、じっくり選んで、組み合わせを幾通りも試していかれます。ファッションやアクセサリーを選ぶのと同じような感覚で、日々の食器もセレクトしてほしいです」と島田さん。
ひとつひとつ丁寧に作られた作品を目にしていると、私も春に向けて、新しい器で気分を変えたくなってきます。そこで、島田さんに、Domani世代におすすめの作家さんと作品をいくつかご紹介していただきました。
▲多治見の作陶家菅野一美さんの作品。白い化粧土を塗ってから、掻き落としてつけたモノトーンの草花模様は、シックで華やか。手前のプレート5,000円、上に乗せた器3,500円、奥の小鉢2,300円
▲購入したお客様から、必ずと言っていいほどリピートが入るという八木橋昇さんのお皿。「すごく使いやすいので、定番で扱うようにしているんです。黒も白のお皿もニュアンスがあり、一枚ずつ違っているのが楽しいです」(島田さん)八寸、七寸、六寸、五寸…と大きさ違いで揃うのも嬉しい。大きなプレートは前菜の盛り合わせやフレンチなどのソースも映えそう。手前の黒のプレート7,800円、奥のプレート上から4,000円、5,500円、7,800円
▲瀬戸の作家、村井大介さんの磁器。何とも言えないグラデーションは、チタンを入れた釉薬の濃さや窯の温度で釉薬の流れ方が変わるという。お花を入れて使っても春らしくて素敵。手前の杯5,000円、奥の器4,600円
▲グレーのようなブルーのような何とも言えない落ち着いた色合いの二井内覚さんの作品。炒め物を盛っても、サラダやパスタを盛っても映えそう。食卓が一気にランクアップ! 下のプレート4,800円、上のプレート3,000円。
最後に島田さんに春の器のご提案をして頂きました。「石のプレートに漆、ガラス、陶器と異素材の小皿を並べるだけで、食卓にリズムと奥行きが生まれますよ」藤島明範さんの石のプレートは、男鹿半島の石を焼き物のように1200度くらいで焼いたもの。石ならではの質感がダークグレーのプレートに味わいを添え、さらに強度があるのも嬉しい。前菜を少しずつ盛り付けても、おつまみをちょこっと入れても、作り置きのお惣菜をぱぱっと並べただけでもサマになりそう。ここに徳利やワイングラスなどがあれば、お酒が進むこと間違いなし!
※器の価格は全て税抜きです。
うつわ 楓
東京都港区南青山3−5−5
03-3402-8110
営業時間/12:00〜19:00
休日/月・火(個展会期中を除く)
▶︎オフィシャルサイト